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出会い。
どのくらいの時が経っただろうか、いつの間にか寝てしまったメアリーは扉を叩かれる音で目を覚ます。
「トントン」
「すみません、入ってます?」
いきなりの問いかけに理解が追いつかない。驚きと恐怖で声が出ない。
「開けますよ?困るんで」
自分は断頭台に登るのだと思うとどんなに世界に絶望していても死の恐怖が襲ってくる。
「ガチャ」鍵が開く。
顔を上げることができない。
「え?だれ?悪いけどちょっと出てくれ。もう我慢できないから。」
メアリーはいきなり腕を掴まれ外に出され腕を掴んだ男は私の代わりに牢にこもった。もはやただぺたりと座り込むしかなかった。少しすると中からけたたましい音とともに男が出てきた。男は私の顔を見るなり何かを理解したらしく、こう言った。
「なんで人の家のトイレにこもってたか知らないし、どうやって入ったのかもわからないけど、とりあえずコーヒー入れるけど飲む?」
これが私メアリーと北村一馬との出会いだった。
トイレから始まる異世界生活も悪くないよね