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魔女はペン先と黒インクにて集う  作者: wicker-man
統の章
51/211

"魔女問答"

統王が現界征服を開始したのは、魔界を統一してより7年後であった。

軍勢を率いてゾルイン・ポータルより侵攻し、軍を展開して瞬く間に周辺勢力を併呑。

西南部から北へは進軍し、東へは調略を仕掛けた。

カルエ共和体を倒し、フランド諸族を征服し、アヴの小諸侯らを併呑した。

ザイルの離反諸侯を降らせ、コギ谷を懐柔し、ハールーン海上蛮族を手懐けた。


そして統暦前8年、統王とその軍は魔女王国に差し掛かった。


魔女王国が支配しているカシィ地方は、スロヴ文化圏への入口にあたる。

スロヴ文化圏は幾つもの河川が走り土壌や勾配、気候にも恵まれた優良地。

ゾルイン・ポータルとの最短路を阻むものは今や魔女王国のみであった。


魔女王国は政治も経済も安定し、保有する『死人の軍勢』は5万にも昇るほどの強国だった。

タルギンとの同盟の下で装備も充実しており、数多の魔女が作り上げ、支えてきた学問と技術は現界に於いて最先端。

国力、物資、軍事力、文化力、政治力、交渉術、行動力、戦略性、どれを取っても随一の国家だった。

数少ない弱点は先鋭的に過ぎる女系国家である点と、賢すぎるという点であろう。

だがそれも、戦時に於いては強みとなりうる。

学問と研究の及ぼす恩恵全てを、魔女たちは貪欲に吸い上げていた。


対する統王の軍勢は、攻勢限界に達しつつあった。

どのような侵略も、初めは上手くいくものだ。

防御の準備が薄いところへ侵攻し、不意を突いて食い破るうちは、こちらも意気軒昂で兵士も多く物資も豊かである。

だが戦闘が続けば、兵士は疲れ、兵站は伸び、補給は安定せず、敵勢は万全の備えを整えて向かってくるようになる。

拠点や基地を構え、兵士を入れ替え、投降兵を運用し、人材を活用しても、限界は必ず訪れる。

支配の安定していないいくつもの新領地を越えての遠征には、様々な問題がつきものだった。

支配地の安定のために兵を置き、政を為せば、前線で使える兵力や労力が減る。

数多くの兵力を常に動員し続けたならば、軍全体が疲弊の一途を辿るばかりなのだ。

しかしそれでも、統王は圧倒的な兵力を保持していた。魔女王国に差し向けられる軍勢も、合わせて10万は下らないだろう。


故に、統王は魔女王国に降伏勧告を行った。

魔女王国首都"マバ・ナトゥカラ"に迫るまで戦闘を避け、住民を慰撫しながら。

魔女王国も戦力を首都に集中させ、村々に害が及ばぬようにしていた。

戦になれば、両軍とも壊滅的な打撃を被るだろう。


返事はすぐに届いた。



『明後日の正午に降伏する』



ただそれのみ。印章も封蝋も署名も称号も無く、こう書かれた一枚の羊皮紙のみが届いた。

臣下らは当然訝しみ、罠を疑った。抵抗されることなく易々と敵の懐中に入れている事実も、疑念を助長した。

相手は、あの魔女なのである。どのような企みがあっても不思議ではない。


「殿、これは罠です。彼奴等が用いる軍勢は死人、どのような奇想天外な運用も可能です。土中から死人どもが這い出てきたとしても、それがしは驚きませぬ」

「ここで戦になれば不利です。テルセニャの川向こうまで撤退し、トーリンゲイン殿を待ちましょう」

「いえ、間者を潜らせて敵の意図を探りましょう」


どの意見も実に尤もであった。しかしだからこそ、それらは術中に思えた。

尋常ならざる知を蓄え、それが力にまで溢れ出で、遂には国まで成してしまった。

これまで戦ってきたどの戦士とも違う。戦士ならば、考えるのは戦いと己が去就のみだ。

