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第36話『攻略社達という目標を知る少女』


 武山冒険社……。



 聞き覚えがない会社だ。

 恐らく私が死んだであろう2015年。

 その後にサイムが作り出した会社……。

 この幹にある確かにいた証。

 私はタマシイさん達に振り返る。


 

「どんな会社だったんですか!?

それは今はどこに……。」

「落ち着きなさい。まずは奴らがどんな奴らだったかを語ろう。」

 座るように言われ、おとなしく岩場に座る。

 どうやってここを攻略したんだ?

 きっとすごい会社に違いないとワクワクとドキドキを胸に隠し真剣に聞く。

「奴らはこの町で最底辺のしょーもない会社だった。」

 ごめん。すごい会社ではないみたい。

「なんなら設立から2年たっても最底辺の馬鹿会社だった。」

 ごめん。相当駄目な会社みたい。

「依頼を受ければ失敗ばかり。いいところはあるが悪評が多すぎる。」

「業務時間中、ゲームで近所の子供泣かしてイキリ散らかす。」

「役所に出禁になる。」

「スポーツをすれば乱闘しかける。」

「商店街の各所で借金する。」

「いい歳した大人が焼肉店で中学生と揉め合う。」

「「……………………………………はぁ~……。」」

 二人ともため息をしながら頭を抱える。

 パッと見ておじさんたちが、項垂れているのはなんだかおもしろいように思えるけど。

 それがサイムのことなのでさすがに申し訳なくなる。


 

「そんな駄目会社だったが、我々にとっては今でもライバルと言っていい。

いつも張り合ってた。くだらない勝負事が楽しかった。」

「ああ。」

()()()?」

「今はもうない会社だからだ。

サイムは今かつて仲間だったもの達数名を率いて旅に出ているらしい。

アイツの場所は我らも知りたいところなのだ。」

 旅に出ているだって……!?

 場所がわからないの!?

 ……ううう。ここで情報が途切れるのは嫌だ。

 それにまだ情報が出ていなさすぎる!




 ――こんなところで引きはがされてなるもんか!!


 

 

「……その様子だとお嬢さん。本気であいつのことが好きなんだなぁ?」

「はい!好きです!!」

 当然じゃない!!大好きなんだもん!!どれだけ記憶を失おうと純愛は途切れない!!

 何のために多くの敵を殴り続けたと思ってんの!!

 どーして学校に通い青春を続けてきたと!!

 必死になって彼と未来を掴むためにここにいるんだから!!



 

 

 そんな私を見て、カンミおじいさんはしわくちゃの顔で笑いかける。

「安心しろ。我々は知らねぇが。

居場所を知っているであろう人物たちを知っている。」

 !!



「そ、それって……!」

「武山冒険社はサイムを含めて『7人』いた。

残り6人のうちサイムとともに旅だったのが2人。

別で旅に出たのが1人。

別の土地に定住したのが1人。

そして少なくとも『2人』はここに住んでいる。

ショーワ街にな。」

「ああ、奴らならサイムを知っているはずだ。

現在地を知らなかったとしても手がかりは必ずある。

もし知らなかったとしてもほかの仲間の居場所は把握しているだろう。」

 サイムの仲間達……!?

 どんな人達なんだ?

 いやどんな人でもいい!

 私の彼氏を知っているのであれば!絶対に会って居場所を知らなければ!!

「その人たちを紹介してくださいッ!!私の未来と青春がかかってるんですッ!!」

「あいつらは今……。」




 

 ――その時だ。遠くの方で叫び声が聞こえた。



 


 万歳ストームの2名は聞こえるや否や、目を合わせることなく立ち上がり叫び声の方へと向かう!

「みひゃ!?ど、どーしたみ!?み!?みぃ!?」

「あとを追いますよ!みーさん!」

「みぃッ!!」

 少し出遅れた!まぁ追いつくなんて簡単だ!!

 二人ともさすがに鍛えていることあって素早いな。

 

 

 走りながら彼らの掛け合いが聞こえる。

 鬼気迫る声だが、どこか頼りになる。

 後姿を見てどこか安心してしまう。

「タマシイ!!第4ビオトープ!!1年坊主のところだ!!」

「わぁってる!おやっさん!!事態把握!!」

「おそらく研究所からなんか逃げ出したな!緊急事態にのっとり戦闘を許可する!

我々が敵を倒すからほかの社員には避難誘導に専念!!

生徒の誘導を先生方にも指示!!武器申告!!」

「ショットガンギアM2、スタンガンギアW1、手りゅう弾1個、ダガーナイフ2本、防弾チョッキ!!おやっさんは!?」

「ハンドガンギアMo44、ツイン催涙ガスギアPoints23、ソードブレイカー1本、防刃チョッキ!!戦術指示要請!!」

「なんであろうと長期戦をさけるが、様子を見ることを忘れずに!!」

 すごい早口で聞き取りづらいが、移動中に戦術を構築している!?

