別れ『小桜愛花』
私は悲しかった。
1年間楽しく遊んで勉強した皆との別れの日が近づいていることを知ってしまった。
自然と学校にむかう足が重くなり、ノロノロと歩いていた。
「愛花ちゃん、遅刻するよ」
一緒に登校している駿くんが繋いでいた手を引いた。
「んー」
私は分かってるよと意味を込めて返事をした。
不機嫌なのが分かったのか駿くんはムッとした顔になった。
あぁ…怒らしちゃったかな
「僕は遅刻したら、愛花ちゃんが先生に怒られちゃうから教えてるんだよ」
「うん。ありがとう…」
私は上の空で答えた。
駿くんは、不安そうな顔になる。
「何か今日、元気ない?どうしたの?」
「うん。昨日ゲームしすぎて寝るの遅かったから」
「えーそんなのダメだよ。しっかり寝るのは大切って、僕のママいつも言ってるもん!7時間は寝なきゃなんだよ!」
「だって…」
ん?と駿くんが続きを待つような雰囲気をだす。しかし、私の口からは言えそうもなかった。
「ううん。何でもない。早くいこっ」
私は駿くんの手を引っ張りながら学校へと向かった。
8時15分。朝の会。
一見、いつも通りの毎日のよう。
昨日パパに聞かされたことがまるで嘘みたい。
でも、嘘なんかじゃなかった。
「愛花ちゃん、前に来てね」
先生に呼ばれた。朝の会の途中で呼ばれるなんて…心当たりは1つしかなかった。
「春休みが終わったら、愛花ちゃんは他の学校に通うことになりました。」
あぁやっぱりそうだ。その話だった。
わぁと教室がざわめく。
私はうつむいた。なんで、転校しなきゃなんだろう。色んな感情がごちゃ混ぜになって、不安にかられる。
私は幼馴染みの駿くんをみた。
駿くんは、興味なさそうに外を眺めている
。
私が転校するのなんて、駿くんにとってはどうでもいいのかなぁ…
「はーい。静かに。お話はまだ終わってないよ」
先生の声に皆が喋るのを止めて前を見た。
「だから、今日は皆に手紙を書いてもらおうと思うの。明後日から春休みでしょ?皆学校に来ないからね。学校が終わるまでに先生まで持ってきてね。」
先生はテキパキと紙を前の人に渡していく。その紙が後ろへ後ろへと渡っていった。
そして、最後の人まで渡ったとき先生は満足げに頷いて私の方を振り返った。
「愛花ちゃん、皆に言いたいことある?」
コクりと私は頷いた。
先生は笑顔でどうぞと先を促した。
私はキュッと拳を握った。泣かないようにしっかり念じて。
「毎日楽しかったです。ありがとうございました。」
ペコリと頭を下げると同時にジワリと涙が出てきた。
ダメだ。泣いちゃ…。私はグイとパーカの裾で目元を拭う。
「ということなので、残り2日間愛花ちゃんと仲良くしてくださいね!できる人~」
「はーい」
あちらこちらから手があがる。
ただ1人、手をあげずにコチラを見ていた者がいた。
仲よく…できないのかなぁ…
私は残念に思い、手をあげない人を見つめ返した。




