EPILOGUE
「ユン」
「なぁに」
「戦争は、ヒトが殺し合うのは、嫌だね」
守れるなら、守りたい。オリヴィアちゃんが、命を賭してまで、守ろうとしたものたちを。
「災害も嫌だ。飢饉も嫌だ。誰かが、泣くのは、苦しいのは、嫌だよ」
背中越しに、ユンが笑う気配がした。
「我儘だね、姫さんは」
「うん」
この手をどんなに伸ばしても、たぶん、欲しいものすべてには手が、届かない。
でも、きっとほかの誰より、わたしは遠くまで手を伸ばせる。
だってわたしは、水の王の聖女だ。どこまでも広がり、どこまでも旅する水を、統べる王の聖女。
「ねえ、知ってる?ユン、わたしね」
ユンにだけ聞こえるように、小さな声で告げる。
「皇位継承権、持ってるんだよ」
民衆は跪く。皇帝ではなく、わたしに。
そうだ。たとえいま、前作ヒロインを救ったとしても、あの馬鹿はまたいつ死にかけるとも限らない。
そんな相手に、国もわたしも、命運を託すのは馬鹿らしい。
国を顧みない皇帝なら。国民を傷付けるだけの皇族なら。
そんなもの、要らない。
ぜんぶ、ぜぇんぶ、ひっくり返してしまえば良い。
だってこの手にはその、権利と、力が、ある。
ユンは呆気に取られた顔をしたあとで、盛大に笑った。
「ちょ、とんでもないこと、言うね、姫さん。さっきのオレの比じゃないよ?正気?」
笑って笑って、でも、しょうがないなと言いたげな顔で、ユンはわたしを振り向いた。
「いいよ。付き合うよ。姫さん」
「うん」
もちろん、いますぐ、は無理だ。だが、今日確実に、一歩は進んだ。
いままでと同じ。地道に、確実に、布石を並べて行こう。大丈夫。盤面は、ちゃんと見えてる。
「一緒に、行けるところまで行こう」
神になる、とまで言うつもりはないけれど。
この理不尽な世界を、わたしがぶち壊してやる。
ё ё ё ё ё ё
そう。すべてはここから始まった。
これは、わたしの成り上がりの物語。
拙いお話を最後までお読み頂きありがとうございました
打ち切り漫画みたいな終わり方!
長い物語の序章のようなお話でしたが
少しでも楽しんで頂けたなら幸いです




