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ゲームは下手だけど、世界一のチームを作りたい!!  作者: 龍崎
第2章 蒼き鷹の飛躍

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第4話 届いた通知

「お疲れ様でしたー」


月城アリサはいつものように配信を終えた。


画面には終了画面が表示されている。同時接続十二人。配信時間三時間二十分。登録者数五千二百三十一人。三年間続けた結果としては決して大きな数字ではなかった。


それでもゼロではない。


今日も見に来てくれた人がいる。コメントを書いてくれた人がいる。だから続けていた。


「ふぅ……」


椅子へ深くもたれかかる。配信が終わった後の部屋はいつも静かだった。さっきまで誰かと話していたはずなのに、一人になると少しだけ寂しくなる。


その時、机の上のスマホが震えた。通知だった。


何気なく手に取る。最初は企業広告か何かだと思った。だが送信元を見た瞬間、動きが止まる。


BLUE HAWK運営事務局


「……え?」


思わず声が漏れた。心臓が跳ねる。急に指先が落ち着かなくなる。


まさか。


そんなはずない。


恐る恐るメールを開く。そして書かれている文章を読む。一行。二行。三行。最後まで読んだ後、もう一度最初から読み返した。


内容は変わらない。


何度読んでも同じだった。


『ストリーマー部門オーディション一次審査通過のお知らせ』


「え……」


アリサは画面を見つめたまま固まった。理解が追いつかない。もう一度読む。やっぱり同じだった。


一次審査通過。


確かにそう書いてある。


「嘘でしょ……」


立ち上がる。部屋を歩く。落ち着こうとする。だが全く落ち着かない。


今まで何度もオーディションを受けてきた。ストリーマー事務所。配信グループ。企業案件オーディション。結果は全部同じだった。


不合格。


だから今回も期待していなかった。応募したのも半分勢いだった。どうせまた落ちる。そう思っていた。


なのに。


初めて通った。


初めて次へ進めた。


「本当に……?」


再びスマホを見る。やはり内容は変わらない。通過。その二文字だけがやけに鮮明に見えた。


気付けば目頭が熱くなっていた。


まだ合格じゃない。まだ一次審査だ。それでも嬉しかった。三年間続けてきたことを誰かが見てくれていた。そんな気がした。


「やばいな……」


思わず笑う。泣きそうなのに笑っていた。自分でもよく分からなかった。それくらい嬉しかった。


その夜、アリサは珍しく母へ電話を掛けた。


「もしもし?」


聞き慣れた声が返ってくる。


アリサは少し迷った。だが隠しておく気にはなれなかった。


「オーディション通った」


数秒の沈黙。


そして。


「本当?」


「うん」


母の声が少し明るくなる。


「良かったじゃない」


その一言だけで十分だった。ずっと心配を掛けてきた。配信ばかりしている娘。将来も不安定な娘。それでも何も言わず応援してくれていた。


「まだ一次だけどね」


「それでも凄いよ」


アリサは少し照れくさくなって笑った。


同じ頃、BLUE HAWK本部では一次審査の最終確認が行われていた。会議室には大量の応募資料が積まれている。


「何人残りました?」


美月が聞く。


Shinは資料から顔を上げた。


「かなり絞れました」


応募総数は数千人。そこから残ったのはほんの一握りだった。


「この子は残したいですね」


Shinが一枚の資料を前へ出す。全員の視線が集まる。


そこに書かれていた名前は一つ。


月城アリサ。


「登録者は少ないです。数字も目立たない」


誠司は資料を見る。確かに飛び抜けた実績はない。


だがShinは続けた。


「でも配信を見てください」


面接動画が再生される。画面の向こうのアリサは緊張していた。言葉も少し詰まっている。


だが。


配信の話になった瞬間だけ違った。


好きなゲーム。リスナーとの思い出。配信を続ける理由。


話している時の目が真っ直ぐだった。


「配信が好きなんだな」


誠司が呟く。


「はい」


Shinは頷いた。


「この子は本物です」


数字じゃない。経歴でもない。三年間、結果が出なくても辞めなかった。その事実に価値があった。


会議室が少し静かになる。


誠司は資料を見つめたまま小さく笑った。


「面白いな」


その一言で決まった。


資料には新しい文字が書き加えられる。


二次審査進出。


月城アリサ。


まだ誰も知らない無名のストリーマー。


だがその運命は、少しずつ動き始めていた。

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