御前会議 1
「号外!王国が帝国に経済制裁を科したよ!とうとう2つの大国が戦争状態に入ってしまうかもしれないよ。」
と新聞屋は慌てながら号外を配布していく…王国が帝国に経済制裁を科したと言う内容のを。
国民は驚いた、何故ならあの2大国は仲良くすることでこの大陸の平和を取り戻し良い世界にすると誓い合っていたからだ。それは帝国側も同じ状況に陥っていた。国民達の不安を取り除くため工作活動が始まった。
現在俺たちは安全のため王城に場所を移した。王城には国王陛下、兵、閣僚や亡命者達が身の安全確保のため移っているからだ。
「レイン様…帝国から、皇帝からのお手紙です。」
とアナベルは急ぎ気味にそう言いながら俺に手紙を手渡す。確かにその手紙の送り主はメヘテル=エレストミル…現皇帝だった、おそらく報復するつもりだろう。
「だいたい予想はついているから見なくても良いんだが…一応見ておくか。」
と俺は言いながら、封を破るとそこにはなんと「帝国としては戦争を望んでいない。帝国議会でいま問題になっているから会談をして両者ともに平和に終わらせよう。」と書かれた文章が入っていた。
「ありえないなぁ…あの帝国のことだから、宣戦布告の文字しか書いていないのかな?と思ってたが…国王陛下や閣僚の招集をしよう。」
と俺はそう言うとスーツを着て部屋を出ると主要メンバーを呼びに廊下を歩き始めた。
「と言うわけで…両国の友好関係を国民にアピールしなければなりません。そのために早期に会談を開き、一緒に食事をして握手をするのはどうでしょうか?」
と俺は一つのことを提案した。経済制裁の理由はまだ公表していない…だからこそ早めに平和に収めることで両国の関係性をアピールし、帝国に勘づかれると困る"あのこと"を知られさせないようにさせるためだ。
「ダメです国王陛下、このまま戦争をしましょう。そして国土を広げもっと豊かな生活を送るのです。」
と金融大臣はそう問題発言を閣僚達の前でする。確かに一理あるが被害が大きくなってしまうと元が取れないとどこかの新聞で専門家が言っていたはずだ。
「金融大臣…【越えざるもの】級が帝国に持っといたらどうしますか?兵は野垂れ死に最悪の場合、王都守護星であるレイン君でも死にかねません。そうなると我が王国は破滅の一途を辿ってしまいますよ。」
と国防大臣は俺の意見を採用する形としてそう反論した。確かにその通りだ、俺が死んだらアナベルが覚醒してもギリギリ負けるだろう。アリスも戦死しかねない。そんなことは望まないからだ。