だが彼女らは魔女だ。その目的は知のみ。それだけが彼女らの欲望だ。

その欲望がために排斥され、迫害された者たちが受け入れられる場所。彼女らはそれを守るためならば、命すら擲つだろう。

尋常な戦は通用しない。もっと言えば、戦そのものが通用しないだろう。

だから"屍の魔女"は兵を都まで下げたのだ。




俺は、彼女らに試されている。




「いや、降伏を容れよう。明後日、先軍と第二軍を伴って入城する」


直感が告げていた。これは試験だ。俺がどう対応するか、見られているのだ、と。


臣下たち、将軍たちは不平を述べることも、覚えることすらもなく、命令に承伏した。

彼らとて、大半は統王がいなくば死んでいたか小身に甘んじていた者ばかり。

命を擲つ覚悟ならば魔女にも負けぬ、頼もしき精兵たちである。






二日後、統王は陣を出て"マバ・ナトゥカラ"へ向かった。

建て増しに建て増しを重ねて混沌とした様相を呈しながらも、異能的な技術と知恵で整然とした運用が実現されている魔都。

周囲の勢力を威圧し、恐怖で威嚇するために付けられた"漸減戦"という意味を持つ名。

挑む者すべてが斃れ、『死人の軍勢』に加わってきた、死と狂気が渦巻く都市。

女による虐殺から興り、女によって支配されてきた、異端者の街。

そこへ向かう兵らは、どこか浮き足立っていた。死すら恐れぬ者が恐れるのは、死以上の何かであろう。

それが魔女という未知への恐怖であり、彼女たちが自ら纏った畏怖であった。


やがて、それは明確な震えとなって兵たちを襲った。

都の前で彼らを出迎えたのが、武装した死人の大軍勢だったからである。


目玉の飛び出た腐乱死体。


鎧を纏った骸骨。


体から矢や槍を生やした武装死体。


複数の死体を縫い合わせた死体巨人。


体全体を弄られ歩く大弩と化した死体。


捥ぎ取られた両腕の代わりに鎌が取り付けられた死体。


ありとあらゆる死体たちの軍勢が、生気の無いただあるだけの目と、意味もなく垂れ下がった下顎を兵士たちに向けていた。

それらの遥か後方から等間隔で立ち上る煙は、『死人の軍勢』を動かす魔力炉のものであろう。

炉はそれぞれ二体の死体巨人に守られており、見えはしないが近くに"屍の統率団"たる魔女たちもいるはずだ。



「殿、罠です! 後軍へお下がりを! ここは危のうございます!」



すぐに臣下の一人が統王の肩を掴んだ。

この場でただちに合戦となれば、彼の身が危ない。

『死人の軍勢』はゆうに3万はいたが、統王のいる先軍はせいぜい1万。後軍である第二軍も5000程度。

陣に控える6万の軍勢が駆けつけるまで二倍の数を相手に統王を守り抜くには、後軍に退いてもらうのが絶対条件だった。


だが、彼は臣下の手を振り払った。

『死人の軍勢』の奥から、二人の魔女が歩み出たのが見えたからだ。




まず歩み出て左に立つは、右目部分に穴が空いただけの木箱を頭に被った、長身痩躯の女性。

帽子は無く、ローブの裾は擦り切れ破れており、スリットから左足の太ももまでが覗いていた。

彼女はナン・シーラ=アル・バヴツ。16代目"軍の魔女"である。


次に歩み出て右に立つは、左下の目に眼帯を着けながら、目周辺の火傷痕をはみ出させているアーゲルン人の若い女性。

右頬にはアーゲルン人の国教であるカーギ・カリンに基づく罪人の証、木目の焼印が捺されている。

彼女はモンタ・カレドフィッチ・カガチ。3代目"法の魔女"である。


二人は軍勢の先頭に立ち、バヴツは腕を組んで体重を右足へ傾け、カガチは袖の中に両腕を入れた。

今から戦おうという者の佇まいには見えない。

それに『死人の軍勢』も未だ動き出してはいない。

一体、何を待っているのか?