 これがプロの冒険社……。

 モンスターを倒し、ダンジョンを攻略し、人々の依頼を解決する業種。

 私が彼らを見失わないように高速で移動していると悲鳴が大きくなっていく。

 曲がりくねった狭い通路をスイスイ進んでいく。

 おそらくみーさんはついてきていないだろうけど……。

 この先でどうやら緊急事態だったらしい。

 せっかくいいところだったのに!!






 

 ――まぁ難しいことは置いといて……全力で問題を起こした原因をぶっ飛ばせば問題はないッ!!

 




 


 通路を抜けるとまた建物とは思えない場所につく。

 そこはドームの中にある砂漠のような場所だ。

 砂漠だからか、その緊急事態の原因になっているものが見えた。

 人がまばらに散っている砂漠の真ん中。

 そこに…………どでかい……水餅?羊羹?

 えーーーっと……まんまるとした……黒色に近い紫のぬめぬめの……家くらいの大きさの『巨大水餅』があった。

 プルプルしていて、紫の水餅がある……。

 何だろ?あれ?黒いスライムさん?

 コア握りつぶせば、生命が潰えるモンスターさんこと、スライムさんかな?

「あれは!?まさかッ!!」

「おいおい!まずいぞ!!タマシイッ!!」


 

 何がまずいのだろう?あんなスライムさんなんてコアを雑巾絞りすれば簡単に絶命するというのに……。

 まぁ何はともあれ二人があからさまにまずいって感じならば……

「私がやってやろうじゃない!!」

「「お嬢ちゃん!?」」

 接近し殴れば話の続きが聞ける!!

 粉砕してサイムのこともっと聞きたい!!

 話のために速攻でスライムさんの命を壊す!!

「待ちなさい!!」

 どーせ、危険だからとか子供扱いしてくるんでしょ。そんな理由なら私がやった方が早い!!

「止めないでくださいよ!たかがスライ」

「スライムじゃねぇッ!!接近するな!!死ぬぞッ!!」

 ん?

 



 


 ――――――スライムじゃない?()()()()()()



 


 ……確かにあれは初見の敵だ。

 少しだけ話を聞いておこう。

 私は足を止める。

「……サイムに似てるよ。そういうとにかく無茶苦茶をしようと身体が先に動こうとするところ。

だが、話を少し聞いてくれ。あいつの知り合いだ、危険だと知って無茶をするであろうことなんて百も承知でアレの情報を与える。」

 タマシイさんは眉間にしわを作り、遠方にある水餅を指差す。

「あの生命体の名前は『オドロ』と呼ばれる。

かつて19年前までここに生息していた危険な生命体だ。

多くは駆逐され、残ったものはしかるべき研究機関で-150度で冷凍保存されている。

外に出さねぇようにな。」

 オドロ……聞いた感じ危険な生命体。

「スライムにも似ている物理攻撃に耐性がある生き物なんだが、スライムと違って厄介な特性がある。」

「その特性って何ですか!?」

 あいつを終わらして、早く話の続きを聞きたいんだけど!



 


「奴の体内には高濃度の放射性物質が含まれる。」


 



 な……。


 

「放射性物質!!?」

 え!?つまり『核物質』とかのアレ!?

「奴の急所は目玉なんだが、そこをつくと大量の放射能を含んだ体液をぶちまける。

倒したとしても近くにいたら被爆し、確実に身体に異常をきたす。

とっさに避けたとしても、君たち学生や観光客がいるここでそれをやるのは大変危険だ!」

「19年前。我らはガスマスクや布で顔を覆い身体能力で奴らの体液をさけたが……人がいる以上、下手に倒すと被害がでるだろう。

あの時は普段から修羅場をくぐってきた冒険社ばかりだった、サポート企業の助けもあった。

だから倒せた。

だが攻略をしたとき武山冒険社や我ら数社を除いて、被爆した人らも大勢いた……。」

 ……。







 ――――これはさすがにまずい……。







 私の攻撃は近接攻撃だ。

 そして私の死因とされているのが『心臓癌』だったことを考えると、おそらく私でさえ『癌』などの身体異常には勝てない……。

 避難しきれていない人だっている……。

 



 

 つまりあのオドロさんに、有効な手段がない……。










 ――こんなのは初めてだ。

 



※ブックマーク、評価、レビュー、いいね、やさしい感想待ってます!

この物語の『更新』は現状『毎週金、土、日』に各曜日1部ずつとなります。



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本日のヒトメさんによる被害/買い物

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