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この歌の本当の意味
それを知るために、言葉を分解してみたいと思います。
まず、
「春過而 夏来良之」
これはそのままです。
「春が過ぎて夏が来たようだ」です。
次の
「白妙能 衣乾有 天之香来山」
これの意味するところは風景の「見立て」なのです。
見立てとは、短歌をつくる技法の一つで、なにかを違うものに例えることです。
つまり「しろたへの衣」は「白い雲」のこと
この歌の本当の意味は、
そろそろ夏かと思う日に、白い雲を被った天香久山を見て、「山が白い衣を被っていらっしゃるわ」と詠ったものなのです。
ん?
衣は「乾す」んじゃないの?
と思われたでしょうが、本当の意味は「乾す」ではなくて「被す」だと思います。