名々賀君の欲求不満 vorbesc.名々賀
※前書きは必ずお読み下さい。
さてさて。前書きをすっ飛ばそうとしていた皆々様。ちゃんと読んでくれていますか?
これから書く前書きを読まないと、後悔する人がいたりいなかったりするかもしれないので、確実に目を通して下さいね?
では本題に。
この話は18禁すれすれのお話です。いえ、そこまで18禁18禁はしていないと思うのですが、保険のために言っておきます。
なので、その手の話が苦手な方は回れ右をして下さい。お願いします。
そして、この話はvorbesc.名々賀です。登場人物は名々賀さんと進藤さん。そしてオプションで瀬川さん、です。
名々賀さんが進藤さんにあれやそれやするのを見るのが嫌な方は、振り向かずにお引き取り下さい。お願いします。
そもそも名々賀さんに嫌悪感を抱いている方は、名々賀さんにさらに強い嫌悪感を抱き、気分を害してしまう恐れがあるかもしれませんので、この話を見なかった事にして頭の中から抹消し、健全(?)なばんぱいあだけをお楽しみ下さい。お願いします。
さてさて。
それでも私は読みますけど?と言われる方。
そんな方は、この一点を守りこの作品に目を通して下さい。
『読み始めたら最後の一文まで確実に完全に読了すること』
名々賀さんのために、上記お約束下さい。
お願いします。
ではでは。
前書きを終わります。
この店に通い始めてからもう何年ぐらい経っただろうか。高校生の時に出逢った彼女は、既に俺と同じ大人の仲間入りをしていて、こうやって大人の集まる場所で働いている。
社会人。
彼女はもう、ウブで無邪気で何も知らない真っ白な高校生の若者などではなくなり、立派な大人となったのだ。
「ねぇ進藤ちゃん。仕事が終わったらさぁ、一緒に何処かご飯でも食べに行かない?」
お店の閉店時間。
そんなギリギリの時間まで店にいる客は俺ぐらい。声をかける彼女はカウンターの中、カタカタと片付けながら、カウンター席に座る俺に視線をやることなくいつものように冷たく言い放つ。
「行きません」
「えー、美味しいお店見つけたのになぁ」
「一人で行けばいいんじゃないですか?」
「一人より二人の方がご飯は美味しく感じるものだよ」
そうですか、とやはり冷めたような態度の彼女。カウンターから出てきて、テーブルを拭く彼女に、俺は座っていたカウンター席から立ち上がり近付いて行く。ぱしりとそのテーブルを拭く彼女の細い腕を掴みあげ、驚いた彼女は俺を見る。俺はそんな彼女ににこりと笑いかけてから、もう片方の彼女の腕も掴みあげ、すぐ側の壁に彼女を押し付けた。
ドンッ、と背中から壁にぶつかる彼女。俺の掴む彼女の両腕は彼女の顔の横辺りに縫い付け閉じ込めるようにする。閉じ込められた彼女はやはり驚いたような目で俺を見つめた。
「……な」
「進藤ちゃん、俺がここに通い始めてから何年ぐらいが経ったと思う?」
ついに彼女に警戒心が生まれる。
ぐっ、と捕まれている腕に力を入れ振りほどこうとしたのだろうが、それは叶わない。
「どれぐらいが経ったと思う?」
そんな彼女に俺はにこりと微笑みかけて問いかける。そんな俺を、彼女が睨み付けてくるのにそう時間はかからなかった。
「知りませんっ。二、三年ぐらいじゃないですか?」
「そっかぁ。そんなに経ったんだ」
俺は笑う。
睨み付けてくる彼女。俺が掴む彼女の腕には先程から何度も何度も力が込められている。
だけど彼女の弱い力では、押さえつけている俺の手はびくともしない。それなのに彼女は何度も何度も力を込め振りほどこうとする。
俺は笑う。俺は笑った。
そんな無駄に頑張り、睨み付けてくる彼女のその唇を俺は自身の唇で塞ぐ。
キス。
「………っ…!?」
一瞬の静寂の後、塞がれた彼女の口から少しだけ息が漏れでる。振りほどこうとする彼女の腕は、先程よりもさらに強い力が込められている。
だけど無駄。
少しだけ開いた彼女の唇から俺は舌を差し込み彼女の口内に侵入する。彼女の体がビクリと震え、次の瞬間。
「…っ!…痛、ったっ……」
俺は彼女に唇を咬まれてしまった。
「…っ、酷いなぁ。進藤ちゃん。血がでちゃったよ」
俺は血の味のする自分の唇を舌で舐める。鉄の味。ぴりり、と唇の痛みに刺激を受ける。それでも壁に縫い付ける彼女の両の腕は離さなかったけど。
「……な、何考えてんですか…っ!」
「何って。え、俺の考えてる事言っていいの?」
