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ゲームは下手だけど、世界一のチームを作りたい!!  作者: 龍崎
第1章 世界一のチームを作ろう

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第27話 自称日本最強の本音

大阪。


夜十一時過ぎ。


鳳堂響は配信を終え、自室のゲーミングチェアへ深く身体を預けた。


数時間に及んだ配信の疲労が一気に押し寄せる。


だが、その表情はどこか満足そうだった。


「ふぅ……終わった終わった」


ヘッドセットを外しながら大きく伸びをする。


コメント欄には最後まで視聴していたリスナーたちのメッセージが流れていた。


『おつかれー!』


『今日もおもろかった』


『Rei倒してこい』


『世界一まだ?』


『KING最強!』


響は笑う。


「せやろ」


「最強やからな」


いつもの軽口。


いつものやり取り。


リスナーたちも慣れたものだった。


だが配信ソフトを閉じた瞬間、その笑顔は少しだけ消える。


静かになった部屋。


モニターの明かりだけが響の顔を照らしていた。


視線の先にはSKYLINE。


最近のタイムラインはBLUE HAWK一色だった。


Rei。


天城蓮。


佐藤誠司。


世界一を目指す新設チーム。


設立からわずか数週間で競技シーンの中心になりつつある存在。


「ほんま凄いな……」


自然と声が漏れる。


羨ましかった。


純粋に。


世界一を目指す場所があることが。


本気で夢を追える環境があることが。


だからあの日、衝動的に送った。


たった一言だけ。


『俺を獲れ』


送った直後は少し後悔した。


冷静になって考えれば恥ずかしい。


あまりにも雑だ。


あまりにも勢い任せだ。


どうせ返事なんて来ないと思っていた。


実際、今まで何度もプロチームから誘いを受けてきた。


有名チームもあった。


企業チームもあった。


だが断ってきた。


だから自分から送ったところで相手にされるはずがない。


そう思っていた。


その時だった。


スマホが震える。


通知。


SKYLINE。


そして表示された送り主の名前を見た瞬間、響の思考が止まった。


BLUE HAWK公式。


「……は?」


思わず声が出る。


数秒間、本当に動けなかった。


恐る恐る通知を開く。


そこには短い文章が表示されていた。


『一度お話しませんか』


佐藤誠司


響は固まったまま画面を見つめる。


一度閉じる。


もう一度開く。


内容は変わらない。


本物だった。


「いや待て待て待て」


椅子から立ち上がる。


部屋の中を歩き回る。


落ち着かない。


全然落ち着かない。


「来たんやけど……」


思わず呟く。


人生で初めてだった。


大会に出ても緊張しない。


配信で何万人に見られても平気だ。


炎上した時ですら割と平然としていた。


なのに。


今は違う。


「マジかよ……」


その夜、響はなかなか眠れなかった。


翌日。


大阪市内。


待ち合わせ場所のカフェ。


約束の三十分前。


鳳堂響は既に席へ座っていた。


コーヒーは半分以上なくなっている。


落ち着かないからだ。


スマホを見る。


時間を確認する。


またコーヒーを飲む。


そしてまた時間を見る。


「何してんねん俺……」


自分でも笑えてくる。


そんな時だった。


入口のドアが開く。


スーツ姿の男が店内へ入ってくる。


動画で見た。


写真でも見た。


BLUE HAWKオーナー。


佐藤誠司。


本人だった。


響は思わず背筋を伸ばす。


「マジで来た……」


そして誠司もすぐにこちらへ気付いた。


軽く手を上げる。


自然な笑顔。


響は慌てて立ち上がった。


「あっ……その……」


思ったより声が出ない。


配信ならいくらでも喋れるのに。


「初めまして!」


結局、少し大きな声になった。


誠司が笑う。


「初めまして」


「鳳堂響です!」


「知ってる」


「ですよね!」


言った瞬間、自分で恥ずかしくなる。


何をやっているんだろう。


誠司は少し楽しそうだった。


「座ろうか」


「はい!」


返事だけ無駄に元気だった。


席へ着く。


少しだけ空気が落ち着く。


そして誠司は目の前の青年を見ながら思った。


想像と違う。


もっと尖っていると思っていた。


もっと扱いにくい人間だと思っていた。


だが実際は違う。


礼儀正しい。


真面目だ。


むしろ少し不器用なくらいだった。


「緊張してるのか?」


誠司が聞く。


響は数秒黙った。


そして観念したように答える。


「めっちゃしてます」


即答だった。


誠司が吹き出す。


「配信だとあんなに喋るのにか」


「別物です」


響も苦笑した。


「配信は得意なんです」


「こういうのは苦手です」


その言葉に誠司は納得する。


なるほど。


この男は目立ちたがりではある。


だが、人との距離感は意外と慎重なのかもしれない。


少しずつ会話が進む。


やがて誠司は本題を切り出した。


「どうしてBLUE HAWKに連絡した?」


響は少し考えた。


そして正直に答える。


「本気やと思ったからです」


その瞬間、空気が少し変わった。


ふざけた様子はない。


ビッグマウスもない。


ただ一人の競技者として話していた。


「Reiを獲った」


「世界一を目指す言うてる」


「しかも本当に動いてる」


響は誠司を見る。


「普通は途中で止まります」


「途中で諦めます」


「でもBLUE HAWKは違った」


SKYLINE。


練習環境。


天城蓮。


全てが行動だった。


だから信じてみたいと思った。


「世界一になりたいんです」


響の声は静かだった。


「昔からずっと」


「プロになりたいんやなくて」


「勝ちたいんです」


「世界で」


「一番になりたいんです」


その目に迷いはなかった。


鳳堂響。


競技シーン屈指のビッグマウス。


自称日本最強DPS。


だがその本質は違う。


誰よりも真面目に。


誰よりも本気で。


世界一を目指している青年だった。

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