名々賀君の欲求不満part2 vorbesc.名々賀
名々賀君の欲求不満part2。
part2はソフト名々賀ですので、安心してご覧頂けると思います。
あ、でも名々賀君嫌いな方は見ない方がいいかもですね。うん。
ちなみにpart2のオプションは、あの女の子。
では張り切って名々賀名々賀しちゃいますよ。
俺はまたその扉を開く。
毎回毎回、よく飽きないよなとか言われてしまいそうだけれど、彼女に会うのに飽きる事など、きっとこの先一生無い気がする。
強がる彼女が可愛くて。弱い彼女が可愛くて。俺の言葉にいちいち大げさなぐらいに反応を返す彼女が愛しくて。
人間の中に少しの鬼を飼っている彼女。
そんな彼女に飽きる事なんて、一生ありえないって、そう思うだろ?
「……あれー?いないのかな」
『close』の札がかかっている店の扉を俺は開いて中を覗く。まだ『open』時間少し前のこの時間だが、こんな時間でもこの扉は開いている事を俺は知っている。
今日は一日仕事が休みだったので、早めに来て開店準備中の彼女の姿でもと思ったのだが。
店の中には誰の姿も無い。
「不用心な」
そう言いながら俺は店の奥まで進んで、従業員用の扉まで近付く。そこは少しだけ開いていて、そこから中を覗くがやはり誰もいない。
「そして誰もいなくなった」
俺はちょっと笑いながら勝手に奥へと進む。本来こんな所に従業員でもない客の俺が入るのは絶対に駄目なのだが、緊急事態だから仕方がない。
不用心すぎるからな。うん。
こんな俺でも、さすがに従業員しか使わないこんな所まで入るのは初めてで、きょろきょろと辺りを見回しながら俺は通路を進んでいく。というか、本当に誰もいないのか、と疑心に思い始めた所で彼女の姿を発見した。後ろ姿だが。
彼女は奥にある扉をじと見つめたままそこに身動きせずに立っていた。
「進藤ちゃん」
俺が声をかけると驚いたように彼女の肩がビクッと上がる。そしてすぐに振り向き俺の姿を発見した彼女は人差し指を口に当て「しっ!」と言った。静かにしろ、ということ。分かりました。
俺はてくてくと彼女に近付き、「どうしたの?」と彼女に小声で問いかける。
というか。
「…………」
俺は彼女の格好を見る。
下はいつもの仕事着である黒のパンツを着ているのだが、あ、パンツと言っても下着じゃなくズボンのパンツって意味だよ。問題は上半身だ。まぁ、多分その上にシャツを着てベストを着てっていういつもの制服姿になるのだろうが、今現在彼女はそのどちらをも着ていない。
無地の灰色のタンクトップ姿なのだ。
その下、すぐに下着ですよね。下着ですよね。
夏の暑い時期にも彼女はここまでの格好はしていない。Tシャツとか、さらに言えばパーカーとか羽織ってたりしていた。そんな彼女の、ここまでの無防備に肌を露出する格好を見慣れていないので俺はちょっと、というかかなりドキドキしている。顔にも態度にも出さないが。
彼女の細い腕が肩口から全部露わになってるし、いつもの、シャツでは襟で見えない首元辺りも、今その滑らかな肌とか鎖骨とかが見えている。細い細いとは思っていたけれど、彼女の体は本当に細い。実際に細い。
彼女の着ているタンクトップは体にぴったりフィットするタイプのものではなくラフなものなので、腰のラインとか胸のラインは、だぼっててよく分からないが、思っていたより胸はありそうだった。
進藤ちゃんは着やせするタイプ。
そんな、彼女を『観察』する俺に彼女は気付かない。よほどあの扉の中が気になるのだろう。先程から俺には目もくれず奥にある扉だけをじっと見つめている。
