デートの様な王都案内
あれから一週間ずっと魔力操作を練習して自分の出した魔力ならそれなりに操作出来る様になった。
そろそろ空気中の魔力操作に切り替えようかな。
「アロイス、貴方今日も練習しようとしてる様だけど、今日は王女殿下とデートよ」
忘れてた。
「母上。デートではなく、案内ですよ」
そこは間違えないで欲しい。デートなら僕がエスコートしなくてはならないが、王都を知らない僕にはエスコートなんて全く出来ない。
「どっちも一緒よ。そんなのはいいから早く準備しなさい。待たせては駄目ですからね」
「はい、今すぐ準備してきます」
「アロイス様準備はいいですか?」
「うん、今行くよ。王城までよろしくね」
「かしこまりました」
セバスに王城まで送ってもらい、エリナを門の前で待つ。
「アロイス、お待たせしました」
王女らしい服装ではなくそれなりに裕福なお嬢さまの格好をしたエリナが出てくる。
「いえ、待っていませんよ。それより、とてもかわいいですよ、王女殿下」
「あ、ありがとうございます。アロイスもとてもカッコイイです」
顔を赤らめるエリナがなお可愛く見える。
「ありがとうございます、そう言ってもらえると嬉しいです」
「では、参りましょうか」
「はい、本日はよろしくお願いします」
「任せて下さい。今日は絶対にアロイスを楽しませる様考えて来ましたから」
それはそれで嬉しいが。
「僕は王女殿下といられるだけで楽しいので、そんなに意気込まなくても大丈夫ですよ」
「あ、ありがとうございます。そう言って貰えるのは嬉しいのですが、出来れば王都の事をよく知ってもらいたいので、頑張ります」
顔を赤らめてから握り拳を作る。可愛いな。
「そうですか、分かりました。ではお手をどうぞ王女様」
「はい。えへへ、なんだかデートみたいで楽しいです」
「じゃあ今日はデートのついでに案内をしてもらうと言う事でどうでしょうか」
「はいっ、それがいいです。まずは何処に行きましょう?」
領地には無いものが見たいな。
「そうですね、僕は本当に王都の事を知らないので、色々なお店を見てみたいです」
「では商店が集まっている広場に向かいましょう。楽しいものがたくさんありますよ」
商店街みたいな感じかな?
「分かりました。まずはそこに行きましょう」
「アロイス、今日はデートなのですから敬語はなしでお願いします」
「ですが、護衛の方もいますし」
「婚約が決まっているのですから大丈夫です」
「分かったよ、エリナ」
「はいっ!」
「じゃあ行こうか、方向はこっちで合ってる?」
「はい、ここを真っ直ぐ行けば着きます」
それから僕達は商店街に着くまで他愛もない話をしながら歩いていく。王族なのに徒歩なのは、一応今日はお忍びということになっているらしい。
「もう着きますよ」
「あそこがそうなんだね、人が沢山いるね。逸れない様にしっかりと手を握っていてね」
「は、はい。なんだか私の方が楽しんでいますね」
「そんなことないよ、僕もエリナと歩いてるだけだ楽しいから」
「それなら良いですが、案内の方はしっかりとしますので」
「うん、そこはお願いね」
「はい。着きましたね、まずはどんなお店があるか見ながら、気になるお店に入りましょう」
「うん。あっ、あそこのお店は何かな?」
「あれは魔道具のお店ですね、入りますか?」
「そうだね、魔道具はお店は見た事ないから入ろうか」
そのままお店の中に入ると店主が迎えてくれる。
「いらっしゃいませ。本日はどの様なご用件でしょうか」
こちらの格好を見て丁寧な対応をしてくる。
「いえ、これといって欲しいものがあるわけでは無いのですが、中を見せて貰ってもいいですか。」
「どうぞ、お好きなだけ見て下さい」
「ありがとうございます」
冷やかしみたいな感じになってしまうが仕方がない。
「これはどういう魔道具なのでしょう?ただのペンダントに見えるのですが?」
エリナが何か見つけた様だ。
「それは自分の周りに薄い膜を作って気温が高くても快適に過ごせる魔道具になっております」
へぇー、これは面白い。前の世界では服にファンがついて風を流したりして涼しくしていたけど、それよりも快適そうだな。
「試しても良いですか?」
「どうぞ。ここにあるものは、壊さなければいくらでもお試し頂ける様になっておりますので」
「ありがとうございます、ではさっそく」
おー、これは良い。自分の周りだけ冷たい冷気が漂ってる感じだ。
「これは良いですね。とても涼しいです。これはとても売れそうですね」
「ええ、物は大変素晴らしい物なのですが、あまり売れないのですよ」
「?どうしてですか?」
「実はこの魔道具を作れる人が1人しかいなくてどうしても価値が上がってしまい値段が高いんです」
「いくらですか?」
「金貨で10枚です」
⁉︎たっか、金貨10枚は平民には手が届きそうにないな。確か平民の基本給料は1ヶ月銀貨5枚、生活するのに銀貨2、3枚使うらしいから無理だろうな。
「確かに高いですね。貴族か豪商位ではないと買えそうも無いですね」
「そうなのですよ。魔道具師の方が、イメージを教えて貰い作ったこともあるらしいのですがらどうもここまでの性能にならないそうです」
「なるほどそれだと値段も下げられませんね」
へぇ、この魔道具難しいんだ、でも僕なら作れそうだな。
「ええ、なのであまり売れ行きも良くないですね、1ヶ月一個売れれば良い程度ですね」
「大変ですね」
「これを売るのは大変ですが、他の物が売れますので、そこまででは無いですよ。そうですね、お客様にはこれなんかはおすすめですよ」
「これは?」
イヤリングの様に見えるが。
「これには軽い衝撃を吸収してくれる効果が付与されているのですが、お客様のお相手の方はとても可愛らしいので何があるか分かりませんので、有ると便利かと」
衝撃吸収か護衛がいるけど何があるか分からないから身につけて貰うのは良いかも知れないな。
「良いですね。買います」
「ありがとうございます。種類がありますのでこちらからお選びください」
この銀色の蝶の様な形がいいかな、ちょっと恥ずかしいけど、僕の髪の色と同じだ。
「ではこれで」
「かしこまりました。銀貨5枚になります。こちらはすぐに身につけられますか?」
「そうですね、まだ他にも行くところがあるのでこのまま着けてもらいます」
お金を払ってそのまま貰う。
「分かりました、ではどうぞ」
「ありがとう。エリナ、ちょっと良いかな?」
いつの間にか違うところを見ていたエリナを呼ぶ。
「どうしました?」
「もし良かったらこれ、受け取ってもらえないかな?」
「こ、これは?」
「これには軽い衝撃吸収が付いてるみたいなんだ。この後も歩くし人にぶつかった時なんか便利だと思って。それとエリナに似合うと思うんだ」
「あ、ありがとうございます。嬉しいです、付けてみても良いですか?」
「うん、是非付けてみて」
「ど、どうですか?」
うん、思った通り可愛い。
「良く似合ってる。可愛いよ」
「あ、ありがとうございます」
顔、真っ赤。本当に可愛いな。
「エリナは何か良いの見つかった?」
「いえ、これといって無かったです」
「そっか、じゃあ別のところに行こうか」
「はい」
「ありがとうございました、又のお越しをお待ちしております」




