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第1話 非日常への入り口

 その家には二つの禁止事項があった。

 以下の二つは自宅内に限ったものではない。


 一つ、その者の身体を他者に見せるべからず。


 一つ、その者に他者の身体を見せるべからず。




 家族とは何か。

 両親から産まれた子供だけが家族の一員になれるのか。

 では、養子はどうだろう。血の繋がりだけが家族の証明ではない筈だ。

 では、"途中から血が繋がった者同士"ではどうだろうか。



 これまで家族とは良好な関係を築いていたと思っていた。

 その者は両親を知らなかった。育ててくれたのは父方の伯父夫婦である。

 幼い頃に両親を事故で亡くしたと聞かされて育った為、物心をついた時から伯父夫婦が家族だった。

 他人から見ると希薄に映るようだが、個人的には日々の生活に不満はなかった。

 そんな日常は高校入学を直前に控えて脆く崩れ去った。

 昨日までと別人のように豹変した家族に追い出されたのである。



 田舎町から都会の高校へ進学が決まっていたその者は途方に暮れ、右も左も分からない都会の町に居た。

 日が沈み、雨が降り出した。

 どうして良いのか分からず、公園のベンチに腰掛け、項垂れる事しか出来なかった。



 三月の夜は冷える。

 寒さに凍え、小刻みに身体が震える。

 このまま凍え死んでしまうのか。そんな悲観的な事を考えていると降りかかる雨が遮られた。

 顔を上げると中学生、見方によっては小学生にも見える少女がその身体では持て余すであろう大きな傘を頭上に掲げていた。



「こんな雨の日に、傘もささないでどうしたの?」


 少女は迷いのない、一直線の声で問いかけた。



「ちょっと、色々あってね」


「家には帰らないの?」


「…帰りたいんだけどね。今の僕には家がないんだよ」


 そのか細い声に少女は困惑した。

 目の前の人物が心底困っているのは誰が見ても分かる。

 しかし、その者に手を差し伸べる人は誰一人としていなかった。

 少女は少し考え、笑顔で告げた。



「じゃあ、ボクの家においでよ」


 これがただの中学生だった石動イスルギ レンと一見すると美少女の凰花 さくらとの出会いだった。

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