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第34話『終始の装置でミリオタと邂逅する少女』

 


 ――翌日、社会科見学当日。



 ここはエイドスドアルームに入る前のロープウェイの入り口だ。

 どうやら高所に入口があるらしい。

 朝、店長さんたちの特性ミニラーメンを食べて気合十分の状態だ。

 いつも通り、麺はビミョー―だったけど……。

 ちなみに中等部1~3年生が全員集結している極めて珍しいタイプの社会科見学だ。

 おかげでロープウェイ前の広場はすでにぎちぎちだ。

 クラスメイトの噂だと『ようやく予約が取れた』だとか、ここ最近になってから『嘘みたいにことが順調に運んだ』とか、そんな風にとれた珍しい社会科見学らしいのだ。

 もしここが見学できなかった場合、アイスクリーム工場になったらしい。

 ……私は本当ならそっちの方を見学したかったんだけど、だけどもエイドスドアルームだからこそ、サイムの手がかりを得られるっていうんだから仕方がない節もある。

 



 ちなみにだけど、なんでロープウェイ前にいるかと言えば、先生の正直守る必要性があるのかわからない大変ありがたーーい(棒読み)ご説明を中等部全員で聴いているところだ。

 正直、どうでもいいお話だ。体育座りで聴かされていて早くいきたい気持ちをせかされる。

 現地のガイドさんの言うことを聞きましょう!とか。

 今回、私達が暴れたら二度とここを見学させてもらえませんよとか、言ってくるけどさ。

 少なくともここ数日間2040年を体験してわかったことがある。



 ――この子たち2015年にいた馬鹿に比べると『臆病』と言っていいぐらいおとなしいよ!



 少なくともやろうって考えは恐らくないよ!

 なんだかインターネット?がどうとかでびくびくしている子が多いって感じだよ!

 触れられないものごときに恐怖するなんて、私からしたらだいぶ馬鹿げてるんだけど……!

 私の感覚で言うとまぁそういう子が多いから、恐らくそんな注意を長ったらしく10分間もしなくてもって感じだ……。



 そういうつまらない話がようやく終わり、先生達の前に奇妙な風袋の男性が2名現れる。



 そのうちの一人には見覚えがあった。

 タイショウモダンタワー跡地の記念碑の前に立っていた深緑の軍服の男だ。

 口髭と顎髭を生やし、黒髪でがたいが非常によく真っすぐな目を下将軍って感じの男だ。

 顔のしわは多いがはっきり言うとどこか若々しい感じがしたのだ。



 もう一人は、見るからにしわくちゃなおじいさん。

 大体70歳くらいだろうか?

 体が小さく、身長はあの様子だと私より若干低い。恐らくは草原人だ。

 頭巾をかぶり、こちらは紺色の軍服でどこかの民族衣装みたいに裾や袖が大きい。

 細い目で、巻きひげを付けてまるで仙人のような人物だ。

 


「皆さんッッ!!こんにちはァ!!」



 深緑の軍服の男ははきはきとした大きな声でしゃべる。

 記念碑の時の印象と全然違うぞ!?

 その人物にたじろぐようにみんなが『お、おはようございぁす。』といった具合で挨拶をすると、その人物は首を横に振る。



「声が小さい!!声かけはチームワークの基本ッッ!!

声を出さないと死ぬ場面なんていくらでもある!!職場のミスにもつながる!!

もっかい言うぞ!!おはようございますッッ!!」

「おはようございマァスッッ!!」

 私が大声で挨拶するとその人は、私の方へ親指を向けウィンクしながらサムズアップする。

「ヨシ!!そこのお嬢ちゃん!いい声だ!!」

 なんだか熱血って感じの人だなぁ……。



挿絵(By みてみん)



「少年少女よ!名乗りが遅れたことを詫びる!すまない!

私はF級冒険社『万歳ストーム』、代表取締役社長『大和(ヤマト) (タマシイ)』だ!

このエイドスドアルームを攻略したものの一人。

『大隊長』と呼ぶものもいる!今回、君たちの護衛と案内の依頼を受けてここに参上した!

君達にこの未知が残る施設への案内をできることを大変誇りに思う!

よろしくお願い申し上げる!」



 ……この人がサイムを知る人物。タマシイさん。

 すごく朗らかで接しやすそうな人だな……。


 

挿絵(By みてみん)



「さて、君たちを案内するにあたってもう一人紹介したい人物がいる!

