元通り?
そんな再会を果たした僕らだったが、1年2年と年を重ねる度にお互いが忙しくなり、会いに行ったのもあれが最初で最後だった。
今でも手紙のやり取りはしているがこちらも年を重ねる度に、回数は減っていた。
そして、お互いに手紙のことを忘れてしまい、年賀状くらいしかやり取りしなくなってしまった。
『明けましておめでとう。元気にしていますか?僕は元気です。……』
人生2度目の転校が決まった。
また、あの町に戻れるらしい。
私は嬉しくなってすぐに駿くんに手紙を書くことにした。
すぐさま自分の部屋へ戻り、引き出しから便箋と封筒をとりだした。
ペンたてに手を伸ばしかけて、考える。
なにも言わない方が面白いのではないだろうか?
急に戻った方が駿くんもきっと驚くよね?
私はそう考えるとペンたてに伸ばしてた手を下ろし、便箋と封筒を引き出しにしまった。
愛花ちゃんとは年に1度か2度くらいしか連絡をとらない俺は彼女のことを忘れて時々思い出しては元気にしてるかなと思う程度になっていた。
小さい頃に交わした『必ず戻ってきてね』なんて約束を果たそうなんて無理だろうな。と5年になった俺は思う。
だって俺らは結局親の都合で移動が決まるのだから……
秋のある日。私は戻ってきた!
「おはようございます。今日は、皆さんに転校生を紹介します。」
先生はチョークを手に取ると黒板に綺麗な字で『小桜愛花ちゃん』と書いた。
「それでは、小桜さん。皆さんに挨拶をお願いします。」
「はい!」私は元気に返事をした。
「初めまして。……じゃない人もいるとは思うけど……小桜愛花です。……」