「あの扉がどうかした?」
俺は彼女の見る扉に視線をやる。彼女は「実は」と話しだす。
要約すると。
彼女がお店に出勤。私服から制服にお着替え。だが、着替えの途中でトイレに行く。戻ると扉の中から誰かの声。というか久遠の声。カグラの声もする。久遠も出勤したらしい。あれ、でもちょっと待って。なんだか良い感じな会話がその扉の向こう側から聞こえてくるぞ?もしやもしや。もしやこれは。
「もしかしたら久遠君の恋が実っちゃってたりするのかなって!」
少し興奮気味に彼女は言う。だけど、あの扉の向こう側にいる二人には聞こえないように小声ではある。
「ないでしょ」
俺は彼女のその考えを即座に否定した。
久遠とカグラがどうにかなるだなんて、俺とこの彼女がどうにかなるぐらいありえ無い。いや、俺と彼女にはまだ可能性が残っているがあの二人は確実に無理だ。久遠には悪いし、一応応援はしているが実際問題無理だと俺は思っている。
「進藤ちゃんの考え違いだよー、きっと」
「でも、本当に良い感じの声が聞こえて来るんですよっ」
良い感じの声って何だろう。
本番中の声?まさか。
「……俺も聞いて来る」
ここからじゃ全く扉の中の声は聞こえてこない。近くまで行って聞き耳を立てない事には聞こえてこないだろう。
「バレないで下さいよ!久遠君の邪魔しないで下さいよっ!折角良い感じなんですからっ!」
「分かってるよ」
聞き耳立てるだけだし。
というか、君は自分の格好をそろそろ気付いた方が良いと思うよ、とは思っていたが口には出さなかった。
俺特だから。カメラ持ってくればよかった。さすがにそれは駄目か。見るだけで我慢しよう。
俺はそろりと扉に近付き耳を扉に近付け、じっと聞き耳を立てる。すると、彼女の言っていた通り久遠とカグラの声が聞こえて来て、その声がまたなんだか楽しそうで。
「…………」
何だかこの扉の向こうから異様に妖艶な空気を感じる。本番中では無いようだが、確かに何だか良い感じだ。
でもまさか。ありえない。あの二人に限って。
「進藤ちゃん……、この中どうにかして見れないの?」
俺に付いてきていた彼女にさっきよりも小声で尋ねる。彼女もこれまた小声で「無理です」と言った。
くそっ。
何故だ。あの二人に限ってそんな展開になるだなんて。天変地異が起こるぐらいありえないのに。あの二人に一体何が。どんな手を使って久遠はカグラを落としたのか。
「進藤ちゃん、久遠に最近変わった様子は?」
「……これと言って無かった、……とは思いますけど」
と言う事はカグラだろうか。
いや、ありえない。それこそありえない。
何故二人がこんなにゃんにゃんな関係に、と彼女と二人で扉の前考えていたらカグラの「くーちゃん」というかなり艶めかしい声。
ついに本番が始まってしまうのか、と俺はすぐに耳に全神経を集中させるが、隣にいた彼女はそそくさと去って行こうとした。
「ちょ、進藤ちゃん」
俺は待ったと彼女の腕を掴む。
「これからがいいとこなのに」
「わ、私はいいです。久遠君の邪魔したくないので」
「えー、いいじゃん。一緒に聞いとこうよ」
彼らの本番の様を。二人で。
「わ、私、み、店の準備もありますからっ」
「進藤ちゃん、自分が恥ずかしいだけでしょー」
逃げようとした彼女の本心を抉ったら、顔を赤くする彼女が「なっ!」と声を出した。
普通の大きさの声で。
久遠とカグラのいる扉の中、唐突に静けさが増した気がした。気付かれたかもしれない。
そして、気付かれたかもしれない原因である所の彼女は慌てたように俺の腕を掴みすぐそこの扉の部屋に俺を押しこむ。
「ちょ……」
