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カミーユとロザリーの話  作者: 十月猫熊
第2章 カミーユのお話
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43抱き枕

☆評価つけていただいてありがとうございます!


良く寝た…。


時間を気にせずに自然に目が覚めるまで眠るのは、休日だけの特権だ。


ロザリーじゃないけど、たまにはこういう日があってもいいな、そう思いながら目を開けると。


いつもの抱き枕を抱えているみたいな状態で、ロザリーをがっちりと抱きかかえて寝ていたことに気が付いて、叫び声をあげそうになった。


腕の中のロザリーは、僕の腕を枕にして、僕の胸におでこをくっつけて、まだすうすうと寝息をたてていて、目を覚ます気配がない。


そうっと頭の下に入れていた腕を抜いて、体を離し、ベッドから抜け出すと毛布を整え…まだ起きる気配がないことにホッとする。

ロザリーに抱きついていたなんてバレたら、どう思われたことか。


先に目が覚めて良かった。


時計を見ると、もう少しで昼だ。

半日以上眠るなんて、初めてのことかもしれない。


それだけ長時間リラックスして眠れたことにも驚きだったけど、ロザリーを抱き枕にして寝ていたのなら納得もいった。


僕らは他人の魔力を無意識に感じ取れるので、親しい人ならば、近寄ってくればその魔力の気配で誰なのかが分かる。


そして、ロザリーの膨大な魔力は、人によっては強すぎてそばにいるのが辛くなったり、逆にかがり火に引き寄せられる虫のように、惹き付けられることもあるらしいのだけど、僕にとっては波長が合う、ただ居心地の良いものだ。


だからこそ、何年もずっと隣にいられたし、隣にいた、と言ってもいい。

こればっかりは、本人の意思は関係ない。

生まれ持ったお互いの魔力の相性なのだ。


ロザリーにとっても僕の魔力が不快でないことは、回復魔法の時にホッとした顔をしているところからも、なんとなく知っている。


ロザリーと一緒に寝られれば、あのいろんな術を仕込んである抱き枕はいらなくなるな、なんて思ってしまう。


そんな日が来るといいな…そう思いながら、とりあえず顔を洗って、食事の準備を始めた。


着替えるかどうしようか迷ったけど、帰るときには僕の服を着たいので、このままで過ごすことにする。


ご飯ができたらロザリーを起こそう、そう思っていたら、ロザリーがリビングに顔を出した。


「あ、起きた。ご飯、食べるよね?」


起こすまでもなかったな、もしかしたらいい匂いに誘われて目を覚ましているのかも、なんて思いながら、ちょうど焼きあがったパンケーキをお皿に盛り付ける。


ロザリーは、今日はちゃんと顔を洗いに行って、ぼさぼさの髪も整えてから戻ってきた。


「昨日はさ、朝、一昨日の残りを一人で食べさせてもらってたんだけど、今日は僕も寝すぎちゃった。僕もさっき起きたんだよ。春ってやっぱりよく眠れるよね」


そんな話をしながら、焼いたソーセージを添えたパンケーキと、小さめのオムレツとサラダ、カットフルーツを並べていく。


「うんうん、そうよね」

ロザリーは並んだ料理にまた目をキラキラさせて、嬉しそうにしている。


「うはー美味しそうーいただきまーす」


パクパクと食べ始めたロザリーをしばらく眺めて堪能してから、僕も食べてみる。

オムレツもパンケーキもいい感じに焼けている。


食後のコーヒーを淹れて、まったりとした食後の時間を楽しむ。


そうだ、と服の件を話題に出す。


「外出禁止って明日の10時まででしょ?どっちみち遅刻だけど家に帰ってからだともっと遅くなるから、あの服明日まで取っておきたいんだけど、いい?」


つまり、今日はこのバスローブで過ごします、というのと、明日は一緒に出勤になるけど、という二つの確認だ。


「うん、時間の無駄だし、いいんじゃない?今日はどっちみち出かけられないんだから、何着てようが別に問題ないよね」


ロザリーが服装に無頓着で良かった。

だって色んな判断基準が生きるか死ぬか、だから。


その後は、今日は何しようか、って話になった。


とりあえず掃除をすることにして、ブノア直伝の掃除に魔法を応用したもの…俗に生活魔法と言われるものを披露すると、ヴィリエ家では使っていなかったのか、すごく興奮していた。


その後は、二人で並んで洗濯をした。

もうため込んではいなかったので、結構すぐに終わったので、窓拭きもする。


窓を、水魔法を応用した魔法で拭き上げる方法を教えてやると、ロザリーは相変わらず魔力の力加減ができずに一枚ガラスを割ってしまった。

ガラスを処分して、割れたところには紙を貼り付けて塞いでおく。


「なんかさ、すんごい力持ちのマッチョなお兄さんが力加減できなくて卵を握りつぶす、みたいなことよね、私」

頬を膨らませて自分に文句を言っているので思わず笑ってしまう。


「そうだねぇ、その通りだねー、あはは、分かってるね。学生時代の『制御力バカ子』のあだ名を忘れちゃだめだよね」


「そ、そんな名前で呼んでたのはカミーユくらいじゃない!」


「面と向かってはそうだったけどさ。みんな命が惜しいからそりゃあ直接は言わないよね」


学生時代はヴィリエであるロザリーは、みんなにとって憧れでもあり、畏怖の対象でもあり、近づきたいけど恐ろしい、そんな存在だった。


本人は分かってないようだけど。


短くてすみません。その分次話が長めです。

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