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これからの動きについて

貴斗視点です

「お呼びと伺いました。若、ご用件は。」

「お疲れ、景介。まぁ、座ってよ。」


初音を家に送り届け、俺は景介を部屋に呼び出した。今後のことも計画を立てたいし、仕事の割り振りもしなければ。


「初音が景介のこと受け入れてくれてよかったね。」

「そうですね。……まぁ、あのご様子では、本当に頼ってくださるかは分かりませんが。頼りにしていただけるよう、信頼関係を築くことを目下の目標にしようと思います。」

「うん。たぶん、当分俺は初音に警戒されるだろうから、景介が先に仲良くなっといてよ。」

「よろしいのですか?」

「うん。今の状況で初音の好意を俺に向けさせるなんて、至難の技だしね。……でも、余計なことはしないでよ?お前が手段選ばず動き出したら、何するか分かんないんだから。……景介なら、マインドコントロールとかもできそーだよねぇ……。」


目の前の笑みをしばし見つめ、その胡散臭さにため息を漏らす。変なところのスペックが高い幼馴染みだ。世間慣れしてない女の子を相手に、本気を出せばすぐに心理状態のコントロールなんてできるだろう。恐ろしい奴め。

俺の考えたことに気づいたのか、景介は嬉しそうに頷いた。


「えぇ。若の素晴らしさを伝える、という点でしたら、お嬢にご理解いただくことは可能かと思います。」

「嬉しそうにしないで、褒めてないから。やめてよ?初音をコントロールするなんて。……初音に影響を与えるのは俺でありたいんだから。」

「承知しました。私は、話を聞くに留めておきます。」

「うん。」


景介の返答に気を良くして頷く。ずっと、それこそ親よりも一緒にいる景介だ、俺の考えも察したんだろう。

元来、俺はわがままで独善的な男だ。俺のモノに手を出されるのは我慢ならないし、俺のモノのために誰がどうなろうとどうでもいい。俺のモノが無事ならば。俺の初音は俺が守りたいし、俺が着飾りたい、俺だけが愛でていたい。初音に影響力を持つのは、俺だけでありたい。

そのためにも、初音の中での存在感を早急に増さなければ。頭の中で、これからの計画を試算する。何回も繰り返し行っているが、今のところ大きな失敗はない。でも、油断は禁物だ。俺を取り巻く全てが俺の盤上の駒ではないのだから。


「てわけで、俺が早く初音に専念できるように、仕事進めよっか。親父からの依頼がこれ。俺個人のがこっち。後はないかなぁ。景介は?」

「明後日、例の転入生が籍を移してきますので、その処理が少々残っておりますが、問題はございません。仕事を任せていただければ取りかかることも可能です。」

「ん。じゃあ、こっちやってもらおうかな。親父がまた不正を見っけたって丸投げしてきたから、マッポに突き出すまでしたいよね。可能なら、早く処理して親父の鼻を明かしてやりたいとこだけど、それはいいや。」

「承知しました。証拠固めをしておきます。……こいつらに手出しは。」

「警察で歌えるようにしといてねー。」


俺の黙認に、嬉しそうに景介が笑う。警察の取り調べで話せないほどにはやるなと言っておけば、景介も加減するだろう。それでも、それは本当に加減したのか分からないものとは思うけど。


「これらはすべて、数日中に結果をお持ちします。」

「よろしくー。俺も早く終わらせないと。俺の用はこれで全部だよ。景介は他に言っとくこと、なんかある?」

「先程少しお話ししましたが、月曜日は転入生の件で少々遅くなります。」

「了解。んじゃあ、俺はその間、初音と親交を深めてよっかなあ。待ってるよ。」

「ご迷惑をお掛けします。」


互いにスケジュールを確認し、仕事を分け、手を付けていく。内容自体は簡単だ。仕事を進めながら、頭半分で初音のことを考える。

今後、初音をオトすには、俺が誰よりも初音を守れて、誰よりも頼れる存在だと思わせれば早い。さらに言えば、今初音の感じている恐怖心からの従属を、俺への好意からの献身に変えたい。俺は従順なだけの女が欲しいんじゃない。俺が好きになって、俺を好いてくれる初音が欲しい。

非人道的な手段を用いれば、今の状況からでも、十分その道はある。マインドコントロールは、景介の専売特許ではないのだ。その手の方法だって、俺の手札には含まれている。その一つはもう実行中だ。年内には次の段階に進む用意もある。

もちろん、この俺の目論見は親父や景介は知っている。親父には殊更睨まれている。親父だって母さんを手に入れるために同じようなことやったくせに、今さら何を言ってるのか。初音に非難されるのは甘んじて受けるけど、親父からは言われたくない。


「親父に文句言われる筋合いないって話だよ。」

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