あまりにも慌てる彼女が俺を押すもんだから、足元がよろめき俺はずるっと背中から地面に倒れ込んでしまった。が、そこは俺。頑張りに頑張って音を立てずに静かに倒れ込んだのだ。
俺、ぐッジョブ。
そしてさらにぐッジョブな事がこれ。
「進藤ちゃん、大丈夫?」
俺は俺の上に倒れ込んで来た彼女に、両肘をつき頭だけ擡げて声をかける。
そうなのです。倒れている俺の上に彼女が。あぁ、なんだろう、このエロゲ的展開。俺、エロゲはやった事ないんだけど。
「だ、大丈夫、です」
彼女は俺の上から起き上がろうとしたのだろうが、途中遠くで扉の開く音が聞こえてきてピタリと動きを止める。多分、あの二人がいた扉が開いたのだ。
見つからないようにか、彼女は黙ってそのままの状態で動かない。この部屋の扉の向こう側を気にしている。そんな俺は彼女の胸元を頑見しています。何故かって?そりゃ、君。
今の彼女の格好はタンクトップ一枚で。
そのタンクトップはぴったり体にフィットする物じゃなく割とゆるゆるで。
俺は首だけは擡げているわけで。
そんな彼女が俺の上で今や四つん這い状態になっていたら。
「…………」
彼女の服の首元から丸見えなんですけど。
「……進藤ちゃん」
とりあえず観察出来るだけ観察した後、俺は彼女に声をかける。彼女は「何ですか」と言葉を口にしたが扉から視線は離さなかった。そんな彼女の肩を俺は片腕で引き寄せ、抱きしめた。彼女の体重が重力に逆らえず俺にかかる。
「……!?」
「進藤ちゃん。結構胸あるよねー」
タンクトップ一枚の姿の彼女。そんな薄着の彼女の体が俺に密着する。服の上から見ていた彼女の、思っていたより大きさのあるふくよかな胸が俺の胸板に当たる。
華奢な肩が逃げようともがく。彼女の髪からシャンプーだろう良い香りがする。
「なっ、ななが、さんっ!」
ぐぐぐっ、と床についた自身の手を押して俺から離れようとする彼女。
「進藤ちゃん、しっ!」
「なっ、んでっ」
「足音がする」
「……!?」
彼女が逃げようともがいていた動きを止めた。やはりあの扉から出て来てしまったのだろう久遠とカグラ。その二人の足音がして、話声もした。だが、俺達には気が付いていないのか、この部屋の扉が開かれる事は無かった。
「……行っちゃったみたいだね」
「そうですね……」
ホッ、と彼女が息を吐く。
体の力が抜けた彼女。そんな彼女の体を抱きしめる手にぎゅ、と力を入れてやると、彼女の体にまた力が入る。思い出したかのように、彼女が動く。
「名々賀さんっ!」
「進藤ちゃん静かにー。二人はどっか行ったみたいだけどあんまり煩いと見つかるよ?」
そう言っておいて、俺は彼女の肩を掴む手を動かしその素肌の感触を楽しむ。こんな機会、今後は絶対に無い。彼女の体が揺れる。
「ねぇ、進藤ちゃん。あの二人、どうやってくっついたのかな?」
そこだけが本気で不思議で不思議で仕方が無かった。そんな俺に彼女は無言でジタバタともがく。
俺は彼女の肩を抱く腕ではなく、床に肘をついていた方の腕に力を入れ、よっ、と上半身を起こす。驚いた彼女の肩を掴む手は離さなかったので、体を起こして座り込んだ形で彼女を抱きしめている格好になっている。
「久遠が頑張ったのかなぁ」
きっとそうなのだろう。
久遠の頑張りが実ったのだ。
「俺も頑張ったら実るかなぁ」
彼女の心の中には鎹と言うあの間抜け男しかいないのは分かっている。
だけど、久遠とカグラ。
あの二人がくっついたのだ。ありえない状況。ありえない状態。そんなあり得ない事が起こっているのであれば、俺にもそんな事が起こってもいいはず。
