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「殿下!!!大変です!!隣国より新国王が来られました!!」
急ぎと飛び込んできた衛兵は、とんでもない事を口にした。
「なに!!ローズは!?ローズは無事か!」
「・・・・殿下。心配するところが違うでしょう!!」
とても愛しい人の声が聞こえた。
「ローズ!!」
「待った!抱きついたら怒りますよ!?」
そう言われ、急いで急ブレーキを自分にかけた。
「・・・ローズ。無事でよかった」
「殿下。ご心配おかけいたしました。ただいま戻りました」
ローズは丁寧にお辞儀をした。
「こいつか。ローズ」
愛しいローズの後ろから、聞き覚えのない声が俺をこいつ呼ばわりした。
「・・・・・ローズ?それはだれ?」
「あ、あの・・・」
ローズが言いづらそうにその男を見上げると、そいつは事もあろうに俺のローズの肩を抱いた。
「ローズの婚約者だ」
「何!?婚約者!?」
思わずそいつを睨んでしまった。
「違う!!違うでしょう!!国王様!!」
ローズがそいつを国王様と呼んだ。
・・・と言う事は、さっき飛び込んできた衛兵がいっていた、隣国の新しい国王か?
「・・・・貴方がフィナール国の新しい国王ですか」
「うむ。そうだ。ノーダンだ」
「・・・国王様、ノーダンっておっしゃるんですね・・・。知らなかった・・・」
ぽつりとローズがつぶやいた。
「そうだぞ?言っておらんかったか?すまぬな。だが、これから知る時間はいくらでもある。あんなことやこんなことまで教えてやる」
ニヤリと笑う新国王の意図は変態的な意味も含まれていたのだろう。
何を言うんだ?この馬鹿国王は!
ほら!ローズは純真だから、何を言われているか解らず首をかしげているではないか!!
「はは。私のローズをお気に召して頂けたようで光栄です。しかし、先程聞き捨てならぬ事をおっしゃられてましたが、御冗談もお上手だ」
「冗談?ほぉ、そちには冗談に聞こえたか?私は本気で言っておるのだがな。今回の報告の為に、ローズを一度こちらへ連れてきたが、私は一緒に連れ帰るつもりだ」
何を!!
ローズを連れ帰ると!?
「・・・おふざけもほどほどにして頂けませんか?ローズはこの国の者です。ましてや、国王の妃など・・・」
「お前は偏見の塊か?本人が承知しておれば何の問題もなかろう?」
「・・・では、ローズが承知したとでも?」
まさか・・・
隣国に言っている間になにかったのか・・・?
「してません!!」
ローズが思い切り否定した。
「何。すぐに気など変わるわ。こいつではお前を持て余してしまうだろう?」
2人が親しそうにしているのが気に入らなかった。
「私がローズを持て余すなど・・・はっ!ありえませんね!」
こいつはすでに俺の中のうざい人物1位の栄光に輝いていた。
「・・・・いい加減にしてください!!2人とも!!」
ローズの一声で、俺と新国王は黙った。




