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そして、関ヶ原へ。

さぁ、これからが戦国最大とも謳われる野戦に向かってドーーーーン。

風邪早く治らないかなぁ(´・ω・`)

慶長けいちょう5年(1600年)8月


伏見城落城ふしみじょうらくじょうする。


鳥居元忠はじめ城兵のことごとくは最期まで戦い壮絶な討ち死にをげた。


伏見城の壮絶な反撃は三成方にとって予想外の事であり、伏見城攻略にかなりの時間を割いたのは三成方の痛恨事であった。


その間にも家康方の諸将は尾張おわり(現在の愛知県辺り)にある福島ふくしま正則まさのりの居城・清州きよす城へ入城、三成方に付いた岐阜ぎふ城主・織田おだ秀信ひでのぶとにらみ合いが始まった。


織田秀信は信長公の嫡孫ちゃくそんである。


秀信は幼き頃からその人生を操られ秀吉に骨の髄まで利用される生活を送る不遇の貴公子の一人と言える。


秀信は織田家の嫡流ちゃくりゅうとして生まれるも、本能寺の変にて祖父・信長と父・信忠のぶただが共に討ち死にし、織田家の権力、旧領、家臣共にすべて秀吉に奪われ、その上、自分に感謝するように半ば洗脳の様に育てられたのだ。


一方、家康方の陣営は焦れに焦れていた。


長期間に渡る岐阜城との睨み合いに飽き飽きしてきてた福島ふくしま正則まさのりと家康の娘婿でもある池田いけだ輝政てるまさが今にも三成陣営に攻め込もうと血気に逸っていた。


家康は先陣諸侯の軍目付いくさめつけとして本多ほんだ忠勝ただかつ井伊いい直政なおまさを派遣し、血気に逸る諸侯を抑えていた。


そんな諸将の中でも台風の目になっていたのが、福島ふくしま正則まさのり池田いけだ輝政てるまさである、正則は事ある毎に賤ケしずがたけ七本槍しちほんやりをひけらかし、何かといえば先陣にこだわり続ける男であった、また輝政はそんな正則が気に食わないとともに自分が家康の娘婿として少しでも自分を家康にアピールしなければと必死になっていた。


もはや家康の出馬を待ちきれなくなり、福島正則、黒田くろだ長政ながまさらは犬山城を攻めに出陣し、池田輝政、山内やまのうち一豊かずとよらは織田秀信と戦闘状態に入る。


戦前の評定では岐阜城攻めまでは行わないとの条約が正則と輝政の間で交わされる事になるっただが、織田秀信と交戦し、秀信の撤退を見て熱くなった輝政は山内一豊の静止も聞かず、勢いに乗り岐阜城の攻略まで乗り出した。


これには福島正則も烈火の如く怒り、すぐさま岐阜城に兵を向け、輝政、正則のすさまじき攻勢に岐阜城はあっけなく落城する。


先陣争いでいがみ合っていた正則、輝政は一番槍の功績を両者一歩も譲らず、味方同士で一触即発になるが本多忠勝の仲裁もあり異例ながら一番槍は福島正則、池田輝政の両名とした、また家康にもそのように報告された。


