初夏の嵐-非日常
鬼塚先生と呼びなさい
眼鏡かけて白衣を着た方が良いのかしら?
最近学校の仕事をしてない気がするわ...
月曜8:00
姉の車で登校する。
「お姉ちゃんどうする?」
「放課後でいいんじゃないかしら?転移しなければ何も起きないだろうし」
私から連絡しておくわね、と。
服とクツのお礼をもう一回しておこうかと思うのですが!
しかしですね、姉と一緒だと恥ずかしいのですよ!
お昼にでも言っておこうかな。
教室でホームルームまでの時間を、数少ない友人とおしゃべりをする。
この友人2人はどちらも退魔の家系でわたしの事もわかってくれている。
そろそろ先生が来る頃かとその時だった。
上空に恐ろしい何かが迫ってきている。強大な力を隠そうともせずそれは屋上に降り立ったようだ。
教室を出てなるべく目立たないようにはや足でソレを追いかける。
途中担任とすれ違う。
「すみません所用で姉に」
「わかりました気を付けてね」
ソレは職員用玄関に居た。
わたしとより少し背が高い160cm位?16歳前後で強気な顔立ち、無造作に撫でつけたような真っ黒なセミショート。
黒のメリージェーン黒のストッキング、黒のひざ丈のプリーツスカート、黒のジャケットに白のシャツ。
見事な白黒ファッションだわ...
「やられたと聞いて見舞いにきてやったぞ!」
右手の果物お見舞いセットを突き出す。
「三鳥様、ここでそのような大声は困ります!」
知り合いだったか、三鳥様?姉が様付けなんてしてるの殆ど聞いた事が無いのだけど。
「おぉ、その娘はそなたと気が似ておるのう娘か!」
「いやいやいや妹でございます、ここではアレなので協会の方へご案内しますので」
「むーう、仕方が無いのう。我とてそなたを困らせたい訳ではない従おう」
「ありがとうございます、妹の彩香です。彩香ちゃん今日は一緒に協会へ行きましょう」
「初めましてまして彩香です、荷物取ってきますので失礼します」
パタパタと教室へ戻って担任に早退を伝える「あなたも大変ね」わたしは悪くないはずです。
「お待たせしました」助手席に乗り込む。
「構わぬぞ!しかし今日日街中にあのようなものが居っても気にせぬものなのか、下界は久しくてのう」
「下界、ですか」
「屋敷からとんと出ぬ箱入り娘でな、はっはっは」
珍しそうにきょろきょろと周囲を見る三鳥様、流石に全く出ない訳では無いよね?
協会の入口で支部長が最敬礼で出迎える。
応接室に通される、わたしら3人だけ?こんな所入った事ないんですけど。
対応間違えたら死ぬパターンか。
「では改めてこちらのお方は 三鳥一 様です」
「はっはっは、よろしうな」
「鬼塚彩香です、姉がいつもお世話になっております」
しかし三鳥一ねぇ、聞いたことないな。
あれだけおっかない気を出しながら飛んでくるなんてただ者じゃないんだけど...
そういや南東の方から来たっけ、三鳥か、三鳥ねぇ....思いつかん。
不躾な視線を向けてしまったが、ニコリとほほ笑んでくれた。
「すみません」
「かまわぬよ、我が気になるのであろ」
そういって髪をかき上げる。
しかし見事にシャツ以外は黒であるな、黒...黒?
みとりはじめ?三鳥一?三鳥 一?三 鳥一?
「?????!!!!!」
「そなたの娘だというに勘が鈍いのう」
「娘ではなく妹でございます三鳥様」
貴女が神か。
「し、しつれいいたしました...」声がふるえてしまう。
「急に態度が変わりおったわ」
「仕方が無いかと」
そら支部長も逃げ出すわ、というか姉よあんたはどうして平気なんだ。
「私は幼い頃、直接ご指導を賜ったのよ」
こちらの視線に気づいたらしい。
「そなたも可愛がってやろうか?」
ありがたく存じますが正直怖いので遠慮します。
「遠慮せんでもよいのだぞ、はっはっは」
心を読まれただと!うかつな事を考えることすらできないのか!
「そなたの顔に出ていただけだ」
なるほどそうだったか。よく見ると勝気な感じが猫っぽくてすっごい可愛い。
「そうであろうそうであろう、もっと褒めるがよい!」
心読んでるじゃねえかああ!
「で、どのような奴であった?」
「呪術を得意とするがしゃどくろだと思っていただければ」
「リッチーか」流石神、詳しい。
「まさかテレポートして物理で殴ってくるとは、頭に全くありませんでした」
「どうせ集団戦だったのであろ?」
「仕方が無い事です」
姉本来の戦い方をするならば焦土作戦のような使い方をするのが正しい。
街中でそんなこと出来やしないのだが。
「我が気になるのはそなたの傷を癒した者であるな」
んん?自分で治したんじゃないの?
「なるほど、あそこに居たアレか」
心読むって便利で怖いね!そういえば先輩に連絡忘れてた。
「すみません忘れない内に連絡してきますので少し外します」
そう言って部屋を出て学校に連絡をする。
授業中なので先生に伝言頼めば良いだろう。
「すみません戻りました」
「彩香ちゃん、今日のお昼は豪華にしましょうね!協会のお金で!」
いやここ田舎だし、そんな高い物無いんじゃない?鮮度が良い物はあるけどさ?
「で、どこいくの?」
「もう予約取ったから!」
はえーよ、時間もまだ9:30で早いよ。
「では時間まで我が可愛がってやろう」
全力で遠慮します、いえ全力で拒否します。
「いえ、本日は体調不良の為遠慮いたします」
「おい千早、神の愛を拒む愚か者が居るのだが」
「いえ三鳥様、そのような愚か者はどこにも居りません」
「で、あるよなぁ」
駄目だこれ、早くなんとか逃げないと等と考えている間に全身が硬直する。
「愛にあふれる我が連れて行ってやろう」
三鳥様に担がれる。
「なんという御慈悲でありましょうか」
修練場に結界まで張って逃げれなくした上、たっぷり2時間可愛がられたのであった。
はい、久しぶりに食べたウナギは美味しかったです。
皆で散歩をかねて歩く。
「なるほどのう、リッチー相手で此処では必死にならざるをえんわ」
「はい、アスファルトに跡残ってますね」
リッチーとの戦闘場所は近かった。
人影のない神社の裏にまわる。
「ま、無事であるならよし。今日はもう帰ろう」
「ありがとうございました」2人で最敬礼。
「次はアレも呼ぶがよい、ではの」
そう言うと三鳥様が消える。真上にジャンプしたらしいがどんだけ高く飛んだの?
そこからものすごい速さで移動するのを感じた。
あぁ、来たときもそんな感じだったのね。
「あんな爆速で飛ぶ必要無いんじゃない」
「羽を伸ばしたかったんじゃないかしら」
文字通り羽ね。
「さて彩香ちゃん」
空を見上げていると。
「今度は空港までお出迎えよ」
坊さんの事すっかり忘れてたわ。




