序-上
わたし鬼塚彩香15歳
身長150cm体重は禁則事項、胸は小さいけど姉は大きいので将来性はあります!
3年生のステキな先輩とラブラブ学園生活中!
金曜日19:01、東東 高等学校屋上にて。
施錠されており立ち入ることが出来ないはずの場所に人影があった。
それは慣れた感じでフェンスを乗り越え外側に立つ。
左から右に180度を見渡した後真上を見る。
空は雲ひとつ無く星空がきれいだった。
つぎに下を覗く、5階建ての校舎から覗いた地上は ”毎度の事ながら” とても高い。
そしてそれは ”いつものように” 屋上から飛び降りた。
月曜日16:30、わたし1年E組 鬼塚彩香は養護教諭を務める姉 千早から保健室に呼び出されていた。
砂糖とミルクをたっぷり入れた紅茶のカップを弄びつつ、なかなか話を切り出さない姉に少しイライライしていた。
用件は分かっている、仕事の話だろう。
姉はわたしに仕事を手伝わせる事を良く思っていないようであるが、必要な事であるし小遣いも入るので悪くは無いと思っている。それに姉の役に立てるのがうれしかった。
確かに危険な事もあるし補助人員な為報酬も少ない、がそれも時間の問題であった。
なので何も問題は無いと思っていると、ようやく重い口を開いた。
「彩香ちゃんにお仕事を手伝ってほしいのだけど」
たった一言を切り出すのにかかった時間は30分、ハッキリ言って疲れる。
「お姉ちゃん、わたしは本当に気にしていないから大丈夫だよ」
「ありがとう、でも高校~大学を卒業するまではお仕事をお願いしたくないって思っていたから...」
「でもお姉ちゃんちょっと抜けてるし、そっちのほうが心配だなあ」
「こいつー!」
2人で笑いあう。
「でも今回のはいつものと違って調査なの」
「調査?」
「そう知ってると思うけど最近学校で起きている事よ」
それは、学校内で起こっている怪異?現象?の事だった。
水場が血だらけになっている、窓ガラスが割れている、壁に何かぶつかった跡がある、そしてー
「複数人が屋上から飛び降りる影をよく見る。」
「そう、そして犯行時刻も大体が分かっている。金曜の夜から土曜の朝までの間ね」
「時間もわかっているならどうして捕まえられないの?まぁだからわたし達のお仕事な訳か」
「えぇ、悪いのだけれど今回は調査だけだし、今週金曜夕方から私と2人で調査宜しくね」
「まー良いんだけど、アパート帰ってから話しても良かったんじゃ?」
親元(隣町)を離れ姉と二人暮らしである。
「昼頃連絡が来たしね、早い方が良いかと思って」
早い方が良いという割に話し始めるのに30分も掛かったんですけど!
「じゃあそういうことで金曜までしっかり準備しましょーというわけでお話はおしまい」
「ハイハイ、先帰ってるけどお姉ちゃん今日は何食べたい?」
「お肉がいいわー、あ、ビール切れてたから買っておいて」
制服のままでは買えないんじゃないかと思いつつ、カップの残りを飲み干そうとふと思い出す。
「3年の綾先輩ってリストカットしてるって本当?」
3年A組 綾凪、身長180cm優しげな顔立ちにフチ無しの眼鏡。
コーカソイド系のハーフかクォーターでアッシュブロンド。
成績も良くてー...と書くとモテて当然、ではなく人付き合いすら無いと思えるほど。
何が原因かというと圧倒的に暗く、人を寄せ付けない。
話す時は小声である、人の目を見れない、休み時間や昼食はどこかに行って居ない、人付き合いが悪く誘っても用事で断る、体育は体調を理由に毎度見学等々。
体育祭文化祭、修学旅行も体調不良で行かなかったと聞く。
そして極め付けが左手首の包帯で、夏も長袖のシャツ。
「えぇ本当よ、ちなみに身体測定の時日をずらして別で測定したわ。他にも傷があって見られたくないって言って」
他にもあるのか、一体なにがあったのかと思っていると、
「手首の傷を見せてもらったことがあるけれど、タテに結構大きく傷が走ってたわ」
「は?横じゃなくて縦?大丈夫なのそれ」
「まぁ、今は生きているんだし大丈夫なんでしょう...他にも傷が見えたし不可解な点も多かったけど」
自傷癖とかじゃなくて本気で死のうとしたのか、そう考えていると姉がニヤニヤと.....
