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異世界で楽しく生きるつもりが、 人生かけて日本に帰ろうとした同郷から託されて、帰るしかない件。  作者: 帰途灯
第二章 港町リュメール

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第24話 それぞれの得意分野


 まだ昼前だ。

 飯を食べてもいいかもしれない。


「どうする?」

「アオイ、そのまま歩いてくれ」

「う、うん」


 ジェスが小声で耳打ちしてくる。

 一体どうしたんだろうか。

 ジェスが路地裏に入る。


「なんか用か?」


 ジェスが誰かに聞くように言った。


「いや、懐が温かそうだからちょっと恵んでもらおうかなと」


 二人組が後ろから出てきた。

 数日前のことを思い出す。

 こいつらもしかして……。


「ギルドからつけられてた?」

「ああ、報酬狙いの小悪党だ」


 この街、治安悪いな……。


 片方がナイフを取り出す。


「まぁ痛い目見たくなければ……」


 男が話す途中で、視界の端に何かが走った。


 神速。

 そう表現するしかない。

 風で外套がはためく。

 目の端で追うのがやっとだった。

 ジェスが一瞬のうちに距離を詰めて、短剣を男の首筋に当てたのだ。


「失せろ」

「あ、あ分かったよ」


 男は手を挙げ降参したようにする。

 そしてそのままどこかに消えてしまった。


 カツアゲを追い払うジェスのさまがなんていうか……。


「かっこいい」

「あ?かっこいいって呑気だな。お金奪われるところだったぞ」

「ジェスって強かったんだね」

「まぁ対人は割と自信あるな、魔物とかモンスター相手だとあまり慣れなくてな」


 実は強いパターンかい。


 短剣か、ジェスの剣裁きを見て興味がわいてきた。

 いやまぁ別にこの剣もいいものだよ。

 でもなぁ……。


「ジェス!短剣の使い方教えてよ!」


 習うだけならタダだ。


「いや、剣使えるんだからいいだろ」

「いや、使えたらかっこいいじゃん」

「子どもかよ!」

「まぁこれからも一緒に依頼受けるならその時にでもさ」

「わーったよ、世話になったからな」


 セイレーンの杯に向かう。

 向かう途中に聞いたが、ああいう悪党もいるのでギルドの簡易銀行に預けて後日引き出すという策もあるらしい。

 なるほど、目の前で大金のやり取りしてたから絡まれたのね。


 テーブルについて料理を食べ始めた。

 料理を食べながら短剣の使い方を聞く。


「で、ジェスは何で短剣使ってるの?」


「単純に安いのと、素早く攻撃できる方がいいだろ?」

「確かに」

「お前は何で剣に?」

「かっこいいから」


「まぁそんなもんか……短剣もかっこいいって言ってなかったか?」

「いろんな武器が使えたほうがかっこいいだろ?」

「そうか?」


 ジェスが首をひねっているが、同意が得られないらしい。


「まぁ今度ちゃんと教えてやるよ」

「ありがとう!俺の分の肉もやるよ」

「いらねぇよ。自分の分があるから」


 打ち上げは楽しく終わった。

 疲れて部屋に戻ってきた。


 大銀貨が1枚か、これを後9枚か……。

 道のりは長いな。


 そうだ、俺には強い味方がある。

 それはおっさんの日記だ。


 篠塚のおっさんも船代を稼いだはずだ、何かヒントがあるかもしれない。


 適当にページをめくり確認をする。

 魔導連邦に向かうあたりの話だ。

 バイトとか稼ぐ方法とか、なんでもいい。

 先人の知恵は使っていこう。


 ここらへんかな。

 変換シートを見ながらページをめくる。


『王国から魔導連邦に向かうには直通の船は無く陸路しかないらしい。

 幸いなことに、大陸を時計回りに行けば到着できるとのことだ』


 ……マジか。

 おっさんの時代には直通の船は無かったらしい。


 俺は恵まれている方か……。

 疲れてベッドに倒れこんだ。


 地道に稼ぐか。


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― 新着の感想 ―
かっこいい兄貴を描くのが上手いなあ
ジェスから見たらアオイは結構可愛い弟的存在なんだろうなー
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