第33話 選ばれし者たち
公開オーディション開始から一か月。
応募総数。
4,286名。
その数字は競技シーンでも大きな話題になっていた。
日本中から集まった挑戦者たち。
プロ経験者。
元プロ。
アマチュア。
学生。
配信者。
そして。
誰にも知られていない原石。
BLUE HAWK本部では連日選考が続いていた。
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会議室。
机の上には大量の資料。
モニターには試合映像。
天城蓮。
白河大牙。
鳳堂響。
桜庭美羽。
そして佐藤誠司。
全員が選考に参加していた。
「この人上手いですね」
美羽が言う。
「でも判断が遅い」
大牙が即答する。
「世界じゃ無理」
候補から外れる。
「こっちは?」
響が聞く。
「センスある」
蓮が答える。
「でも努力量が足りない」
また外れる。
何百人も見た。
何千試合も見た。
だから分かる。
世界を目指せる人間かどうか。
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そして。
最終選考の日。
会議室には二人の資料だけが残っていた。
沈黙。
長い沈黙。
最初に口を開いたのは天城蓮だった。
「この二人ですね」
全員が頷く。
異論はなかった。
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一人目。
神崎悠真。
20歳。
北海道在住。
ロール。
SUPPORT。
大会経験なし。
プロ経験なし。
無名。
だが。
プレイ映像を見れば全員が分かった。
異常だった。
味方を見る力。
状況判断。
試合全体を読む能力。
まるでベテランだった。
「一番驚いたのはこの人です」
美羽が言う。
「私より上手い部分があります」
会議室が静まる。
元日本代表がそう言う。
それだけで十分だった。
「世界を知らないだけだな」
大牙が言う。
「教えれば伸びる」
蓮も頷いた。
「本物です」
満場一致だった。
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そして。
もう一人。
小鳥遊ひなた。
18歳。
大阪出身。
ロール。
FLEX。
こちらも無名。
大会経験なし。
プロ経験なし。
だが。
映像が流れた瞬間。
全員が笑った。
「何だこれ」
大牙が呆れる。
「全部できるじゃん」
響が言う。
実際そうだった。
DPS。
TANK。
SUPPORT。
どのロールでも上位レベル。
しかも。
試合ごとに役割を変えられる。
まさにFLEXだった。
「才能だけなら一番かも」
蓮が言う。
「まだ荒いですけど」
美羽も頷く。
「でも将来性ならトップです」
こちらも満場一致だった。
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佐藤誠司は二人の資料を見る。
神崎悠真。
小鳥遊ひなた。
無名。
実績なし。
プロ経験なし。
だが。
だからこそ良かった。
BLUE HAWKが探していたのは完成品じゃない。
世界一を本気で目指せる人間だ。
「決まりだな」
誠司が言う。
誰も反対しなかった。
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その日の夜。
北海道。
大学寮。
神崎悠真のスマホが震える。
知らない番号。
少し迷って電話へ出る。
「もしもし」
緊張した声。
すると。
聞き覚えのある声が聞こえた。
「佐藤誠司です」
悠真の動きが止まる。
数秒。
完全に固まった。
「え?」
思わず声が漏れる。
「合格だ」
頭が真っ白になる。
「SUPPORTとして来てほしい」
夢じゃない。
本物だった。
悠真は震える声で答える。
「……はい」
その目から涙がこぼれた。
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大阪。
小鳥遊ひなたも同じだった。
電話を受けた瞬間。
飛び上がった。
「えっ!?」
「本当に!?」
「私ですか!?」
部屋中に声が響く。
誠司が笑う。
「君だ」
ひなたは口を押さえる。
涙が出そうになる。
ずっと夢だった。
ずっと憧れていた。
そして。
ようやく手が届いた。
「行きます」
即答だった。
「絶対行きます!」
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こうして。
4,286人の中から選ばれた二人。
神崎悠真。
小鳥遊ひなた。
BLUE HAWK最後の選手たち。
無名だった原石は。
今。
世界を目指す舞台へ足を踏み入れた。
そして。
ついに。
世界王者監督との約束を果たす時が来る。