「あー彩香ちゃん気になるんだねぇ、顔は良いからねぇ」
確かに顔はよかった、あぁ自分の好みだったしアイドルと比べても良かったさ。
「でも噂を聞いて諦めるよね、友達1人もいなさそうだし」
「それでもアタックする子は居るんじゃないの?」
こんな時代である、それすら個性と受け入れる者も居なくはないだろう。
「でも私が赴任してからの1年と1か月で変化はないようにみえるなぁ、付き合ってる子は居ないんじゃない?もしくは入学前から居たとか」
そうか、入学前から彼女が居る可能性もあったか。
チッ、ただちょっと顔がよくて背が高くてちょっと良いなぁって思っただけだよコンチクショウ。
「それにお姉ちゃんの妖怪○ンテナにはなにも来なかったなぁ?彩香ちゃんが気にすることは無いんじゃないかな?」
妖怪ア○テナなんて持っていないだろう、
「お婿さんには出来ないだろうね」
「そういうつもりじゃないよ、お姉ちゃん」
「・・・ポンコツ姉ちゃんでごめんね」
「そういうつもりじゃないよ、お姉ちゃん」
「・・・ごめんね」
「そういうつもりじゃないよ、お姉ちゃん、この話はもうやめよう」
「・・・ごめんね、そうだねもうやめよう」
カップに残った冷め切った紅茶を飲み干す、とりあえず死にたがりの事は忘れよう。
先ずは調査、姉の役に立ちたい。
そして金曜日ー
金曜日17:00、南校舎1F。
部活連中も少なくなり、雰囲気がぐっと増す黄昏時。
保健室で姉とティータイム。
「生徒教員には被害が無いし、大規模破壊も無いから大丈夫だとは思うけどそれなりの覚悟で行きましょう彩香ちゃん」
「トランシーバーチェックしよう...お姉ちゃん聞こえる?」
「大丈夫、あと携帯と連絡用術式もok?」
「ok、それじゃ旧校舎いってから南校舎回るね」
2人揃って保健室を出る。
旧校舎が解体されず渡り廊下で繋がって新校舎が建てられた。
18:00ゆっくりと旧校舎すべての部屋をを回って、姉に連絡をする。
「旧校舎問題無し、南校舎に行くね」
『了解、こっちも学校の周り回るわ』
19:00南校舎を1F~屋上まで見回る。
姉に連絡をし、何もなかった事保健室に一度戻る事を伝える。
1Fに戻ったときにふと、空を見上げる。
綺麗な空だった、思わず立ち止まってしまう程に。
「月が綺麗ですね、なんてなー相手居ないけど」
ふと暗く陰鬱にさせる嫌な気配を感じて東校舎に目をやってしまう。
あれは屋上で何を?噂の飛び降り?
姉に連絡「東校舎屋上に人影、向かいます」屋上に向かって全力疾走。
屋上への扉を開けー...開かない。
カギは姉か、術式を発動、扉を吹飛ばし屋上へ。
その人はすでにフェンスの向こうに在った。
「綾先輩何やってるんですか!」
顔だけでこちらを見る、しかしすぐ飛び降りた。
捕縛用術式を発動しようとしたが、流石に間に合うはずもないので中止。
駆け寄る前に5階建ての屋上にいても地面にたたきつけられる嫌な音が聞こえてきた。
「先輩!!」
助かる高さではない、フェンスを乗り越え下を覗く。
しかし何もない、死体も、血だまりも、地面に痕跡すらも何もない。
「??!!?????!!!」パニックになっていると姉から連絡。
「お姉ちゃん先輩が!先輩が!」
『緊急事態でそちらの応援に向かう彩香ちゃんもお願い』
「緊急事態?こっちは綾先輩が屋上から飛び降りたんだけど死体がないの!地面に衝突した音も聞こえたけど居ないの!」
『...死体が無いって事は生きているって事か見間違いや幻の可能性が』
生存の可能性を期待して軽く深呼吸をする。
「緊急事態ってなに?お姉ちゃん」
『とりあえず調査は中止、美河公園で巨大な鬼が出たらしいからそっちに応援ね』




