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しばらくして、落ち着いた私は国王様から離れて、国王に促されてソファーに座っていた。
「・・・・みっともない所をお見せして申し訳ありませんでした・・・・」
ハンカチで目元をぬぐうと、国王に謝罪をした。
「・・・いや、かまわん。泣きたいときに泣け。大体、女が泣く事は悪い事ではないだろう?」
にやりと笑う国王はどこか宰相様に似ていた。
「・・・・それは、武器として使う時に限ります」
「ふむ。軽口が聞けるようになったか。しかし、大いにその涙は活躍しておるぞ?」
「は?・・・どういう事ですか?」
「ローズ、私の妃にならないか?」
あまりに唐突過ぎて何を言われたのか一瞬分からなかった。
「・・・・御冗談を。からかわれるのなら、他のお相手にしてください」
まったく失礼な話だ。
さっきまでシリアスな話をしていたのに、この切り替えの早さは一体何なんだ!?
「・・・・冗談ではないぞ?私は、本気でお前が欲しいと思った」
「バカな事を言わないでください。・・・・まだ、私が何か致しましたか?」
もしや、シグの件以外にも何かしてしまっていただろうか?
「・・・・お前の恋愛回路はどうなっておる?なぜ、そんな発言に繋がるのだ?」
不思議そうに首をかしげる国王にこっちが首をかしげたいくらいだった。
「・・・・・それはこちらのセリフです。なぜ、私を妃にしようなどという発想が出てきたのです?」
「それはお前、お前ほどの勇敢さや頭の良さ、優しさなどに惚れたに決まっておる。裏切り者の為に流す涙をみてとても純真な奴だと思ったのだ。お前の様な奴を私は探していたのかもしれない」
国王は先程まで座っていたソファーから腰を上げ私の前で膝をついた。
「!!おやめください!!」
慌てて席を立とうとするが、国王に止められた。
「そのままで!ふ、この手も真っ白で美しい」
国王は私の左手をとると手の甲にキスをし、そのままの形で目線だけを私の方へ向けた。
「ローズ、私とこの国の立て直しに貢献してくれないか?私と結婚してくれ」
ローズは顔を真っ赤にしてその場に立ちすくんでしまった。
「ふふ。お前は賢いだけでなく可愛いのだな。ますます手元に置きたくなった。国に報告が済めば迎えをよこす。こちらに戻ってきたら結婚式をあげよう」
あまりの事に固まっていたローズは、勝手に進む話に焦ってしまった。
「ま、まってください!!私には心に決めた人がおります!国王様と結婚はできません!!」
何とか、口から言葉がこぼれおちた。