「全軍、待機だ」


皆目見当もつかないが、それを統王も待ってみることにした。

指令を受けた指揮官が号令すると、兵士らは足を揃え、盾を着けた左腕を胸に当て、槍を立てて待機の態勢に入った。



両軍の間に、ただ不気味な沈黙のみが流れる。

死人らは微動だにせず、兵士らは微動だにせぬよう自ら努めた。



そのうち、統王は一つの推測に至った。


魔女たちは何かを待っている。

何かとは、もしや俺か?

降伏の文書といい、この軍勢といい、魔女は俺の軍や地位、国を見ていない。

彼女らが狙いを定めているのは、ただコードラン・ハーバントという裸の一個の知性のみなのか?


計りかねる。計りかねるが、確かめる方法は一つだけだ。


統王は臣下を留め置き、自らの馬を進めた。

二人の魔女と同様に、軍を割って先頭に歩み出る。


それでも『死人の軍勢』は動かず、二人の魔女も動じない。


だが、変化はあった。


『死人の軍勢』の奥から、もう一つ何かがやって来た。


それは、輿のようだった。


動物の骨を鉄で補強し、皮を張った輿を、四体の死人が担いで運んで来たのだ。

頂点に翻る旗は"屍の魔女"の印章。標語には「軛に鉄剣を、死に魁を」と刻まれている。


輿は二人の魔女の間、中央まで運ばれると、ゆっくりと地面に置かれた。

そこからまず差し出されたのは、杖の先端だった。

震える杖が地面に突き立てられ、枯れ木のような小さな手が突き出される。

それに引かれるようにして現れたのは、子供のように小さな、猫背の老婆一人だった。

全身に深い皺が刻まれ、手足は常に震え、フードの隙間からは白髪が伸びている。

歩みは蝸牛が如く、服装は巡礼者が如く。

そのような老婆が、二人の魔女の間に立ち、統王の軍勢らと向き合った。


彼女こそ7代目"屍の魔女"にして魔女王国女王、『死人の軍勢』の総帥にしてあらゆる魔女の頂点。

その名も"老いたるナサリンド"であった。



統王は馬から降りることなく、更に数歩歩み出る。

その時、老いたるナサリンドの、殆ど開かれていなかった両目が開いた。

四白眼の中央にぽつんと浮いた瞳が統王を射抜く。

震えながらも瞼は極限まで開かれ、白目には血管すら浮いていた。




「コードラン・ヴァルグホーン・ハーバント」




そして、老婆とは思えぬほどの声を張り上げた。

何十mと離れた統王にも、その声ははっきりと聞こえた。


「魔女王国は、貴殿に投降する用意がある。その暁には、我らが領地を拠点とし、軍勢を麾下に加え、技術と物資面でも協力しよう。汝の覇業実現に、共に力を尽くすと確約しよう」


