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定家はまさにその良い例の一つとして選んだのだと思います。
そう、この歌は、百人一首の1首目、天智天皇の歌、
「秋の田の 仮庵の庵の 苫をあらみ 我が衣手は 露に濡れつつ」
を取ったもの。
定家は、歌を取るときの良い例として、「四季の歌をもって恋などの歌を詠じ、恋などの歌をもって四季の歌を詠ずるようにする」、と言っています。
天智天皇の歌は「秋」、「稲穂刈」、「衣手の露」で、その季節の情景を詩にしたものですが、光孝天皇の歌は「春」、「若菜摘」、「衣手の雪」と季節も上手く対照的に変わり、さらに「君がため」と他人に贈るための贈答歌となっています。
つまり、「四季の歌をもって恋などの歌を詠ずる」歌なのです。
君がため……誰のことでしょうね。