その報告に家康は戦功を称賛しつつ自分と秀忠が着くまで表立った軍事行動は極力控えるようにと書状を出す。


思いがけない岐阜城のあまりにもあっけない降伏に三成は焦った、他にも大津城主・京極高次の態度が急変し突如家康方に付いたのだ。


突然の裏切りに三成は驚きながらも毛利もうり元康もとやすを総大将とし毛利勢1万5千の大軍で大津城を取り囲み、攻城戦を始める。


毛利勢は大津の城を落とすのに、予想外にもかなりの時間がかかってしまう。


大津の兵は3千程であったが、兵の士気は意気軒高いきけんこうにて大群の毛利勢をなかなか寄せ付けないという戦ぶりであった。


大津城攻撃に何より慌てたのは大坂で報告を受けたよどかたであった。


「大津の城にはおはつが居るであろう!!」


その美しい顔を歪めながら三奉行を睨みつける。


実は大津城には京極きょうごく高次たかつぐの妻にして淀の方の実妹・お初が居るのだ。


即刻、三成方に付いている三奉行に停戦を命じるが三奉行は


秀頼君ひでよりぎみ御名みなにおいて開城を命じて頂きたく。」


と何としてでも秀頼を戦に巻き込もうとする魂胆が見てとれた。


秀頼傳役ひでよりもりやく片桐かたぎり且元かつもとはその要望を意も介さず秀頼の片方への肩入れを拒否したのだ。


それでも実妹大事の淀の方は落城寸前の大津城に取り急ぎ和睦わぼくの使者として高野山の僧侶・木食もくじき応其おうごを派遣し、大津城は開城のはこびとなった。


ようやく大津を落とした毛利勢は思いのほか時間をとられ、吉川広家を先陣とし南宮山なんぐうさんへと動き出す。


また北陸では前田まえだ利長としながと睨み合っていた大谷おおたに吉継よしつぐが謀略をめぐらし、家康方の武将を幾人か三成方に寝返らせる事に成功。


利長を加賀へと釘付けにした後、三成と合流、三成と吉継は病と称し高宮に陣を張り一向に動こうとしない小早川こばやかわ秀秋ひであきの元へ向かう。


小早川秀秋とは秀吉の正妻・北政所の甥っ子で、秀吉により何人かの大名に養子として出されるが最終的には毛利両川もうりりょうせんと言われ知略に富んだ小早川こばやかわ隆景たかかげの元へ養子に出された武将である。


秀頼が生れる前は、関白・秀次に続いて、秀吉の第二の相続者として目されていた人物であったが、秀頼が生まれ、関白・秀次は三成により濡れ衣を着せられ切腹。


秀秋の命も危うくなった時、浅野あさの長政ながまさらの周旋で毛利一族の小早川家に養子に出され、隆景の所領、備後国びんごのくに(現在の広島県辺り)・三原みはら30万7千石を隆景より継ぐ。


その後、2度に渡る朝鮮ちょうせん戦役せんえきの後、三成の奸計により所領が越前えちぜん(現在の福井県辺り)北ノきたのしょう15万石へ減封されたのだ。


そんな経緯もあり秀秋は三成を恨んでいた。


元々は家康方に付くつもりであったが、三成方が出してきた味方に付けばとの戦後の条件は若干18歳の秀秋にとってとてつもなく魅力的なものであった。


その内容は「秀頼公15歳になられるまでは関白職を秀秋卿ひであききょうに譲り渡す」「播磨の国を秀秋卿に渡すべし」その上、秀秋の家老にも所領を渡すという破格の条件であったのだ。


秀秋にとってはこの上ない魅力的な内容であったが、家老「稲葉正成いなばまさなり」と「平岡頼勝ひらおかよりかつ」は既に黒田くろだ長政ながまさを通し、徳川家康に内通していたのだ。


話は少々それるが、稲葉正成の妻は「ふく」という女であり明智あけち光秀みつひでの重臣・斎藤さいとう利三としみつの娘である。


武芸百般に通じ、また公家の作法なども習得していた為、後の京都所司代・板倉勝重いたくらかつしげの推薦もあり、徳川三代将軍・徳川家光とくがわいえみつの乳母として雇われる。


家光を命懸けで支え、またその偉業により朝廷から「春日局かすがのつぼね」の名を下賜かしされる事になる女性なのである。


して、そんな優柔不断極まりない小早川秀秋も三成方が大津城を、家康方が岐阜城をそれぞれ落としたとの報を聞きいよいよ腰を上げ、松尾山に陣を張り、大垣城に参上するのである。


三成は大坂の毛利もうり輝元てるもとに再三の出馬要請を出すが、輝元はその重い腰を上げる事はなかった。


家康も岐阜城の陥落の報を受け、ついにその重い腰を上げる。


家康は3万の軍勢を東海道を通り岐阜城へ向かい出陣した。


宇都宮で鬱屈した日々を過ごしていた秀忠にも徳川の主力3万8千を率いて中山道を通り、くれぐれも真田に注意しながら岐阜方面へ兵を進めるように指示を出す。


そしてここに一人、家康の使い番を呼び出す男がいた。


「良いか野々ののむら、殿の影は爪を噛む癖がある、この戦が終われば徳川の名の下に天下は平らかになり、日ノ本の民は安寧に暮らすであろう、その時もはや影武者は必要ない、今のうちに葬っておかねばならぬ。くれぐれも殿と影を間違えるなよ?いいか?野々村、爪を噛む方が影武者である。影は爪を噛む癖があるのだ。くれぐれも殿の影を確実に殺害するのだ。」


今回が初陣となる野々ののむら四郎しろう右衛門えもんの初の大役であった。


これからの時代の為に殿の影武者を片付けておく。


何者かによって下された命は三河武士の忠義の盲信さに疑念を挟む事すらなかった。


実際、彼は徳川に忠実な犬とまで言われた三河武士の気質を利用した上での命令だったのだが、野々村はこの初仕事を最大の名誉と思い完全遂行を自らの胸に誓い使い番として「伍」の旗を背に刺し軍勢にに戻るのであった。


こうして様々な思惑が渦巻く中、両軍が続々と「関ケ原」へと向かい集結しつつあるのである。

ここまで読んでいただき誠にありがとうございます。

誤字脱字等ありましたらご指摘頂ければ幸いです。

今後とも「闇の葵」をよろしくお願いいたします。

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