声はしわがれ、震えているものの、老いのためであり緊張によるものではない。

それが確信できるほどの、よく通る、迷いのない声と言葉であった。


兵士たちの弛緩と安堵を、ありありと感じた。

誰も『死人の軍勢』とは戦いたくは無いのだ。

"屍の魔女"が降伏の意思を明確に示したのは、兵士たちにとってこの上ない朗報であった。




「ただぁぁぁーーーーし!!!」




その時、"法の魔女"であるカガチが大喝を放った。

魔女帽と立襟に遮られて尚、その声は統王の軍全てを揺るがす程の大音声であった。

"軍の魔女"バヴツは指一本動かさずに首を傾げて耳を木箱で塞ぎ、"屍の魔女"はそもそも一切動じていなかったが。


「我らが女王より、魔界王へ三つの問いがある! 今この場で、それに答えてもらおう!」


続けて発される宣言により、弛緩と安堵は霧散した。


「その答え如何では、直ちに合戦し、共に戦場の露と消えん!」


「DE-TIVA DOCICRULE!!!」


"軍の魔女"の、木箱が震えるほどの大号令が響く。

その直後、死人たちはだらしなく開いていた口を閉じ、各々の武器を構えて一歩踏み出し入身となった。

それが臨戦の態勢であるのは、誰の目にも明らかだった。


「魔界王の返答や如何に!? 問答を受け入れるか!?」


遂に、兵士たちがどよめき始めた。

彼らの視線は、彼らの前に立つ主君に注がれた。

それは縋るような、跪くような視線であった。


統王は目を細め、三人の魔女を見た。

堂々としており、自然体のまま構える自若ぶりは男顔負けであろう。


肝も肚も据わっている。全ては計画通りということか。

俺は満座の前に引き出され、自軍の全ての責任を負っている。

この局面、彼らを生かすも殺すも俺次第だ。降伏を受け入れる側であるはずの俺が、逆に迫られている!

であるならば、俺が為すべきはたった一つだ。



「受けよう!!」



統王がそう答えると"軍の魔女"の号令が再度響き渡った。恐らくは待機命令だろう。

そして、老いたるナサリンドが数歩、俯きながら杖と共に歩み出た。

足取りは赤子の如く不確かで、ゆっくりと首をもたげて見上げる様はごく普通の、老婆そのものであった。


「初めに問う」


だが、彼女は現代の賢者そのものだ。

その口から紡がれる問いに、神経を集中せぬわけにはいかなかった。




「汝が率いておるは男子(おのこ)か? はたまた女子(めのこ)か?」




問いに対して、まず流れたのは僅かな沈黙と、それによって強調された馬のいななき。

しかし統王に困惑や戸惑い、逡巡の素振りは無かった。

ただ老いたるナサリンドを馬上より、しっかと見据えていた。


そして彼は、自らをそのまま曝けることを選んだ。




「女子(めのこ)である! 家を案じ子を想い、守るために戦い、共に感じ入る、守り、そして守られる者。地に根付いて生き、日々に至上の喜びを見出し、愛を抱く者。皆戦のみにて生くる男子(おのこ)に非ず、戦の外にて生くる女子(めのこ)である!」




統王の言葉に淀みや恥は無く、繕いも見られなかった。

その堂々とした態度と声色のためか、兵士たちの動揺も鎮まりつつあった。


"屍の魔女"は頷きも唸りもせず、両手を組んで杖先を前方の地面に突き立てた。


老いと経験ゆえに重さを増した口が、再び開かれる。



「次に問う。汝は男子(おのこ)か? 女子(めのこ)か?」



問いになっていない問いには、必ず異なる意味がある。

ただ漫然と答えようが、深読みして答えようが、反応そのものが人となりを示す。


故に、統王はすぐさま答えた。




「どちらにも非ず! 我は狼、真なる狼である。狼は去らず、狼は飢えず、狼は吠えず、狼は走らず、狼は求めず! 俺は彼らに心身を捧げ尽くした末の、果てなる空虚を無上とする者! 野に斃れ、その肉が同胞に貪られ、この世の糧となった時、宿願は成就するだろう。俺こそは! 今この世に擲たれた『歴史の構造』である!」




