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冴えない底辺アラフォーの俺は、お隣さんの母娘に愛される  作者: イズミント


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第22話 親友との再会

「よぉ!」


「あ、お前は……!」


 12月23日。

 紗友里さんと奈々ちゃん達は、散歩に出かけている間に三人へのクリスマスプレゼントを買いにショッピングセンターで売り場を見ていた俺に背後から男が声を掛けて来た。

 振り向くと、そこには知った顔の男がいたのだ。


「正幸!」


「久しぶりだな、京也! 桧山からお前が転職活動に失敗してコンビニ夜勤アルバイトをしてるって聞いて心配したぞ。 それでも働けるだけまだマシだろうけど」


「ああ。 だが、色々あって30年ぶりに再会した幼馴染の会社に転職する」


「おおっ! マジか!!」


 小谷(おたり) 正幸(まさゆき)

 俺の前の会社の同期かつ親友の男がこのショッピングセンターで再会したのだ。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「よっ!」


「悪いな、正幸」


「気にするな。 再会を祝してのおごりだよ」


 ショッピングセンター内の休憩室に設置してある自販機でコーヒーを奢ってもらった。

 ベンチに座ってそのコーヒーを飲む。


「そういや、川崎は今のお前が住んでるマンションの管理人代理になってるんだっけ?」


「ああ、偶然再会してな。 大家のじいさんがあまりにも酷すぎたせいで施設送りだとよ」


「年は取りたくないな。 で、その川崎は元気にしてるのか?」


「管理人の仕事にてんてこ舞いになってるが、元気だ。 彼氏も一緒だそうだ」


「羨ましいねぇ」


 まず、話題に上がったのは後輩の一人、川崎の事だ。

 彼女とその彼氏の聡くん、そして川崎の母親が管理人の代理をしている。

 来年になれば、正式に川崎の母親がマンションの管理人になるって、言ってた気もしたが……。


「しかし、川崎から聞いたが、あの【TT商事】もやっとがさ入れか。 あいつらの知り合いの政治家の力を利用して警察と労基に圧力をかけていたから、最後まで疑ったがニュースを見て本当だと知ったよ」


「俺と同じで退職に追い込まれた一人が、最強の弁護士を雇ったみたいでな」


「もしかして、桂川という人?」


「そこまでは詳しくは知らんがな。 ただ、さらに上の政治家や世界的に影響のある財閥とは仲がいいらしいぞ」


 そして【TT商事】に関する話題に入った時、そこに出て来た最強弁護士が桂川の姓を名乗っている人ではと正幸は予測していたが、俺は人づてで聞いただけだから、詳しくは知らない。

 ニュースにはなってたが、内情までは報道してなかったしな。


「それで京也。 何であのペンタブの所で悩んでたんだ? 絵は描けないだろう?」


「しれっと傷口抉って来るな。 実はある人へのクリスマスプレゼントにと思ってな」


「ある人?」


「川崎が管理人代理しているマンションに俺の隣の部屋に引っ越してきたシングルマザーの女性がいてな」


「ほぉ……?」


 そこでニヤニヤするな、正幸。

 話が進まなくなるだろ。


「その人はフリーのイラストレーターをしていてな。 萌え絵寄りの絵柄だが多数の案件を受け持ってるみたいなんだ」


「マジか……!」


「あの人の娘さん、三歳児だがすごく懐いてくれてるし、何よりご飯を作ってくれてるんだよ」


「通い妻状態じゃねぇか!! 羨ましいぞ、おい!!」


「それで丁度クリスマスの時期に休みを貰えてな。 クリスマスプレゼントとしてペンタブを買ってあげたいなと思っててな」


 紗友里さんには申し訳ないが、正幸にも簡単に打ち明ける。

 なんか、羨ましそうにしているが、そこはスルーしておこう。


「なら、その娘さん達にも?」


「もちろんだ。 昨日あたりに川崎とその彼氏にも相談した結果だ」


 買うのは紗友里さんにはペンタブを。

 そして、佐奈ちゃんと奈々ちゃんにはぬいぐるみと絵本あたりを買っておきたい。

 カップラーメン生活であまりお金を使わなかった分を回して買っておこうと考えている。


「しかし、三連休か。 コンビニなのによく休みもらえたな」


「片方のオーナーが色々工面してくれててな」


「なるほどな」


 正幸も同じことを思っていたようだ。

 コンビニとかの販売業は、クリスマスなどは売り上げアップのチャンスなのだ。

 それによる人員は必要なので休みを貰えないのが一般だが、夜勤に俺が教えた連中に任せるみたいらししな。


「おっと、そろそろ俺は行くわ」


「仕事か?」


「まさか。 今日は休みさ。 そのシングルマザーの人を大事にしろよ」


「ああ」


 そう言って正幸は去っていった。

 俺に気を使ってくれたのだろうか?

 そう思いながら、俺は再びペンタブが売られているエリアに向かったのだった。



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