それがここにいる、わが師でもある『おやっさん』ことカンミだ。」

 タマシイさんが、背中を勢いよく叩いたのは紺色の軍服のおじいさんだ。

「………………こんにちは。皆さん。

敵潜(テキセン) 水干見(スイカンミ)と申す。

御年、76歳だったかな?

普段はここのガイドのリーダーをしつつ、ここの研究をしているものだ。

元万歳ストームの初期メンバーでもあるから、安心して背中をまかせてくれよぉ。」

 うわぉ、無茶苦茶渋い声。

 声に覇気がある……。

 それにあの小さい身体…………。

 相当鍛えているように見える。タマシイさんにも負けていないだろう……。

 下手に隙を見せないような感じ…………。

「それではロープウェイの乗り給え!現地で解説したいことは山積みだ!突撃ぃー!」

 二人ともそそくさにロープウェイに向かい、私達も隊列をなし後に続く。



 観察してわかったことだが、二人とも体の重心に奇妙なゆがみがある気がする。

 歩き方からわかる。

 …………おそらくだが、二人とも何らかの後遺症を背負っている?

 それに何度も戦っているもの特有の脚運びをしている。

 歩き方が寸分たがわぬ形で彼らの息があっているのだ。

 同時に足を動かしている身長も何もかも違う二人が……。


 

 どうにか、この二人だけの時を狙って聞き出したい。

 おそらくエイドスドアルームに着いたらその瞬間があるはずだ。見逃すな……。







 


 私達はロープウェイに乗り込み、エイドスドアルームへと入っていく。

 巨大な球体が近づいていくんだから迫力満点だ。

 


 

 ◇◇◇




 着いたのは港のような場所……。

 と言っても『SF映画の宇宙戦艦の港』のような場所だ。

 無機質で壁面には大中小の数えきれないほどの穴が開いており、血管のような模様がびっしりと埋め尽くされている。

 異常に天井も高くそんな光景を見て、圧倒される。

 プラネタリウムのすごい版にいるって感じだ。

 壁はほのかに明るくとても施設内にいるって感じではない。

 床はなかなかに硬く、私でも壊せるかどうか怪しい……。



 そこに広がる光景は私からすれば『未知』そのものだった。





 ただ、何かが引っかかる。





「はい!集合!!」

 タマシイさんの号令と共に、みんながざっと集合する。

 聞き分けがやっぱりみんないいなぁ……。

「ここがエイドスドアルームの玄関口。

通称エリアⅠ『ウーヌス・ファーブラ』だ。

19年前突入した当初に比べて露店が出てたりしてだいぶ違っていたりするが、我々もここから侵入した。」

 タマシイさんは何かを思い出すように天井を見つめる。

 軽くため息をつき、私達の方を見る。

「ここから君達一般人を案内できるのはエリアⅡ『ドゥオ・ウェスペル』までだ。

エリアⅢから先は国家機密の研究がおこなわれていたり、知った時点で銃殺が確定するものまである。

こころせよ!」

 みんなが生唾を飲む音が聞こえる。

 銃殺って言っても『弾丸より素早く動けばいいんじゃ』と思った。

 だけど……。

 弾丸より素早く動いて、髪のセットが崩れるのは乙女として駄目な気がする。

 おとなしく従うか……。

 


 行ける範囲がちっちゃいのだろうけど、そもそもここがバカでかいんだからそれでも十分なんだろう。

 そして恐らく国家レベル、下手したら世界レベルでここは恐らく重要な施設なんだ。

 私の感じたショーワ町とショーワ街が違和感があるレベルで発達するくらいに………………。



 

 ――――――――しかし。




 私は周りを見渡す。




 




 ――――何だろう?





 …………………………。




 


 ――――私はここを知っている。

 




 


 失われた記憶に”何か”が引っかかる。




 



 ――――覚えている。ここに来たことがある。










 ――――私は私の時代になかったはずのここに1度、『誰か』と一緒に来たことがある。







 失われた記憶の渦の中。

 頭痛にも似た何かが脳みそ……記憶を司る海馬の中。

 誰かが私の手を引き、微笑みながら一緒にいた。

 その記憶を、声を思い出そうとしている……。

 だが思い出せたのは一つの言葉だけだ。











 



『――さぁ、こっちへ。私の方へ。』

 

 

 










 ――あの言葉の主は……誰だ?


 


※ブックマーク、評価、レビュー、いいね、やさしい感想待ってます!

この物語の『更新』は現状『毎週金、土、日』に各曜日1部ずつとなります。



 ■■■ ■■■

本日のヒトメさんの●●

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●●との記●:●●との大切な●憶、それが●だっ●かは思●だせ●い。

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