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1 女性

 目を開けてみたら、そこには大きな噴水があった。階段の途中にそれはあって、噴き出た水はコンクリートのブロックの受け取り皿の上に溜まっている。溢れ出ないか心配していたけれど、一向に水はいっぱいにならない。どうしてなのか疑問に思っていたら、水面に浮かぶ一枚の緑色の葉っぱが目に映った。それの行方を追っていくと、なるほど水は奥の方へ流れ落ちているみたいだ。葉っぱも落ちて見えなくなった。おそらくその下に、さらにその下にもコンクリートの受け取り皿があって、人が上り下りする階段の要領と同じで、水も下に落ちているみたいだ。だから階段の途中に噴水があるのか、このようにデザインするため階段をわざわざ作ったのかわからないけど、それはなかなかよかった。何がいいのか説明しろと言われると困るけど、見ていて安らぎを覚える。

 前を見るのを止め、今度は横を見る。わたしが座っているベンチは円形になっていて、半分は木陰になっていた。わたしは木陰の方に座っていて、そこは通路とは逆側だった。奥まった方へわたしはいて、足を円の内側に入れるように座っている。たまに風がなびいて、葉と葉を擦り合わせて、またどこかに消えていく。

 今度は空を見た。ほとんど真っ青な色で、ところどころに白色の斑点があって何だかかわいらしかった。一番大きな雲の動きを追ってみる。右少し上に移動している様子が見て取れた。そのほかの小さい雲も同じような速度で、また同じ方へと動いていく様子が、子どもが母親の後についていくようにも見えて心が和む。太陽はわたしの視界にはなかった。おそらく後ろ側にあるのだろう。木々で隠れて見えなかった。

 周りを見回しているうちに、何だかひどく頭がぼうとしてきた。煙が周りへと散っていくようなそんな感覚だ。気付いた時には瞼はすでに閉じられていた。

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