↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/86

遠慮は敵だと思って!!

「ここが麦の神アラヴィスム様の神殿ですっ!」


ドミの案内で今日は一日ダンブランの神殿めぐりをする事になった。

いわゆる一つの現実逃避というやつである。


昨日はあのあと本当に面倒だった。

貰った加護の力だよとかなんとか言ってフェイを誤魔化し、ダーナの回復魔法でゴンベックの足を治すと俺たちは魔神が戻ってくる前に逃げるようにその場を去った。

見様見真似で俺が飛ばした初級の回復魔法一回ではゴンベックの治療に全然足りなかったようだ。当たり前か。もともと初級の回復魔法単発で治せる怪我はしれている。それでもダーナが初級の回復魔法を何度も重ねると、骨折した足がささえもいらずに歩ける程度には回復するんだから魔法は凄い。

魔神との戦闘でダーナの魔力も底を突きそうだったため必要最低限の回復をしてからダンブランに戻り、その足でギルドに報告に行った。


ゴブリン退治の件とかたくさん採取した薬草の件とかは後回しである。それくらい魔神がでたというのはヤバイことで、俺以外の3人とギルド長は難しい顔で話をしていた。

俺?俺はF級ですから。そういう危険な事はよくわからんのです。ほら、なぜかトロルが急死したからゴンベックは助かって、なぜか武器が砕けたからダーナは助かって、なぜか魔神が逃げたからフェイは助かったんですよ。

おっとりがたなで俺が到着した時には全部終わるところでした!みたいな!!


ダメかなー。この言い訳で勘弁して貰えませんかね?正直自分で神様にお願いして手に入れた力とはいえ、詳細を誰かに伝えた瞬間おれの命が無くなる気がしてならないんだよな。

だって一言で心臓砕いて殺害できるとか殺し屋さん垂涎の能力でしょ。こちらとしては非武装状態でも安全確保するために手に入れただけで使う気は全然ないんですよ?いわば保有しているだけの核兵器みたいなもんなんです、抑止力的な!


・・・うん、ダメだな。この世界王政だし、俺だったらこんな危険な能力保持者は即斬ですよ。ノータイムでツモぎり、能力の真偽を確認する事も無く毒殺しますな。使用の判断基準が俺個人のモラルとかいうだけで信用できん。



ともあれ面倒そうな事を全部フェイたちに押し付けた俺は心をリセットすべく、その日の夜はベイズ・ベリーズで暴飲暴食に全力を尽くした。フェイに教えて貰った綺麗なおねえさんたちの店とどっちにしようか悩んだのは内緒だ。

そこでドミに癒されていたのだけれど、次の日が休みだと言うのでデートすることにしたのである。

食欲が満たされたから次は性欲だと言うわけでは無い。断じて、ない。

せっかくだからダンブランにある7つの神殿を回ってみたかったのだ!!・・・マジですよ?酔った勢いでデートしようとか言ったけども。



「このアラヴィスム様のご加護があると、生涯食べ物に困る事が無いと言われているんですよ!」


アラヴィスムの石像は大きな鎌を持った青年の姿をしていた。

神殿によって多少の違いがあるにしても神像は基本的に小さく一尺から二尺くらいの大きさでしかない。なんだろう、ぶっちゃけ大きめのフィギュアみたいだ。

俺は両手を合わせておじぎし、ステータスと念じて加護を確認してみる。


麦の神アラヴィスムの加護★★

・生育補助+200%。実りの手が豊作を約束する。


ありがたい事に神殿に来ただけでアラヴィスムの加護は★1つから★2つに増えていた。

でも、残念ながらこれは俺が使わない加護の筆頭っぽいけども。


7つの神殿で最初に訪れた商いと旅人の神アンカネブラの神殿で加護が上がる事はなかった。

まあ★5だし、おそらく上限なんだろう、きっと。

お参り感覚で石像の前でお辞儀しながら想像以上に過酷な旅になっている現状の愚痴をちょっとだけアンカネブラにしておいた。もうちょっとなんとかならんですか、神様の誰かが助けてくれたりはしませんかねえ、と心の中で話しかけたが返事は無い。なんだろう、この格安ツアー旅行と聞いて参加したは良いが結果的に想像と違って騙されてる感。


次に向かった太陽の神ドドラガリの神殿、月の女神ピサンティエの神殿でも特に変化はなかった。

ピサンティエは構わん。★2つの看破の魔眼には正直助けられた。めっちゃありがたいので感謝の言葉しかでてこないくらいだ。ドドラガリの加護は増えて欲しかったがあがらなかった。仕事しろヒゲ。


神殿廻ったくらいじゃ加護は増えないのかなあと諦めそうになっていた矢先、四か所目のアラヴィスムで加護が増したのである。これには俄然やる気がでた。ドミと廻るダンブラン神殿参りツアーにようやく意味が出てきた。


「そろそろお昼を食べようか」


ドミおすすめだというお店は実にエスニック風の内装で、ダンブランの他のお店と比べると結構ごちゃごちゃした感じがあって面白い。

獣人のご夫婦で経営しているカフェと言う事だったが、あの壁一面にかけられた木製のお面とか、獣人族の中でなにか意味があったりするんだろうかね。


果物のジャムと魚を合わせたサンドイッチみたいな物を注文するドミに、一緒のを、と言いかけた俺は言葉を飲み込んだ。


「案内のお礼も兼ねて奢るからなんでも食べて。ほら、スープとかデザートとかなんでも頼んで良いからね!!!遠慮は敵だと思って!!」


と、笑顔で伝えつつ俺が食べられる物を全力で探す。

くらえ!身体能力強化と感覚強化と看破の魔眼の複合技だ!!


・・・・・・・・・ふう。


とりあえず野菜オンリーのサンドイッチが一つだけあったのでそれを頼む。獣人の味覚コエェー。

ライ麦パンに挟まれたザワークラウトが酸っぱい。それとこれは・・・ペーストにしたアーティチョークか?不味くは無いけど・・・・・・物足りないなあ。


しかし顔には出さない。デートとは耐える事だとネズミの国で学んだ俺に死角はないのである。オッサンなめんな!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。