彼女の言ったその言葉に返すようにして言った俺の言葉に、彼女はかぁ、と顔を赤く染める。
「はっ、離して下さいっ!」
「離してと言われて直ぐに離す男はいないよ」
ぐっ、と力を振り絞り無駄な抵抗をしようとする彼女の腕を、俺は少し力をいれてそこに繋ぎ止める。無駄だという事を知らしめるために。
彼女は吸血鬼なのに、人間の俺に叶う腕力すら持ち合わせていないらしい。
か細くか弱い吸血鬼。
それでも、何度も何度も無駄な抵抗をし続ける彼女の可愛らしく歪む顔に、俺は自身の顔を近付けて、今度はその頬に唇を寄せ優しく触れる。
「……っ」
彼女の体が小さく揺れる。
彼女の頬、顎のライン、そして首。
ゆっくりゆっくりと唇を下に下にと滑らせて行き、彼女の肌の体温と匂いを感じていく。そうしておいて、俺は口を開いて彼女に言葉を伝える。
「進藤ちゃん……。鎹とは、もう寝た?」
「…っなっ!!」
彼女の頬が朱色に染まり、唇で触れる彼女の肌の体温が上昇する。そんな彼女の反応が可愛くて。俺はくすりと小さく笑う。
彼女の心が手に取るように分かる。彼女の考えが俺には簡単に読み取れてしまう。
それは昔も今も変わらない。
「キスマーク、付けていい?」
首に這わせる唇で彼女の肌を軽く吸い上げる。この程度じゃキスマークどころか何の痕も残りはしない。
だけど彼女は身じろいだ。「っ、や…っ」と蚊の鳴くようなか細い声で嫌だと言う。やめろと言う。
ゾクゾクする。
そろそろ進藤ちゃんも気付くだろう。手が使えなければ足を使えばいいじゃない、と。だけど、それは許さない。
俺は足を使われないように、さらに彼女の体に密着し距離を詰める。その間にも唇では彼女の綺麗な首のラインを添って、上に上にと戻って行って、今度は彼女の耳元を責め立てる。吐息を小さく吹きかけてあげる。
ビクッ!と大仰に彼女の体が揺れた。その反応に俺の口許は緩んで口角が上がる。
「あ、もしかして進藤ちゃんの弱点は耳なの?」
彼女の弱い部分。
彼女の感じやすいところ。
彼女の嫌がる場所。
「…っ…、名々賀さんっ、もうやめて下さいっ!」と、抵抗が無駄だと気付いたのか先程から腕を振りほどこうと力を入れるのをやめていた彼女がそう叫ぶ。
「やめて欲しい?」
彼女の耳を後にして、俺は再度首もとに唇を持っていく。
「そんなにやめて欲しい?」
唇を滑らせ上に登る。
無駄な抵抗をやめた彼女は、それでも逃れようと顎をあげ顔をあげ俺の唇から逃げていく。逃げていくから余計にその痕を付けたくなる様な綺麗な首が無防備になる。
「やめてあげてもいいよ」
俺はそう言って彼女の肌から唇を離し、彼女を見る。両の腕は離さない。
俺の唇から解放された彼女が、逃げるようにして上げていた顔を下ろし俺を見る。
俺は彼女に微笑む。弱々しく揺れる彼女の瞳。
ああ、堪らない。
堪らなく彼女が愛おしい。
「やめてあげても良いよ。ただし」
狂おしい。
俺はこの堪らなく可愛い彼女を、もっともっと。
「ただし……」
もっともっともっと。
「ただし……、俺のキスから逃げないでいてくれるなら、ね」
もっともっともっと。
この彼女を貪るように喰らい尽くしてしまいたい。
彼女が何か言おうとした唇を直ぐに俺は唇で塞ぐ。何も言わせない。すぐ近くで俺と絡み合う視線に、彼女は逃げるようにしてぎゅっ、と目を瞑った。が、体は逃げない。逃げなかった。さっき俺が言った通りに逃げないでいてくれている。
そんな彼女の態度にゾクゾクした。
俺の言うことを聞き、俺の言うことを受け入れ、『俺』を受け入れる彼女。
口許がにやつく。だけど、彼女の唇から自身の唇は絶対に離さない。
角度を変えて彼女の唇を貪る。ぺろり、と舐めてやれば彼女の口から僅かに声が漏れる。そんなところも可愛くて。愛おしくて。
嗜虐心が疼いて疼いて仕方がない。
固く閉じられたままの彼女の唇。
そんな唇も、何度も何度も角度を変え責められ続けていれば徐々に開いてくるものだ。
終わらないキスに、酸素を欲しがるように呻きながら彼女の唇が薄く開く。彼女はきっと、まだこんなにも長いキスの経験などありはしないのだろう。
薄ぼんやりと開かれた彼女の瞳と唇。
どれぐらい時間が経ったか。多分数分も経ってはいないだろうが。
「……っ、う……は……っ」
彼女が大きく唇を開けて俺の唇から逃げ、酸素を吸い込もうとする。そんな彼女の唇を逃さず、俺は彼女の唇を塞ぎ、開かれたそこから自身の舌を差し入れる。
