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あなたは次期魔王候補に選ばれました  作者: coffeeゼリー
第3章 灼熱のフラッグバトル
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第10話 残留思念とアナクの魔神

リリイとドラクの勝負が始まります。

 魔族には「決闘」と言うものが存在する。



 決闘とは、魔族同士が行う競技で、その種目は殴りあいからボードゲームまで、と多岐に渡る。



 決闘は行う者同士が互いに納得するような競技、ルールを設定し行われる。



 その競技の中でもポピュラーなのが「フラッグバトル」だ。



 台座に設置された相手のフラッグを破壊すれば勝ち。だが、相手のフラッグを支える台座の損壊率が60%を越えた場合、フラッグを壊しても 自分の敗北となる。



 単純に魔力の多いものが勝つわけでなく、魔術のコントロールの正確さも要求される為、意外な展開が起きる、それがフラッグバトルなのである。



「「魔防盾(マジックシールド)!!」」



 俺の陣地に防御魔術がかかったのを確認すると同時にアウローラを抜き、飛行魔術で一気に飛び出す。



「火魔術 赤熱吐息(バーンブレス)



 対してドラクは無数の火球を撃ち込んでくる。



 リリンによればドラクは俺の軽く10倍は魔力を持っているらしい。長期戦になれば勝ち目はない!一気に決める!



「いくぜ!闇魔術 闇黒一閃(ブラックスラッシュ)ッ!!」



 飛んでくる火球に対してアウローラによって魔力を増幅された闇の斬撃をぶつけながら進む。



 バアルの一族が火魔術が得意なようにサタンの一族は闇魔術を得意魔術としている。



 だからリリンの眷属である俺は闇魔術が得意なわけだ!お陰で中級魔術でも難なく使える。



「火・防御魔術 赤壁(せきへき)



 ドラクが巨大な火の壁を作る。



「オラァッ!」



 アウローラを振り抜くと、いとも簡単に火の壁が真っ二つになり、消え去る。



「ほう…!火を斬る…いや、魔術を斬ったのか!」


「面白い…面白くなってきたぞぉぉぉ!」



 ドラクは嬉しそうに叫ぶ。



「火魔術 緋火海(ひひうみ)ッ!」



 ドラクの陣地を含む一帯が火の海へと変貌する。



 火の勢いに一瞬、気後れする。



 近づくんだ…!近づけば俺には秘策がある!



 覚悟を決め、火の海に飛び込んでいく。



「火の海へ飛び込む…素晴らしい覚悟だ。しかし、

 陣地の守りが薄くなっているぞッ!」



 ドラクがそう言った瞬間、



 ガギィッ!

 後方で大きな音がする。



「!?」



 振り返ると、がら空きの俺の陣地に既に何発も火の玉が撃ち込まれている。



「な…!?」



 完全に忘れてた。そうだよ。俺がこんな前線にいてどうやってフラッグ守るんだよ…



 やられた!そう思ったときにはもう遅い。2発目の火の玉が命中し、防御魔術にヒビが入る。



「闇魔術 黒闇砲弾(オパークシェ)r…」


「火魔術 赤火包囲網(ファイアジェイル)



 火の玉を撃ち落とそうと、魔術を放とうとした俺に火が纏わりついてくる。



「クソ!こんな…」

 一心不乱に纏わりついてくる火を斬っていくが、



 グシャアァッ!

 3発目の火の玉が命中し、俺の陣地の守りが消え失せる。



 そして4発目の火の玉が丸裸のフラッグを焼きつくそうとする。



 こんな…こんな筈では…



「クソォォォォォォォ!!!!」



 火の包囲を無理やり突破し、ヤケクソ気味に自陣へと駆ける。



 転移魔術を使えれば!



 己の非力さを呪うが、もうどうにもならない。



 観客も既にドラクの勝利に歓声をあげている。



 …あまりにもあっさりと…負けてしまった…



 勝利を諦めかけた時、俺のフラッグのすぐ後ろの観客席へと目が行く。



 そこにはリリンや眷属のみんながいた。みんな…必死に応援してくれてる…俺なんかの為に…



 その時、心配そうな顔をしているリリンと目が合う。



 すると、今になってなぜかあの言葉が思い出される。



『負けられない理由があなたを強くするわ』



 決闘直前にリリンに言われた言葉だ。負けられない理由…?



 リリンはなんたってそんな事を?勝ちたい理由じゃダメなのか?



 …俺の負けられない理由って?



 あぁ…そうだ リリンに誓ったんだ



 勝つ…って



 ちっほけな理由だが…これが俺の負けられない理由なんだ…



 そんなことをぼんやりと考えていると、時間の経過がひどく遅い気がした。

 


 いや…気のせいじゃない!俺も、周りの全ても、スローモーションになっている!



 これが走馬灯と言うやつか…?



 見ると、黒い影が俺の目の前で蠢いている。



 なんだ…?



「負けられない理由…それは『サタナの秘術』を

 覚醒させるパスワードだ」



 影が喋った。



「あ、あなたは…?」



「私は『魔王の魂(サタンズソウル)』に残る残留思念の様なものだ

 よ」



 魔王の魂(サタンズソウル)に残る残留思念…?



 えっ…?つまり目の前のこの影は魔王の魂(サタンズソウル)を創ったと言われている初代魔王のサタナ様…だったりするのか…?



 待て待て!さっき覚醒のパスワードとか言ったか!?



「君の負けられない理由が今、赤き暴食の巨人を

 目覚めさせたのだよ」



 影がそう言うと、背後に見覚えのある赤い巨人が出てくる。



「…昨日夢に出てきた!」



「『アナクの魔神』と言う。あらゆる魔術を無効化

 し、主のイメージに従って動く巨人だよ」



 そこで言葉を切り、影が微笑む。



「しかし似ているな、彼女に…」



「彼女…とは?」



「あ…あぁ気にしないでくれ…。そうそう、バアル

 の一族は熱くなりやすい性格だ。十分に気をつけ

 てくれたまえ」



 確かリリンも同じことを言ってたな…



 その言葉を最後に影は消え、時間の進みも元通りになり、ドラクの勝利を確信した観客達の大歓声が聞こえてくる。



 俺は叫ぶ。あの名を。



「喰らい尽くせッッ!!アナクの魔神!!!」



 俺の叫びに呼応するように、俺のフラッグの上方の空間が割れ、角と牙の発達した赤い巨人が上半身を覗かせる。



 そして巨人は飛んできた火の玉の尽くを打ち落とし、叫ぶ。



「グオオオオオォォォォォォォォォォ!!!!!」

アナクの魔神を覚醒させたリリイの秘策とは…?

次回もよろしくお願いします。

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