というか、この状況がそのありえない状況か。
「ねぇ、進藤ちゃん」
語りかける彼女は依然俺から逃れようと頑張っている。そんな彼女のタンクトップ一枚の背中を手でスッ、と上から下に撫ぜてやれば彼女は声にならない悲鳴をあげた。
「俺も頑張っていい?」
「……っっっっっ!!!!」
彼女のそのタンクトップの服の隙間から俺は手を差しこんで、彼女の温かいその素肌を。吸いつくようなその感触を、俺は手の平で楽しむのだった。
スパーーーンッ!!と大きな音が店の中響き渡る。
「痛っ!!ちょ、カグラちゃんハリセンで叩くとかっ。ってっ、え?いつの間にハリセンなんて持ってたの?」
俺は叩かれ痛む頭を抱えながらカグラに聞く。
「話の途中から作り始めてたのよ。静、アンタの頭を叩いてやるためにね」
カグラの顔は鬼のようだった。ゴゴゴゴゴゴゴ、と文字がバックに見える気がする。
「でも今回は前回より人道的でしょ?そんなに怒られる夢かなぁ」
前回も別にキスだけなんだし、出禁にされるほどのもんでも無かったと俺は思うんだけど。そう言うと、カグラはまたしてもそのハリセンで俺の頭をぶっ叩く。
「前回より人道的?その前回の話はせーちゃんから聞いたから知っているけれど。今回のその話が前回よりも人道的?道徳的だって言うの?道義的だって言うの?道理的だって言うの?ちゃんっっっっちゃら可笑しいわ。静、アナタ本気で言ってるの?それ、本気で言ってるの?」
「当たり前でしょ?別に進藤ちゃんに突っ込、痛いっ!!」
三発目。
「静、アナタその言葉言ったらハリセンどころの問題じゃ無くなるわよ」
「…………」
さすがにそれには俺も黙る。
「だけどさ、ソコからが良い所だったのにソコで目覚める俺の思いやり?進藤ちゃんへの気配り、とかさ。そこは褒められてもいいと思うんだ」
どう思う、進藤ちゃん?とカウンターの中にいる彼女に問うと、彼女は腕を擦り顔を歪めながら完全なる『無視』を徹底していた。寒いの?とか聞いてみるがやはり無視。
「で?静の夢の中で?私とくーちゃんが?何?どうなっていたの?」
カグラがやはり阿修羅のような顔で俺を見る。このカグラは進藤ちゃんへの俺の夢の中での行いについて怒っているのではなく、俺の夢の中の『久遠とカグラ』に怒っているようだ。
「ゆ、夢だよ夢。俺の妄想。俺の願望?俺の欲望なわけ。現実じゃないんだからさぁ、そんな怒らなくても」
「静の夢の中で?私が?くーちゃんに?何?凌辱?凌辱されたの?静の願望で?静の欲望で?」
「凌辱ってカグラちゃん。そんな言葉使っちゃ」
「勝手に私を夢の中に登場させておいて、あまつさえくーちゃん……、よりによってくーちゃんに凌辱させるなんて……」
「あ、あれー?俺の言葉届いてるー?」
「死になさいよ」
「…………」
本気で包丁とか持ってきそうな目だった。
「まぁ、しょせん夢だから別にいいけど。現実には起こらない静の妄想だから別にいいけど。現実には確実に無い天変地異が起ころうとも完璧に無い静の夢の話だから別にいいけど。次、そんな夢を見たら静。私、アナタを殺してしまいそうだから気をつけてね」
「……はーい」
俺は殊勝に返事をした。
そんな俺を進藤ちゃんが侮蔑の眼差しで見ている事に気付き、俺は進藤ちゃんに微笑みかけて、あの夢を見た後からずっと聞いてみたかった事を聞く。
「進藤ちゃんってさ、胸は何カップ?」
今度はカグラから俺は数日間の出禁を喰らった。
多分、これは進藤ちゃんのためだけじゃないと俺はそう思うんだが。
どう思う?
では、part3でお逢い致しましょう。
さよならー。




