今度は対等な立場で
陛下たちにお会いしたその翌日。
クロードから手紙が届き、首を傾げてローザは手紙の封を開けた。
手紙の内容はこれからは一友人として仲良くして欲しいということ、アリアーナがローザに会いたがっているのであって欲しいという旨が書かれている。
「そう、ね」
会いに行く必要はないといってしまえばそれまでだが、ローザとしてはアリアーナのことは心配だ。
今のアリアーナは実家から離れ、城の離れで暮らしているらしい。
クロードとの婚約が発表されてからパーティーに参加することもあるという。
彼女の場合クロードほど辛辣な言葉を吐かれることはなく、同情の声もちらほらとあるようだ。
会いに行くと決めて、予定のない明日に向かうことにする。
翌日、アリアーナのもとに向かったローザに、アリアーナは涙を流し、ローザはため息を吐いた。
「どうしたらいいか、分からなくなるわね」
「ごめんなさい、ローザ様。ずっと、ローザ様に謝りたくて、感謝をしたくて……」
アリアーナがしゃくりをあげる。
学生時代、ローザに助けられたことは一度や二度ではなく、足を向けて寝られないほどの感謝と、クロードを止めきれずにいたこと。
あの時にもっと動けていればなんて、たらればばかりが浮かんでしまいアリアーナは後悔ばかりが押し寄せる。
ローザはアリアーナの手を取ると柔らかに微笑んだ。
「もう終わったことと言ってしまえるほど簡単な話ではないけれど、私は以前より幸せだって胸を張って言えるの」
「……ローザ様?」
顔を上げたアリアーナの頰に涙が伝い、ローザは静かに言葉を紡ぐ。
「クロード様のためと、その立場にふさわしい人間なろうと私はとにかく必死だった。おかげで周囲からの評価は高かったけれど、きっと空っぽの人間でしかなかったのね」
「そんな、ことは……」
アリアーナはゆっくりとローザに目を合わせる。
そこに迷いも躊躇いも感じられなくて、真っ直ぐに自分を見つめるローザがいた。
「枷がなくなってから、私はやるべきこともやりたいことも見つからなかったわ。そう考えると、クロード様がやったことはあるまじき行為ではあるけど、感謝はしてるの」
ローザはおかしそうに笑ってアリアーナに言うのだ。
「今の私は自由で我儘だって言えるのよ」
だから、あなたは謝らないで――ローザは瞳だけでアリアーナに訴えた。
彼女がクロードたちに苦言を呈していたことも知っている。それがローザたちと違ってどれだけ大変なことかもよく分かる。
国を巻き込んだ大事になってしまったが、結果的にそれで良かったと思えるのだ。
だから、ローザは晴れ晴れとした顔でアリアーナに我儘を一つのたまった。
これからは対等な立場で――そんな願いを込めて。
「アリアーナ、私と友人になってくれるかしら」
アリアーナは身を見開いて何度も何度も頷いていた。
ありがとうございました。




