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ヒカリを結ぶ 番外編  作者: HANA


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19/26

番外編 第3部より 奏さんは大変です

3部の一ノ瀬家のほのぼのとしたお話です( ´˘` )



ある日の朝。


「奏ー!はやくー!」


玄関先でランドセルを背負った結が、両手を口元に添えて叫んでいた。


「朝から元気すぎません?結さん……」


眠そうな顔で現れた奏は、大きなあくびをしながら靴を履く。


「パパみたいにのんびりしてたら遅れるよ!」


「旦那はのんびりじゃなくて、朝5時から庭の草むしりしてます」


一ノ瀬家の庭では、蓮が黙々と花壇の手入れをしていた。


「……結、走るな。転ぶぞ」


「だいじょーぶ!」


そう言って走り出した結は、見事に玄関先でつまずいた。


「あぶなっ!」


奏が慌てて抱き上げる。


「ほら見ろ」


蓮が呆れ顔で近づいてくる。


「旦那、朝からフラグ回収早いっすね」


「うるせぇ」


結は奏の腕の中でけらけら笑っていた。


「しゅっぱーつ!」


「はいはい、お嬢様」


奏が結を下ろし、2人で歩き出す。


後ろから陽葵が手を振っていた。


「いってらっしゃーい!」


「いってきまーす!」


---


通学路。


「奏、きょうね、さんすうのテストあるの」


「へぇ、100点取れそうですか?」


「たぶん98点!」


「絶妙にリアルですね」


「2点はねむいからむり!」


「その2点取りに行ってください」


結は笑いながら奏の手を引っ張る。


「ねぇ、奏」


「なんです?」


「奏って、なんでずっとおうちにいるの?」


「刺さる質問しますねぇ……」


奏は遠い目をした。


「俺はですね、皆さんを守るスーパーエリート執事なんですよ」


「ふーん」


「信じてませんね?」


「うん!」


即答だった。


---


学校前。


「じゃ、帰りも迎えに来る?」


「もちろん」


「じゃあ、アイス買ってきて」


「条件追加されてる」


「チョコね!」


「人の話聞いてました?」


結は笑って校門へ走っていく。


その背中を見送りながら、奏はふっと笑った。


「……元気が一番ですね」


---


放課後。


約束通り校門前で待っていた奏の姿を見つけると、結は全力で走ってきた。


「奏ーーー!」


「危ない危ない、止まって!」


飛び込んできた結を受け止める奏。


「ただいま!」


「まだ家じゃないです」


「じゃあ、おかえり!」


「会話が自由すぎる」


結はきょろきょろ辺りを見回した。


「アイスは?」


「まずそこですか」


奏はポケットから小さなチョコアイスを取り出した。


「やったぁ!」


「約束は守る男なんで」


---


帰宅後。


リビングでアイスを食べる結を見て、蓮が眉をひそめた。


「……なんで食ってんだ」


「奏がくれた!」


「お前……夕飯前だぞ」


「旦那、器小さいっすねぇ」


「誰のせいだと思ってんだ」


陽葵はくすくす笑いながら紅茶を置いた。


「奏くん、いつもありがとう」


「いえいえ。俺も楽しいんで」


結はアイスを食べながら、にこっと笑った。


「奏、またあしたね!」


「ええ、明日も明後日も大変そうです」


「やったー!」


蓮は深いため息をついた。


「……お前、甘やかしすぎなんだよ」


「旦那よりはマシです」


「なんだと?」


「結さーん、旦那がうるさいんで避難しましょう」


「さんせーい!」


2人は手を繋いで逃げていく。


「おい、待てコラ!」


追いかける蓮。


その様子を見ながら、陽葵は優しく微笑んだ。


「……平和だなぁ」


その一言に、誰も異論はなかった。

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