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もちろん、そんな中、日本からは帰国の要請が再三あるものの、仲麿はいろいろと理由を付けてなかなか帰ろうとはしませんでした。
これはどういう意味なのかというと……
日本の天皇に仕えている身なのに事実上は唐の官僚として唐の皇帝に仕えているというなんとも微妙な関係になるのです。
いろいろと理由をつけて帰国を引き延ばしていた仲麿ですが、ついに帰国の要請を断ることが出来なくなりました。
それを断るということは日本を裏切ったと同じことなのですから……
さて、そうして帰国の途につく前に、友人たちが集まり送別会を開いてくれます。
その席で、友人の一人、唐の高官であり詩人の王維は仲麿を泣いて引き止めます。
「友よ!!どうしても行くと言うのか!もう二度と会えぬかもしれぬのだぞ!」
「行かねばばならぬのです……」
固い決意の仲麿を前に、王維は涙声で詩を朗読し始めた。




