『れ』みんな、案外自由人
1000年の木を描いてから、なかなか上手くいかない観察日記。
何か仕組みがあるようで、燈は珍しく頭を使おうとしていた。
燈に言わせてみれば、
燈:「だって、絵を描きながらゲームしてるみたいなんだよ? 描いてダメなら魔法みたいにその絵が消えるし、消しゴムいらず! なんて便利!」
……ということらしい。
「肉ブラザーズ」と名付けられたトンカツとチキンはというと、何かあるたびに押し入れに入れられるので、押し入れに自分の部屋を移動させて、そこで個別に寝泊まりする環境を手に入れたのだ。
時は3月になる。暖かな日が多くなったけれど、雨と晴れが忙しい季節。
~トンカツの部屋にて。3人でたまに人生ゲームを楽しむ、土日をなんとなく過ごす楽しみ方~
燈:「トンカツの魔法ってすごいよね。だってこんな人生ゲームまで出せちゃうんだもん。うわぁ、まじか……ちょっとチキン、また出産したの? 私のマネーが……」
「oh, No…」と言いながら、しかめっ面になる燈。
四葉:「フン、人間。僕に金を早くよこせ。兄者は0円でいいですよ。コケ」
三葉:「四葉、そんなルールはダメだ。真面目にやれ。それと燈、私のは魔法ではなく、神気を使って色んなことをしているだけだ。上位クラスの神様ができる力だぞ」
なんか子豚が威張りながら、鶏にお金を払っている。
三葉:「よし、次は我だ。……なに!? 『浮気されて離婚。子供はできなかった。相談相手(他のプレイヤー達)に、それぞれコース料理5000円を渡す』だとぉーーー! ……追加で、『元旦那さんから慰謝料として300万受け取る』」
燈:「えーーーー! ちょっとトンカツ、ずるしないでよーー!」
三葉:「ずるではない。運も実力のうちだ」
四葉:「さすが兄者、かっこいい。惚れ惚れします」
チキンはトンカツの頭の上に、自分の嘴を置いた。
三葉:「こら、離れろ四葉」
四葉:「無理でございます、兄者♡」
燈:「私、人生ゲームも勝てないの!? 残り30万しかないーーー!」
30万の偽物の紙切れを顔の前で仰ぎながら、胡座をかく燈。
三葉:「はしたないぞ、燈。胡座をかくな。我は計500万か」
四葉:「本当にはしたない。馬鹿が移ります。僕は計200万です」
【現在の順位】
1位:三葉 500万
2位:四葉 200万
3位:燈 30万
四葉:「次は僕ですね。よっと……ん? 『厄年。右隣の人と事故に遭う。保険で右隣の人の車を全部直す。右隣の人に200万払う』……全部!?」
絶望した顔で右隣を見ると、そこにはニヤァァと笑う燈がいた。
燈は何も言わず、チキンのお金を没収した。
【順位変動!】
1位:三葉 500万
2位:燈 230万
3位:四葉 0
燈:「あははははー! 借金さえしなきゃいいのよ。チキン、覚えときなさい。人生は『七転び八バタバタ』なんだからね!」
えい! と勢いよくルーレットを回す。
三葉・四葉:「「そんな日本語はない……」」
呆れ顔の二匹を無視する燈。
燈:「えーっと、なになに? 『今の職場でパワハラで訴えられる。慰謝料100万円です』……」
順位がコロコロ変わる人生ゲームを楽しむ三人。
このえげつないお題を作ったのは、実はドロドロのドラマが好きなチキンだった。
(今度はトンカツに作らせよ。こんなクソゲー、私には無理。笑)
そんな感じの、休日の三人。
母:「燈ーーー! ごはんよーーー!」
燈:「はーーーーい!」
夜ご飯の時間まで思いっきり遊ぶ。
三人の生活が、楽しい時間になってきている。
この人生ゲームは、四葉が考えました。
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春休み、燈は珍しく家族旅行でお出かけだ。
トンカツとチキンはというと……。
三葉:「今日も良きポカポカ日和だな、四葉」
四葉:「はい、兄者。散歩気持ちいいですね」
二匹は神社の方へと散歩をしていた。
変な主(燈)がいなくて、ホッとする二匹だからだ。
女妖怪A:「見て、三葉様と四葉様……かっこいいわ」
女妖怪B:「本当に、今日も麗しい」
男妖怪C:「あいつらが来てから、俺たちやりにくいよな」
男妖怪D:「ホントだぜ、妖怪と神様ってだけで、俺らの方が下になるの間違ってねぇか」
男妖怪E:「おい、不敬なことを言うな!」
女妖怪A:「きゃーーーー! こっち見て微笑んでるわ!」
女妖怪B:「私たちには本当の姿が見えるのも、有り難いわよねぇ」
妖怪たちは、三葉と四葉の名前が入った団扇うちわを持ち、人間に紛れ込みながら、二匹が外にくると集まってくるのだ。
中にはファンレターを渡したり、食べ物を渡す妖怪たちもいる。
三葉:「ありがとう、頂くよ」
四葉:「僕は兄者がいればそれでいい! コケ!」
妖怪たち:「きゃあーー可愛いーーー♡」
観光客も賑わい、妖怪達賑わう
妖怪達には、三葉神と四葉神、神様の姿を見ている。
男妖怪C:「やっぱ、あの水無月燈がいないと平和だなー。あいつ、俺らのこと見えてるくせに、平気な顔して無視するんだよな」
怯えながら話す妖怪たち。
女妖怪A:「こないだなんて、私、学校のトイレで待ち伏せしたのよ。そしたら、燈なんて言ったと思う?」
男妖怪D:「なんて?」
女妖怪A:「何も言わずに……バタンッ! って強く扉を殴ったのよぉぉぉーーー! うわぁぁん!」
((……きっつう。燈の妖怪泣かせエピソード!))
トンカツとチキンは、二人してこんなことを思いながら妖怪たちの会話を聞いていた。
男妖怪E:「あいつは、マジの悪魔。こないだなんてオラの長い舌を見て、引っ張ろうとしてきたんだ」
妖怪一同:「「ひぇえーー、恐ろしい……。人間は私達を怖がるはずなのに……」」
【現在の格付け】
トンカツ&チキン:人気者
燈:悪魔
せっかく見える力を手に入れたのに、まったく使えない燈ちゃんでした。
一方、妖怪たちのボス的存在・座敷わらしの綿菓子ちゃんは――。
女妖怪B:「そういえば、あのお方――座敷わらし様は、三葉様から直々に頼まれたらしいわよ。お役目を」
男妖怪C:「すごいな、さすが座敷わらし様だ。でも最近見かけないわね?」
女妖怪A:「なんでも座敷わらし様、温泉にハマってしまって。今は全国の温泉旅行に行ってるらしいわよ」
妖怪一同:「「自由すぎる…………」」




