36.ちょっとだけの昔話
前の話書き足したので読んで頂けると話が繋がると思います。
エリックは目が覚めた。
ベットからおり窓の外を見る。今は、昼を過ぎた辺りだろうか。外は人通りが多い。少し眺めた後、1階で昼ごはんを食べる。今日の昼ごはんは、パンにスープ、サラダとポタージュだ。しっかりと完食して2階に戻りベットの上で寝っ転がり、天井を見つめる。今日は、1日何もやる事がない。そう、久しぶりの暇な日なのだ。といっても、この宿屋には小説がなく時間がつぶせない。
それなら、とのんびり散歩をすることにした。いつものように人通りの少ない道を選びながら、進んで行く。歩きながら、目に入った焼き鳥屋で2本焼き鳥を買って、食べながら進んでいると
「あっ、こんにちは。エリック」
「ああ、ユイか」
買い食いをしていた、ユイに会った。
「こんなところで立ち話はなんですし、座れるところで話しましょうよ」
「そうだな」
ユイが近くにある噴水を指さしながら、そういったのでそこへ向かう。噴水の周りは、ちゃんと座れるようになっているので、ユイと一緒に座った。
「こんな風に2人きりでお話するのは、いつぶりでしょうか?」
「ああ、だいたい2、3年ぶりぐらいだな。で、なにか大事な話でもあるのか?」
「いえ、ないですが、ただ少しだけお話したくて…。実はユノの事なんですけど、エリックはなにか知りませんか?」
「ユノの事は、特に何も知らないな」
「そうですか。何か落ち込んでいるようだったのですが」
「へー、相変わらずだな。けど、俺は何も知らないぞ?」
「やっぱりそうですか…。そんなに、問題はないと思ったんですけど…。今、色々と噂になってるんです。勇者が調査しに行った場所は、幽谷の奥の奥。そこで勇者以外は皆、死に調査を切り上げて帰ってきたのだとか」
「そうなのか。だから、帰って来るのが早かったのか」
「えっとー、あくまで噂なので、本当かどうかは分かりませんが…」
「そうか。にしても、それだけでユノが落ち込むか?」
「そうなんですよ。そこなんです。この話に、落ち込む要素なんてないんですよ。だから、エリックに話してみたのですが…」
「んー、心当たりが全然ないな。ごめんな。なにか分かったら教えるよ」
「分かりました。私も少し調べてみます」
そうユイはそう言い立ち上がる。
「すいません。少し、お時間取らせて頂いて」
「いいよ別に。パーティー仲間なんだから」
「そうですね。では、私はこれで失礼します」
「じゃ、また今度」
ユイは、エリックに手を振り別れた。エリックは、見えなくなるまでユイの後ろ姿を見つめる。歩くユイにエリックは、ぽつりと
「ユイは本当に、変わってないな」
と少しだけ昔を思い出した。
ユイが勇者パーティーに入ったのは、3年ぐらい前。ユイが最後に勇者パーティーに入ったので、一応エリックは先輩だ。まあ、それはさておき。ユイは、自分のことを話そうとはしない。どこで生まれどこで育ったのかなどユイの過去のことは、エリック含めおそらく誰も知らない。だが、1度だけエリックにユイが過去に何があったのかを、少しだけ話してくれた事があり、今でも覚えている。
昔、どこかの王国でユイの母が、占い師をやっていたらしい。その占いは、百発百中で当たっていたのだとか。その占いに、憧れたユイは母に少しだけ占いの仕方を教えて貰い、母の手伝いをしていた。やがてその評判を聞きつけて、客が殺到しだしたがこれが、いい意味でも悪い意味でも結果的に注目された。
そして、ある日母は誘拐されて酷い拷問を受けたのち、死んでしまったのだとか。父は生まれた時からおらず、ユイ1人だけになり母が残してくれたお金で、何とか生きていきやがて冒険者になり、ユノに拾われ勇者パーティーに入った。
と、まあこんな感じの過去しかユイについては知らない。どの王国で占いをしていたのか、なぜ拷問を受けたのか、なぜ死体を見ていないのに死んだと分かったのか、と色々疑問はあるが、言いにくいのか知らないのかのどっちか、なのだろう。知られたくない過去を探りを入れて、暴くというのはエリックには気が引けるので、ユイがまた過去を話してくれるまでは、エリックは何もしないと決めている。なので、この話はまた今度だ。
ユイが見えなくなりエリック1人になった噴水の前で、さっきユイが言っていたユノが落ち込んでいる、という話。ユイは人の感情を読み取る能力が尋常でないので、おそらくユノは調査中に何かあったことだけは、確定した。だが、考えても仕方ないので今度ユノに会ったら聞いてみることにして、散歩を再開した。
それから30分後。
いつもより遠回りをしながら進んだせいか、だいぶ歩き回った。後もう少しで宿屋に着く距離まで来た時、後ろから声がかかった。
「エリック、こんなところで何してるんだ?」
まさかまさかのユノだった。マスカよりは、良いユノだ。
「あー、ユノかこんなところで、何してるんだ?」
「いや、たまたま散歩してたらエリックをみかけたから、声をかけてみたんだよ。で、今ちょっとだけ時間ある?」
「今は、別にいいぞ」
「そうか。なら少し、話す場所を変えよう。少し大事な話があるんだ」
そうユノは、真剣な顔で言ってきた。
回想シーンを書くのはとても楽しいです。




