「それは、わがままだ」と言われた ― 公募と連載で追い詰められた書き手の話 ―
わがままだと言われた件
こんにちは。雨日です。
今日は、34日ぶりに連載小説を書いた話をする。
◇公募用の小説が9割完成した
連載のストック(下書き)がある間、雨日は公募用の原稿に挑戦していた。
34日間。
今年は大雪だった。
ヒーヒー言いながら、なんとか書き終えた。
あと残っているのは、見直しと修正だけ。
ここまで来ると、ようやく連載の続きを書く余裕が出てくる。
でも、正直に言う。
公募原稿は想像以上にハードだった。
なろうの連載みたいに、自由に書くものとは違う。
構成、伏線、文章。
全部がきっちりしている。
書き終えたあと、思った。
「あぁ……疲れた」
目も疲れた。
文章を書くって、意外と体力がいる。
もう若くない。
スローライフが理想だ。
頑張らない暮らし。
のんびり生きたい。
そう思いながら眠りに落ちた。
◇一晩で復活してしまった
翌朝、いつものように、朝4時に起きてパソコンを開く。
今までは公募原稿を書いていた。
でも、その日は違った。
34日間放置していた連載の続きを書くためにパソコンを開いていた。
え。
やだ。
疲れているはずだ。
しばらく休むはずだった。
スローライフ。
頑張らない暮らし。
そう思っていたのに。
気がついたら、指がどんどん動いていた。
そう。
回復してしまったのだ。
一晩で。
自分が怖い。
そして久しぶりに連載を書いて気づいた。
筆のスピードがめちゃくちゃ上がっている。
どんどん書ける。
これは34日間、公募に向き合っていた成果なのだろうか。
頭の中には、次の文章がストックされている。
公募を書いている間、
それらがずっと頭の中で渦巻いていた。
外に出せなくて苦しかった。
例えるなら――便秘。
それを吐き出す作業は、めちゃくちゃ気持ちいい。
そして不思議なことに。
一ヶ月以上悩んでいた胃痛が消えた。
どうやら、かなりストレスが溜まっていたらしい。
◇公募と連載の両立
このまま勢いに乗って、連載のストックを増やしたい。
今、ストックは13話。
30話くらい溜まると、
ようやく安心して生活できる。
……が。
現実は甘くない。
公募原稿の見直しと修正が待っている。
これは正直、苦しい作業だ。
◇趣味なのに追い詰められている
最近の生活はこんな感じ。
朝、連載を1話書く。
そのあと、空いた時間はずっと公募の編集。
何をやっているんだろう。
仕事と原稿の両立だけでも大変なのに、
そこに公募まで追加された。
趣味なのに、追い詰められている。
もっと楽に生きたい。
そう思うのに、なぜか自分で自分を追い込んでいる。
さらに追い打ちをかけるように。
一緒に店を営んでいる家族が言った。
「来月から商品の値上げをする」
待って。
今それ言う?
こっちは戦の最中なんだけど。
そう言いたい。
でも現実は待ってくれない。
雨日は経営者なのだ。
労働基準法?
そんなものは、この世界にはない。
サブスクのような働き方が許される世界に身を置いている。
◇明日締切のような生活
少しでも時間が空くと、公募の編集をしている。
今日も朝からずっとやっていた。
疲れたので、気分転換にこのエッセイを書いている。
書き終えたら、また編集に戻る。
夕飯の支度をしたら、ブログ更新。
そんな雨日を見て、家族が言った。
「そんなに焦らなくてもいいだろ」
いやいや。
呑気にしていたら、この原稿は一生パソコンの中だ。
すると家族は言う。
「明日締切じゃあるまいし」
くつろぎながら、YouTubeで車の動画を見ている。
ちなみに最近、家族は新しい椅子を買った。
その椅子。
4年前から狙っていたらしい。
安売りを待ち続けて、4年待って、ようやく買った。
……4年。
雨日なら4年も待たずに買う。
欲しいものがあっても、4年待てる人なのだ。
そんな人が、パソコンにかじりつく雨日に言う。
「まだどこの公募に出すか決めてないんだろ?」
「決めてない。でも仕上げたい」
「一年ぐらい、のんびり直せば?」
無理。
一年も編集するなんて無理。
そう言うと、家族は椅子に深く座り直して言った。
「余命3ヶ月じゃあるまいし」
そして、こう続けた。
「4年ぐらい待てばいい」
4年!?
無理!!
いやだ!!
そう言う私に、家族は静かに言った。
「それは、わがままだな」
え?
わがまま?
呆然とする雨日を横に、
家族は楽しそうにYouTubeを見続けている。
新しい椅子は二脚。
でも雨日は、その椅子に座ってくつろいだことはない。
そして多分――
この公募が終わっても。
また何かを書いている気がする。
それが、ちょっと怖い。
ちなみに、読者様に伺いたい。
これは、わがままなのだろうか。




