異の非33話 「気がついたら看病してました」
どうも、もやしです。
今回も日常パートです。長くてすいません!
では、本編へどうぞ!
「ほい、どうぞ」
「え? え?」
数十分後トオルがレイナの部屋に帰ってくると手には一つのうつわを持っていてその中にはりんごのすりおろしが入っていた。全く状況が理解できず、先ほどよりは意識もしっかりしてきたレイナはまたもや困惑した。
「ん? どうしたさっさと食えよ。ほら」
「あ、ありがとう。え? でもなんで?」
トオルから差し出されたうつわを受け取りながらレイナは疑問を口にした。
「いや、お前が今にも死にそうだったからな看病してやろうって思ってな。感謝しろよ?」
「え? な、なんかいつものトオルじゃあり得ないほど優しくて怖いんだけど!」
「お前……俺だって病人には優しく接するっての」レイナの言葉にトオルは若干ダメージを受けつつすぐにそう言った。
レイナはもらったうつわにはいっているりんごのすりおろしをスプーンですくって食べた。スプーンはレイナのことを考えてか木のスプーンだった。トオルはというとレイナが食べるところとかはどうでもよくらしく携帯をいじっている。
「……おいしい……!」
「そうかい、そりゃよかったな」
携帯から目を移してトオルはレイナを見て言った。
「おかゆじゃなくて悪かったな。お前の家で今すぐ使えそうなのりんごくらいしかなくてな」
「別にいいよそんなの! 作ってくれただけで嬉しいよ! というかトオルって料理できたんだ!」
「いや、お前、りんごのすりおろしは料理って言わないだろ。誰でもできるだろうしな」
りんごすりおろし器が台所になぜか置いてあってしかも、りんごまでなぜか用意してあったのでトオルはりんごのすりおろしを作っただけだ。
なぜ、そんなものが台所に用意されていたかは不明だがきっとレイナの両親が用意していたものなのだろうとトオルは思った。
「そういえばお前に聞きたいんだけど、親はどうした? この家お前しかいなくない?」
「……二人は仕事」
「仕事? あー共働きってやつか」
どうやらレイナの両親は共働きらしい。
「(自分の子供が病気の時ぐらいいてやれっての……)」トオルはそう思いながら立ち上がってレイナの部屋から出て行こうとする。
「じゃあ俺はやれるだけのことしたからな? りんごのおかわりがほしかったら台所のミキサーにすりおろしの残りが入ってるからそこからとってけ」それだけ言い残してトオルはドアに手をかける。
「と、トオル!」
「?」
「本当にありがとう!」
「……どういたしまして」
レイナからのストレートな感謝に少し驚きつつトオルは部屋を出た。そのまま二階を下りて家を出た。玄関に置いていた傘をとり、さそうとしてふとトオルは気がついた。
「……もう晴れてたのか」
レイナの家に来た時には土砂降りだった雨が今はやんで、かわりに綺麗な青空が広がっていて太陽も出ていた。
「……帰るか」
少し長居しすぎたかなと思いつつトオルは傘をとじ、まだ濡れている道を歩いた。空に広がる青空が少し眩しすぎる太陽がなぜかいつもとは違って綺麗だと思った。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
少しでも多くの人に読んでいただいて評価してもらえると嬉しいです。
では、また!