この答えに動揺したのは、魔女たちの方だった。

"法の魔女"は袖に入れていた腕を出しながら前のめりになり、"軍の魔女"は傾げていた首を正して両足に力を込めた。

"屍の魔女"だけが威儀を保っていたが、見開かれた目は再び細められていた。



「三つ目の問いは!?」



馬と共に踏み出し、迫る。


老いたるナサリンドは鼻で深くため息をつくと、組んでいた手を解き、杖を持つ右手を差し出した。


「あたしも、歳かね」


震える声は穏やかだが、どこか諦めが混じっていた。



「何を問うつもりだったか、忘れてしもうたわ」



右手が開かれ、支えを失った杖が倒れる。

瞬間、バヴツとカガチはその場で跪いた。

『死人の軍勢』も臨戦を解き、各々の武器を地に投げ落とす。

魔力炉の煙は遠ざかり、死人たちは踵を返すと、都へと引き揚げ始めた。

死人とは思えぬほどの整然とした歩みには、それを操る者の確かな技量と意思を感じさせた。




ここに、魔女王国の降伏は成った。




老いたるナサリンドは約束を守り、魔女王国領と魔女たち全てを挙げて統王に協力した。

それによって攻勢限界は延長され、統王はスロヴ文化圏を手中に収めた。

豊かで広大な土地の確保と維持には魔女たちが尽力し、スロヴを足がかりとして得た統王は、その後僅か6年で現界をも完全統一した。

後に回想して曰くに「魔女王国の無条件降伏と全面協力が無かったならば、統一にはあと20年はかかっていただろう」とも語られる、この出来事は人々をして"魔女問答"と呼ばわれた。






だが、こんな話が残っている。


魔女問答の翌日、"軍の魔女"が「コードランが危険な男だとは感じたはず。なのに、何故降伏したのですか?」と老いたるナサリンドに訊ねたという。

老婆は初め笑い、そして孫に諭すようにこう伝えた。


「あいつが危険な男なのは確かだよ。でも、あいつはその危険さを隠そうとしなかった。自分から、曝け出したんだ。あたしに小細工や嘘は、通用しないって分かってたのさ。全く、賢い男だよ。危険ではあるけどね、あの賢さが陰らない限り、あたしらを悪いようにはしないだろうさ」


老いたるナサリンドは、現界統一の前年に死去した。

偉大なる"屍の魔女"の歴々の中で、彼女ほど重要な決断をいとも容易く為し得た者は、他に類を見ないであろう。












「これが、魔女問答の真実だ。統世史書には載ってないことも多かっただろ?」


二人は後宮を出て、鈍色宮に戻っていた。

と言っても、結局は廊下をただ目的もなく散歩するだけなのだが。


「……はい、お答えいただいて、ありがとうございます」

「実は魔女問答の後、臣下の者らにえらく叱られてな。『兵の士気や領民の統治に関わります故、そういった話は謹んでくだされ』なんて全員に釘を刺されたよ。だから統治が安定するまで、俺の詳しい返答の中身については、史書にも残せなくてな。まあ折を見て書き入れるつもりだが」


裏の事情をあっさり話してしまうのは信頼の証か、他の意図の表れか。

推し量る意味のないことではあったが、目はつい統王の挙動を追ってしまう。


自分は幸運な勝利者であり、その人生は勝利を支えた他者のために。


単純な言葉だが、それ故に深遠でもある。

クロスはどうしても考えてしまうのだ。

魔女の誰かがそれを言ったならば、自分に何が出来るのか、と。

既に、"胞の魔女"をただ見届けるのみだった苦い経験がある。


もし魔女協会を継ぐことになれば、その一つ一つに向き合わねばならない。


それが、例え、"兵の魔女"であろうとも。




「クロス」


沈みかけた思考を引き上げたのは統王の声だった。

気の抜けた声をあげ、間の抜けた面を向けると、彼は神妙な表情をしていた。


「実は、君には幾つか頼みごとがあったから呼んだんだ──」


声は潜められ、視線は軽く周囲を巡っていた。

散歩によって居場所を定めなかったのも、長話を続けたのも、聞き耳を警戒してのことだった。


それに思い至った時、クロスの表情も引き締まった。

どのような頼みであろうとも、心では既に引き受ける準備を済ませていた。


そうして統王は、体を寄せ、囁くように口を開いた。




「ある魔女へ、届けてもらいたい物がある」

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