彼女がビクリと体を揺らす。が、長い長いキスで既に意識は半分ほどしか保てていないようだった。
彼女の口腔を蹂躙し、蹂躙し尽くして、それでもまだ足りなくて。全然足りなくて。
また舌で彼女の中を責め立てる。
ビクリと彼女がキスの合間に時々揺れる。
感じてくれているのだろうか。
俺のキスで感じてくれているのだろうか。
もっと感じて欲しくて、俺は縫い止めていた彼女の腕を片方だけ外し彼女の耳をさらりと撫ぜあげる。彼女が震えて言葉にならない小さな声が漏れでる。そんな彼女を貪りながら、俺は耳と唇の両方で彼女を責め続けてた。
彼女の唇の端から唾液が流れ落ちる。
それを舐めとってやり、また唾液を送り込むためキスをする。
ずるずると崩れ落ちていく彼女。
立ってもいられなくなってきたようだ。
そんな彼女をゆっくりとそのままずり落としながらも、やはりキスを止めてやる事はしない。
片方の腕だけで壁に縫い付けられている彼女の、もう片方の手は力無くその体の横で動きを止めている。
ついに座り込んでしまった彼女の、俯きそうになる顔を上げさせるため自由な片手で彼女の顎を掴みあげる。
そして深く。
今までで一番深く深く濃密で濃厚なキスを最後に彼女に与えてやってから、俺はようやっと彼女の唇をゆっくりと解放してあげた。
「進藤ちゃん?」
優しく声をかける俺に彼女は、うっ、と呻いただけで俺を見ようとはしなかった。
体に力が入っていない。意識も虚ろ。
そんな彼女にくすりと笑い、俺はもう一度彼女の顎を掴みあげ、今度は軽く触れるだけのキスをした。
「っていう夢を昨日見てさー」
カウンターの中、グラスを拭く進藤ちゃんにそんな話をしてあげていたら、いつの間にか進藤ちゃんは俺から離れた場所で、俺を恐ろしいものでも見るような目で見つめていた。
「あれ、何でそんな離れるの?」
近付くと進藤ちゃんはさらに逃げた。
酷い。
「静さん、そりゃ逃げますよ」
俺の隣で話を聞いていた進藤ちゃんの友人である瀬川が、これまた彼女にしては珍しく恐ろしいものでも見るような、進藤ちゃんと同じ目で俺を見る。
「これ、夢の話なんだけど」
「夢ってその人の願望なんですよ」
まぁ、そうだけど。と俺は言う。
「だけど俺。さすがにそんな酷いことしないよー」
何故だか皆にはそんな扱いで見られることが屡々だが、俺はそんな女の子を無理強いしてむちゃくちゃになんてしない。さすがに。
「静さん、それ、全然説得力ないですよ」
「何でさ」
「願望だからですよ」
瀬川が進藤ちゃんを守るように楯の役割で俺の目の前に立ち塞がる。
「やらないけど、やりたいって望んでるって事ですよ」
「望んでるだけでやらないし」
「望んでる次点で駄目なことに何故気付かない」
瀬川が信じられない、とそんな顔で俺を見る。
「そもそも静さん、やりそうだし」
「……あれ、俺さっきから何回もやらないって言ってるよね?」
聞いてくれていないのだろうか。
はぁ、と俺はため息を吐き椅子に座り直す。
「俺の扱いなんて、しょせんこんなもんなんだよね」
ちょっとだけ悲しくなる。
非人道的じゃなく人道的に生きて来ている筈なのにな。
頬杖をついてしょんぼりしてたら、隣に瀬川が座り、進藤ちゃんが少しだけ近付く。
そんな二人に俺は話す。
「だけどさ、こんな夢を見るなんて俺ってばちょっと欲求不満なのかなって思うんだよね」
「ちょっとじゃないですよ。かなりですよ。末期ぐらいイッちゃってますよ」
隣の瀬川の言葉はキツイ。
「だからね、進藤ちゃん」
俺は進藤ちゃんを見る。
彼女の視線とぶつかる。
「仕事が終わったらさ、一緒にラブホ行かない?」
この後俺は数日間の店の出禁を瀬川から喰らう。
冗談なのに、酷いよね?
進藤ちゃんを虐める名々賀さん、を虐める私。
ゾクゾクします。あ、まって。逃げないで下さい。
名々賀さん、大好きです。
れー君も書きやすいけど、名々賀さんも書きやすく。壊れた鎹も書きやすいです。
リコと名々賀さんは話が合いそうです。
そんな二人の話も書きたいです。
この『名々賀君の欲求不満』はpart3まである予定です。part2、part3はハードコンタクトからソフトコンタクトに目を入れ替え、ソフトな名々賀さんをお届けする予定です。
私の18禁スキルの低さを見ただろう?
こんなもんなんだよ、しょせん。
ではまた。
名々賀さんの好感度は上がってくれただろうか。




