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勇者パーティーから追放された雑用係は全てを呪う復讐者に、なりません。  作者: 水無月 黒


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第五十六話 第九階層に向かいます

ブックマーク登録ありがとうございました。

 準備万端整えて、いよいよ第九階層を探索するためにダンジョンへとやって来た。

 今回、第五階層は運よく二日目に他の冒険者が探索した通路に出ることができた。このところ、国の後押しもあってか、日に日に第五階層の地図(マップ)が埋まって行っていた。最近はダンジョンに向かう前に必ず冒険者ギルドに寄って最新の地図(マップ)を入手するようにしている。

 現在いるのは第六階層。本来ならば素通りする階層なのだけど、今回はちょっとした用事があって寄り道した。

 「『修復(リペア)』!」

 エレノアさんの魔術によって、組み上がって行くのは二艘目の船。それも、漁船だった。

 今回、アルスター王国は本気だった。第五階層の探索もまだ道半ばなのに、もう第六階層で漁をする準備を始めていた。そこまでして新鮮な魚が食いたいか!

 まあ、今のところダンジョンに船を持ち込めるのは大容量の魔法鞄(マジックバッグ)とエレノアさんの魔術の組み合わせだけだから、余裕のある時に持ち込んでおいて欲しいという話なのだけどね。

 僕たちは漁船が正しく組み上がったことを確認後、水に浮かべて浸水していないかを調べた。その後は錨を下ろして砂浜近くに停泊させておく。潮流とか嵐とかもないのでこれだけで船がどこかへ流される心配はない。

 「……試験航行は?」

 「それはまたの機会に、だな。」

 エレノアさんが未練がましく言うが、今は第九階層を目指す途中、そこまでの暇はなかった。エレノアさんが釣りを始めると確実に長引くからね。


 第六階層での用事を手早く済ませて、さっさと第七階層に降りてきた。第七階層はやっぱり空白地帯からの出発だった。

 第七階層は地図(マップ)の空白も多く、第五階層のように他の冒険者が探索を行うようになるのはずっと先になるだろう。降りの『ポーター』を見つけるまで地道に探索して行くしかなかった。

 そして今回はこの階層で試しておきたいことがあった。僕とジェシカさんの新装備だ。一応ダンジョンに入る前に特訓もしているけど、一度モンスター相手にも試しておきたい。さすがに第九階層のモンスター相手に実戦デビューは避けたいし。

 第四階層までは通り抜けることを最優先で戦闘は避けてきた。

 第五階層ではそこそこ戦闘を行ったけど、下手に受けると武器が破壊されるので小回りの利く短剣の方がやり易かった。

 第六階層はほぼ戦闘無しで通り抜けられるので、船を組み立てた後は素通りした。

 第八階層はまたボウガンに持ち替えて支援に徹する予定だ。

 そういうわけで、この第七階層で試すのが一番よかった。

 ちょうどおあつらえ向きにミノタウロスとオーガが一体ずつ現れたので、僕とジェシカさんは新調した武器を構えて前に出た。

 僕の新しい武器は、片刃の直刀だった。刃渡りは七十センチ程度で、真直ぐな刀身は斬撃だけでなく突き刺すことも考慮されている。

 僕は真直ぐにミノタウロスに向けて走り出した。武器は変わっても僕の戦い方は変わらない。ヒットアンドアウェイで一撃必殺を狙うだけだ。ただし今回は背後に回るのではなく、正面から戦う。

 ミノタウロスは手にした斧を振り回した。ただ力任せに振り回しているのではない。ミノタウロスの斧は素早く重く、的確だ。まともに食らえば僕なんか一撃で真っ二つだろう。けれども、アレクやカレンさんに比べればまだまだ遅い。

 僕はミノタウロスの振り回す斧を避けながら肉薄する。大きく水平に振られた斧をしゃがむようにして避け、そのまま下から心臓目がけて突き上げるように一突き。即座に刀を引き抜いて、斧の間合いの外まで離脱する。

 ミノタウロスは声を上げることもなく消滅し、摩核と斧が地面に落ちた。

 ふう、何とかなった。やっぱり正面から戦うのはちょっと怖い。今回僕は防具も強化し、二回りくらい大きな円形盾(ラウンドシールド)も背負っている。けれどもやっぱりぼくの戦い方は避けきることが大切だった。


 一方、ジェシカさんの武器は、両手に持ったシミターだ。今まで使っていたナイフを大きくしたようなもので、戦い方も変わらない。ジェシカさんは真直ぐにオーガに向かって突っ込んで行った。

 オーガはその手に棍棒を持っていた。単純な武器だけれど、オーガの剛力で振るわれればそれはとてつもない脅威となる。並の防具では打ち砕かれ、ジェシカさんのシミターもまともに打ち合えば折れてしまうだろう。

 しかし、ジェシカさんは臆することなく踏み込み、両手のシミターを高速で繰り出す。

 「グッ、ガッ、ガァッ!」

 オーガの振り回す棍棒が空を切る。ジェシカさんにもジェシカさんの振るうシミターにも掠りもしない。一見無茶苦茶に振られているように見える二本のシミターは、巧妙に狙いすました軌道を寸分の狂いもなく進んでいるのだ。

 見る間にオーガに傷が刻み込まれて行く。一度付けられた傷には二度三度と斬りつけられ、より深く刻まれて行く。

 「グッ、グガァーー!」

 やがてオーガの腕を切り落とし、棍棒による攻撃が無くなると、ジェシカさんはさらに踏み込んだ。そして一気にオーガの首を落とした。

 斬撃を繰り出す速度は変わらないまま、武器が大きくなった分一撃の威力が増していた。ジェシカさんの防具も強化されて重くなっているし、ナイフよりも大きく重いシミターに持ち替えているのにまるで動きが鈍っていなかった。

 「二人とも問題なさそうだな。それでは探索を続けるぞ。」

 その後、六日程かけて第八階層に降りる『ポーター』を見つけた。


 第八階層も未踏領域からの出発となった。この辺りの階層は探索に訪れた冒険者自体がほとんどいないのだから仕方がない。

 ただ、フィールド型の階層の場合、階層内での現在位置が分かり易いため、どちらの方向に過去に発見された『ポーター』が存在するかはだいたい分かる。遠くから見えた範囲の通路の繋がりなどといった情報もあるため、意外と目的の『ポーター』までは行きやすい。

 その分面倒なモンスターが現れるのだけれど、アレクとカレンさんも対空攻撃が可能となった今、大した障害にはならなかった。

 今回は既知の『ポーター』からそれほど離れていない場所に出たこともあり、摩核とドロップアイテムの回収を諦めてガンガン進んだ結果、その日のうちに第九階層に繋がる降りの『ポーター』に辿り着いた。

 次はいよいよ第九階層だ。


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