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あなたは次期魔王候補に選ばれました  作者: coffeeゼリー
第3章 灼熱のフラッグバトル
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第9話 赤き竜と片翼の悪魔

決戦の日…!

ードラク領 赤竜アリーナー


 遂にこの日がやって来た。今日はドラク・バアルとのグレート・ゲームの日だ。



 会場はドラク領にある赤竜アリーナだ。



 コロッセオの様な外観の円形闘技場で、豪華なVIP席や宙に浮いた観客席等がある。



 その控え室で俺はお腹を壊していた。



「緊張してきた…お、お腹痛くなってきた…」



「またぁ!?」



 リリンは呆れた口調だが、しょうがないだろ!会場めっちゃ人いるじゃん!その中に俺の応援いないじゃん!



 ヤバい…ふ、震えが…いや、これは武者震いだ!



「バイブみてぇだ」とネベルが笑い始める。


「ツッコむ気にもならねぇわ…」


「ツッコむ!?何処にナニを突っ込むんだい!?」



 何を言ってるんだこいつは



「ネベル…サナティエルの前で…何を言ってる…」


「メ、メフィストさん!?じょ、冗談ですってぇ〜

 ちょっ…まっt…アアアァァー!!」



 ドコッ!バキッ!

 下ネタで盛り上がるネベルをメフィストさんが黙々と素手で殴り始め、あちこちに血が飛び散る。



 メフィストさん…怖いよ…



「今日は他候補者の皆様だけでなく邪悪の樹(クリフォト)の皆様

 も観戦される予定です」



 !?



「リリス様はいらっしゃらないようですが」と付け足すバフォメットさんの声は俺には届かない。



 ライバル達に魔王様に魔王軍幹部様御一行が見に来てるのね…



 やりたくねぇぇ!瞬殺されたらどうするよ!?



「帰っていい?」


「何言ってんの!リリイの勝利を信じてる観客が

 ここに5人いるわ!」



 リリンの言葉を受けて眷属の皆の熱い視線を感じる。



 みんな…!



「リリイ様、辛かった修行を思い出してくださ

 い!」


「ファイトです…!」


「まあ、私は勝てると思ってませんけどね」


「あそこのチアガールの胸の揺れ具合最高だな!」



 …もう応援団3人に減ったぞ。



「我々はそろそろ観客席へ向かいますが…」



「先に行ってて。私は少しリリイと話してから行く

 わ」



「かしこまりました」



 そう言ってバフォメットさん達はリリンを残して観客席へと向かう。



「話って?」



「ドラクについて少しね」



「ドラクは性格は紳士で熱い男よ。でも熱くなりす

 ぎる所もあるから注意してね」



「わかった」



「それと、バアル家は火系統の魔術を得意魔術と

 する一族よ」



「火か…知ってるか?火を使うキャラは強キャラと

 決まってるんだぜ」


「知らないわよ」

 バッサリと切り捨てられた。



 …話題を変えよう。



「俺の勝率ってどれくらいあると思う?」



「ふーん、そうね…50%と言ったところかしらね」


「!!?!??」



 50%!?火使いは強キャラなんじゃなかったのか!?



「それは本当か!」


「もちろん!だって勝負は勝つか負けるかの二通り

 しかないのよ!なら勝つ確率は50%でしょ!」


「…?」


「な、何か言ってよ!」


「あー…リリンって算数出来ないんだな」

 俺は慈しみにあふれた目でリリンを見る。


「何よその目!?」



『先ずはバアル家の次期当主であり、赤き竜と呼ば

 れし悪魔!ドラク・バアル選手の入場です!』



 外からアナウンスの声と共に観客の大歓声が聞こえてくる。



「ん…そろそろね」



 いよいよか…



「それじゃアレ、やりましょ?」


「アレって…やる必要あるのか?」


「サタン家の習わしよ!ほら早く!」



 そう言ってリリンは俺に手を差し出す。



 仕方なくリリンの前に跪くとリリンの手を取る。



 アレ…とはサタン家の眷属は戦いの前に主に戦いの勝利を誓い、主の手の甲に口付けをする…と言うもの。



 実際には口を寄せるだけだが…



 リリンの白く柔らかい、ほっそりとした手を取ると妙に緊張してしまう…



「魔族にとって手の甲へのキスは『誓い』という意

 味があるのよ。ついでに人間にとっては『敬愛』

 という意味があってね…」



 リリンの豆知識が辛うじて耳に入ってくる。



「そういえば、お腹はもう大丈夫?」



「あ…リリンの手を握ってたら治った…」



「ほんと?その腹痛は緊張から来るストレスが原因

 みたいだし、リリイは私に癒されてるのね!」



「そういうことを自分で言うのか…」



 もうすぐ入場だ。俺は意を決してリリンの手の甲に口を寄せ、誓いの言葉を言う。



「か、勝ってくる…」



「ウフフ、期待してるわ」



 そう言うと、リリンが耳元に顔を近付けて囁いてくる。



「負けられない理由があなたを強くするわ。忘れな

 いでね」



「?」



「リリイ・エリエ選手、入場です」


「あっ…はい」



 質問をしようとしたら会場スタッフに呼ばれた。



「いってらっしゃい」

 リリンが満面の笑みで送り出してくれる。



「あぁ…いってくる!」



『そして対するのは、人間でありながら魔王候補

 となった異色の経歴を持つ転生悪魔!片翼の

 悪魔のリリイ・エリエ選手です!』



 アナウンスと共に入場すると、どよめきに迎えられた。



 闘技場の中央には観客に手を振りながら待っているドラクがいる。俺は中央まで歩いて行き、ドラクと握手をした。



「君が片翼の悪魔だったとは…驚いたよ」



「皆に驚かれるよ。片翼の悪魔って何なんだ?片翼

 なんてただのデメリットじゃないのか?」



 片翼の悪魔、片翼の悪魔と言われるが、実際には片翼のせいで俺は普通の悪魔より魔力保有量が少ない。



「片翼の悪魔と言うのは俺達魔族にとってはおとぎ

 話や神話でお馴染みの英雄さ。そんなのが実際に

 目の前に現れたら驚くだろう?」



「まぁ…確かに…」



 うーん…一寸法師出みたいなもんか?



「フッ、いい勝負にしよう。それでは」

 そう言ってドラクは自陣へと戻る。



 俺もそれに倣い背を向け自陣へと戻り、術式を展開する。



 自陣は台座とフラッグからなっている。俺のフラッグには眷属みんなの寄せ書きが書かれている。



 審判の合図で自陣に中級防御魔術「魔防盾(マジックシールド)」を展開したら決闘が始まる…!



 この日のための一週間だった。結局魔王の魂(サタンズソウル)は覚醒しなかったが、秘策はある…!絶対に勝つ!



『それでは、これよりドラク・バアル選手とリリ

 イ・エリエ選手によるフラッグバトルを始めま

 す!』


『決闘開始!』


「「魔防盾(マジックシールド)!!」」



 俺とドラクが同時に叫び、戦いの幕が切って落とされた。

リリイvsドラク始まります。

フラッグバトルのルールは次回書きます。

次回もよろしくお願いします。

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