表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異界警察   作者: kurokoroko1101
12/13

真相

深夜


「どこにいく気?」

クロノはトリガーを構えて近づいた。


「くっ、、、なぜ。」

ある人物は驚いたように声を上げた。


–数時刻前


「あなたと取引をします。」

クロノは目前の人物に言った。


「ほう、私と取引ですか!考えましょう、

お金次第でねえ。」

そう前に立っているのは昼間の何でも屋だ。

ここは何でも屋の所有する建物の中だ。

署での勤めが終った後、クロノは何でも屋の根城を訪れていた。


「ここに、代金がある。それを確認してから話に応じてくれても構わない。」

クロノは男の前に包みを置いた。


「なんと!こんなに。いいでしょう取引に応じましょう!」

何でも屋は満足そうに弾みながら答えた。


「まず、どうやって取引をしていたのか教えてもらいたい。」

クロノは手始めに聞いた。


「そうですねえ。この建物内に紙が届いたのですよ。初めは廊下に落ちていてましたから驚きましたねえ。」


「落ちていた?」

クロノは聞き返した。


「ええ、落ちていました。精霊を捕まえて欲しいという依頼と共に前金としては少ないお金が置いてありました。」


「少ない?」


「そうです。最初は断ろうと思いましたが、それは何度も同じことが起こり、そして今回で最後だとかいてありました。

その頃には十分な前金になっていました。

これはお金になると思い依頼を引き受けたのです。」


「なるほど。では、どこで悪魔のごろつきたちを雇い、どこで精霊を受け渡していたのですか?」


「それはもちろんスラムです!スラムなら何人でもお金の欲しいモノたちがいるでしょう!

受け渡しは紙に指定してある場所に届けるだけです。

取引相手の余計な詮索は無用ですからね。」

何でも屋はそう言った。


「では、ごろつきを雇っていたのは全てあなただと?」


「そうなりますねえ。」


「では、尋ねたい。」


「ふむ?」



「つまり、君は雇われていなかった。スラムで男に声をかけられたという証言は嘘、違いますか?」

クロノは言い放った。


「くそっ、どうしてわかった!!!」

そう答えたのは、アンドリュー巡査長が捕まえた、スラム育ちの悪魔の少年であった。


ここは、警察総本部マアトの中にある留置所だ。彼は事件に関与したということでしばらく檻の中に収監されていた。

未遂ということで、罪は軽いとされていたが。


それなのに、彼は檻を抜け出していた。

見張りのものは倒れている。どうやら気を失っているようだ。


「手に持っているのは、スラムでしか取れないエト草ですね。」

クロノは彼の手を見て言った。


「なぜ知っている、、、。」


エト草は、眠り草の一種だ。スラムでも辺境の場所でしか取れず、悪魔でさえ知っているものは少ない。

その香りには気を失わせる効力があり、顔に近づけてはいけないとされている。

一瞬だけなら、数分気を失う程度、しかし長く押し付けられれば一日は気を失ってしまうだろう。


「君は昨晩の深夜も、この檻を抜け出していましたね。」

クロノは問い詰めた。


「昨日お前とはすれ違わなかったぞ!」


少年は答えた。そして口を押さえた。


「ええ、バレないように遠くから見ていました。君はとても気配に鋭そうだし、近くにはいませんでした。おそらく君は見張りの警官を数分眠らせ外に出ていた。

数分なので警官たちも居眠りをしたかくらいに思ったのでしょう。」


「なぜ檻から出たのがそれでわかる!?」


「それは–」


クロノはスラムで育ち、常に物を取り合って育った、その習慣から同じ悪魔の気配を数メートルなら辿れるという稀有な能力を持っていた。


「君は檻からでた。そして、鍵を盗み外に出て、建物裏から連絡用の伝書鳩を飛ばした。違いますか?」


「そこまでわかるのかよ、、、」

少年はうなだれた。



「君のような手際の良い少年を、少年だからと見た目で判断し、一番軽い階層に入れた。

警備は、交代で3人いましたが、檻を監視するのは1人だった。

その油断が、君を檻から出すことにつながった。」

クロノは続けた。


「こいつら、完全に油断してたな、こんなんじゃスラムなんかの場所じゃすぐにやられちまうだろうな。」

少年は唾を吐くように吐き捨てた。


「君は何でも屋に伝書鳩を送っていた。紙とお金が落ちていたのは、伝書鳩を使ったからですね。

そして、少ないお金しか持ち運べなかったのも伝書鳩が持てる重さには限界があるから。」


「ふんっ。そうだな。」

少年は不貞腐れたようにそう返した。


「何でも屋が仲介のリクルーターに見せかけて、真に指示している、仲介人は君だったのですね。

紙で、精霊を捕獲したら持ってくる場所は君が指定していた。君は受け取った精霊を上に引き渡す役目をしていた。

君が昨日送った伝書鳩は、上の者との連絡を取るためだ。

そうでしょう?」


「なにが、、、お前に何がわかるんだよ!」

少年は叫んだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