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番外編 やらかし兄弟 模擬戦のはずだった

「――模擬戦、開始!」


訓練場に響く号令と同時に、蒼真が地面を蹴った。


「行くぞ、奏!」


「はい!」


真正面から突っ込む蒼真に、奏も迷いなく続く。


その様子を、橘は一歩も動かず見ていた。


「……正面突破か。相変わらずだな」


軽く呟いた次の瞬間――


「甘ぇんだよ」


蒼真の拳を、橘は片手で受け止めた。


「っ……!」


「速さも、重さも足りねぇ」


弾かれる蒼真。


その隙に、背後から奏が飛び込む。


「今だろ!」


「判断は悪くねぇが――」


ドンッ!!


次の瞬間、奏も地面に叩きつけられていた。


「雑だ」


「いってぇぇ……」


転がりながら呻く奏に、蒼真が舌打ちする。


「チッ……やっぱ強ぇな」


「当たり前だ」


橘は淡々と構え直す。


その空気に、一瞬だけ静寂が落ちた。


――が。


「なぁ」


蒼真が小さく呟く。


「ん?」


「2対1ってよ……」


ニヤッと笑う蒼真。


「バレなきゃ3対1でも良くね?」


「それな」


即答する奏。


そのやり取りを聞いていた蓮が、呆れたようにため息をついた。


「おい、やめろ」


「いいから来いって!」


「巻き込むな」


「固いこと言うなって!」


蒼真に腕を引かれ、奏に背中を押され――


「……はぁ」


観念したように、蓮が一歩踏み出した。


その瞬間。


「行くぞォ!!」


「おお!!」


「……お前らな」


三人同時に橘へ突っ込む。


完全に、3対1。


一瞬の沈黙。


そして――


「……ほう」


橘の口元が、わずかに歪んだ。


ドンッ!!


ガンッ!!


バキッ!!


数秒後。


三人まとめて地面に転がっていた。


「……いてぇ」


「やべぇ……」


「だから言っただろ……」


倒れたままの三人に、橘がゆっくりと近づく。


そして。


「……お前ら」


低い声。


「後で来い」


「「「……はい」」」


――数分後。


訓練場の隅。


正座する三人の前に、腕を組んだ橘が立っていた。


「ルールは?」


「……守るもんです」


「人数は?」


「……決まってます」


「じゃあなんで増えてんだ」


沈黙。


「……蒼真が」


「奏が」


「巻き込まれた」


「全員だろうが!!」


怒号が響く。


三人は揃って頭を下げた。


――が。


「なぁ」


小声で蒼真が呟く。


「楽しかったな」


「それな」


「……反省しろ」


真面目に言う蓮の横で、奏が吹き出した。


「ぶっは……!」


「笑うな!!」


橘の声が再び飛ぶ。


その日。


三人のペナルティが追加されたのは、言うまでもない。



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