第一話「アルソリーとの出会い」 《4》
ファイは走りながらふと思った。
ジェイダスについてだ。
ジェイダス・アルソリーは、この町で起こる戦争を、たった一人で拡大を防いでいたのか?
2年間も?
しかもさっき鳴った警報は、つい最近できたと思われる。
なぜなら、何度かシャラジュ―マにいた時にこの町にきていたのだ。
その時、こんな警報は取り付けられていなかった。
警報が無かった時期も素早く気付いて町を守っていたのか。
また、この町では頻繁に戦争が起きているのに、町が壊れる事がほとんど無かった。
これはジェイダスのおかげだ。
確かにこれではこの町を離れるわけにはいかないだろう。
だが……
いつの間にか、ジェイダスを見かけた場所に着いていた。
「ファイ!!」
誰かに名前を呼ばれた。
下を向くと、男がこちらを向いている。ジェイダスだ。
「よく気付きましたね」
そういえば、ファイは何故か敬語だ。
意識はしていないが、元シャラジュ―マの先輩と思うと敬語になってしまう。
「当たり前だ。そんな所にいたら目立つぞ」
それに対してジェイダスは普通だ。
ファイとは逆で、同じ元シャラジュ―マと思うと、つい友達感覚になってしまうのだ。
他にも理由があるが…
「確かにそうですね」
ファイは少し笑ってジェイダスの前に降りた。
ジェイダスの手には、ファイの為と思われる服がある。
ジェイダスはそれをファイに渡した。
「んじゃ、俺はもう行くからな」
そう言い残して何処かへ去って行った。
ファイはジェイダスに渡された服に着替えた。
白い半袖と、紺色の長ズボン…一般的な夏服だ。
これはジェイダスの服らしく、ファイにとっては少しでかい。
まぁ、借りてる身が文句を言ってはいけない。
別にでかくて不満でもなかったが…。
「ん!?」
ファイの目に、ある光景が見えた。
道の真ん中に女の子が一人、いや周りにも人がいる。
青い鎧を着た人が5人、女の子の周りを囲んでいた。
良い雰囲気では無い事は、すぐ分かった。
会話が聞き取れる位置に、ファイはゆっくりと近づいた。
「だから、何度言っても無理だ」
青い鎧を着た人…ロイシャランの兵士が言った。
「本当に分かんないの?いつか死ぬよ?」
女の子はどうやらこの戦争を止めようとしているらしい。
説得ですんだら苦労はしないのだが…。
「説得ですんだらこんな事はしないって」
ファイは少し笑った。
ようやく女の子の顔が見える位置まで来た。
髪は瞳と同じ薄い青で、肩まであり、半袖長ズボンと、普通の女の子だ。
「早くそこをどけ」
「やだ」
「なら…女や子供なんて関係ねぇ。…死ね」
兵士の一人が持っていた銃を構えた。
女の子はそれでも動こうとしない。
「まずい!!」
思わず声を発した。
何をしたいんだろうか、あの女の子は。
ファイは急いで女の子の所に駆け寄った。
しかし、その前に一発…
銃声が響いた。
銃弾は女の子の顔のすぐ右を通った。
これは警告だろう。「早く謝れ」と。
しかし女の子は動こうとしない。
そしてまた銃声がひびいた。
二発目が発射したのだ。
これもファイは間に合わない。
銃弾は女の子の右肩をかすった。
右肩からは血がだらだらと流れてくる。
女の子は全く動じず、兵士を睨みつけている。
ファイの足が自然と速くなる。
そして三回目。
もしファイがいなかったら当たっていただろう。
ファイは女の子を横からタックルして、軽く倒した。
実際近くで見ると、身長はそれほど大きくなく、155前後といったところだろう。
「だれだ!?」
兵士の銃口は、女の子からファイへと移った。




