浜野辺紅深という女
「な~んか今日は散々だったな。ラーメンでも食うか?」
時刻は夕方、帰り道をいつものように歩いてた所だった
「うん。ちょうどお腹減ってたしね。」
返事をすると、いつも通りには笑わなかった 。
疲れているのだろう。あんな事があったからな
「とか言ってる間に着いちまうってね。ん~お前一旦バックに隠れた方がいい。中で誰か隠れているかもだからな。」
確かにそうかも知れない。俺は肩から腕を蔦ってバックの隙間に入った。もはや第二の部屋と成っているバックの中だが、未だ揺れは慣れない
「いらっしゃいませ~あ、君かぬいぐるみはどしたん?」
店長の声が聞こえて、俺はバックから顔を出した
「あ~そこに居たんか。ま、いいや。注文は?」
座る前に注文を聞くシステムだったのか!この店はじゃあ食券制にすれば……なわけあるか!!!
「ラーメンの半分とチャーシューメン。それと飯大盛りで」
動揺一つしなかった。普通に座り、普通に待っている
どうやら店には誰一人客が居ないらしく生活音だけがこだました
その様子をバックの隙間から見ていると誰が入ってきた
その女は入ってくるなり隣りに座ったのだった
そしてラーメンだけを注文する
じーーーっと目を細めて見てると
突然、女は倭斎隗の方に手を伸ばした
目がぱちんとなる
その腕は大理石で出来た彫刻の様に細かった
「悪魔……か。確かにね」
ベリーソースの様にその甘い声は聞いてるこちらさえも照れてしまう
「……誰だお前は」
はぁ……対してだ なんとこの男は色気が無い声を出すのだろうか
「青犬と言えば分かるかしら?選ばれし六人さん?」
驚愕だった
だってゲームで言えば四天王ぐらいのボスが自分から現れてくれたのだ!
いや、アホか!
「ああ…野犬団か。で、野犬団の青犬が何を?」
「あなたねっ……」
突然、青犬はカウンターを両手で叩いた
「あなた今、裏サイトで悪魔にされてるのよ!分かってんの!?」
初耳だ。というか今までは悪魔と呼ばれていなかったのか
「学園には悪魔を取り込んで悪魔になった男が居る
そいつはぬいぐるみに魂を吹き込み自分のモノにしたって!あなたこんなデマ流されて悔しくないの!ねぇ
」
青犬は激しく倭斎隗を揺さぶる。揺さぶりすぎて目が回っている
「答えて!ねぇ答えて!」
もはやさっきまでの冷静さは何だったのか……
が、その時
「はいよ!半分のラーメンと飯大盛り!チャーシューの方はちょっと待ってね」
タイミングよくラーメンとご飯の大盛りが置かれた
「……いたたひましゅ」
まだ目が回ってる状態で倭斎隗はラーメンをすすり始める
てゆうか大丈夫か?
「ふんっ……!」
青犬はカウンターの小皿を取ってご飯を取り分けた
3分の2ぐらいを
「さっきの話だけどさ……」
倭斎隗は元に戻って話し始めた
「悔しい訳ないだろ。大体俺は悪魔なんか会ったらぶん殴ってやるからな。契約なんてする訳がねーんだよ。あ、仕返しが出来ない場合に限るが」
青犬は不満そうに見つめていたが、
「それでこそ野犬団のライバルに相応しいわ……」
と呟いて小皿のご飯をかきこんだ。
「ラーメンとチャーシュー麺……置いておきます」
申し訳無さそうにそっと店主は二つの器をそっと置いた
「……このラーメン屋中々いけるわね」
と、言いながらあっという間に食べきってしまった
そして財布から幾らかの金を出して
「釣りはいらない」
と言って金をカウンターに出し
「最後にいい事教えてあげる。私の名前は浜野辺紅深、野犬団のリーダーよ」
と振り向きざまに言ってどこかへ去った
呆れた事に俺たちの分まで払ってくれたらしいが、その金はお釣りなど一円も出ない程ピッタリだった。
……チャーシュー麺美味しい




