(チルクサンダー×ミチル)「開け!ミチルの……」
チルクサンダーが一人で行きたいって言うから送り出したけど。
全然帰って来ないんだけど、どういうこと!?
もうすぐ日が暮れる。ミチルは戻らないチルクサンダーが心配で家中をウロウロと落ち着かない。
こんな事になるなら、ついていけば良かった。
街の商店街なんてすぐそこだから、お肉屋さんだっていつも行ってるから大丈夫だ、と思っていた。
チルクサンダーの足なら歩いて五分。飛んだら一瞬……飛ばないとは思うけど。
それなのに、一時間経ってもチルクサンダーが帰ってこない!
「どうしよう……迎えに行く?」
ミチルはさっきから自問自答。
我が子に初めてのおつかいはまだ早かったか。(※我が子ではない)
ああ、だけど。迎えに行ってご覧なさい。
一人で出来るって言ったのに! ママは我を信用してないの! って言われたら辛たん。(※ミチルはママではない)
ここまでは本物のコドモの話である。
どんなに精神がコドモだろうと(※そんな事はない)、チルクサンダーはだーいぶオトナである。
立派な成人通り過ぎて、年齢不詳の立派なイケメンが一時間帰って来ないからって心配していては生活できない。
悶々とミチルが考えているうちに、窓の外に見慣れたデカい人影が。
「ああっ! チルくん、やっと帰って来た!」
ミチルはほっと一安心。
そして安堵し過ぎて、あらぬ企みが脳内に生まれる。
「フフフ。遅くなったバツじゃ……」
ミチルはニヤリと笑って、テーブルの下に隠れた。
見え見えのバレバレなのだが、果たしてその結果はいかに。
「ミチル、ただいま」
玄関の扉を開けて、待望のチルクサンダーが帰ってきた。
ふおお、飛んで行って抱きつきたい。そんな衝動に駆られたが、ミチルはテーブルの下でじっと我慢した。
トストスと部屋に入ってくるチルクサンダーの足音。
ミチルが潜んでいるダイニングに入り、誰にともなく問いかける。
「ミチル? どこだ?」
チルクサンダー、下! 下!
ミチルはテーブルの下でそんな事を考えながら息を潜めていた。
下とか見なくても全然わかるっしょ。これは身長の低いミチルの言い分だ。
「ミチル……いない」
どんどん沈んでいくチルクサンダーの声。長身で視線が高いチルクサンダーには、意外にもテーブルの下は盲点なのだ。
「ミチル……どこ?」
しゅん、と落ち込むチルクサンダー。
ママを探して泣きそうになっている。(※ミチルはママじゃないって)
「ミチル……」
「にゃあああっ! チルくん、オレはここだよおぉおお!!」
そんな悲しそうに言われたら、もうこんな所にいられない。
ミチルは大急ぎでテーブルの下から飛び出した。
「ミチル! 何故そんな所に?」
「えっ、えー……っと」
きょとんとした瞳で、不思議そうにミチルを見つめるチルクサンダー。
ちょっとしたお仕置きのつもりだったなんて、罰が悪くて言えやしない。
「ええーっと、そうそう、床にコンタクトが……」
「んん?」
ミチルはコンタクトレンズなどしないし、カエルラ=プルーマには存在しない。
チルクサンダーは「訳がわからない」という顔をしていた。
「そ、そそ、そおーんな事より! チルくん、随分と遅かったじゃない!?」
そうだ。とにかく門限を破った事を叱らなくては。(※そんなものはない)
ミチルはきゅっと眉を上げて、チルクサンダーに「メッ」した。
「ああ。ミチルにお土産を探していた」
「おみやげ……?」
次の瞬間、チルクサンダーは背中に隠していたものを差し出す。
ふわりと香る匂いと、美しい色彩の……花束だった。
「わっ、キレイ……!」
それは、花屋などに並ぶような豪華な花ではなかった。
野に咲く草花を、きっとあちこちで摘んできたのだろう。とても素朴な花束で。
だけど、そこにはチルクサンダーの綺麗な心が投影されている。その美しさが彼のくれた花束にはあった。
「ミチルにぴったりだ。すぐ側で寄り添ってくれる、美しいお前の心……」
「チルくぅん……はうぅ……」
ミチルは感動で言葉が出ない!
その隙に、チルクサンダーは全てを見通す目でもって笑う。
「我にお仕置きなど、お前には不可能だ」
「ん?」
「我を待てなかったお前にこそ、お仕置きが必要だな」
「んん?」
チルクサンダーは、冷や汗ダラダラのミチルが握る花束をちょんと指さして、さらに笑った。
野の花束には、数本、まだツボミの花もある。
「ミチルの蕾も開いてくれよう♡」
「きええええっ!」
おおい、とんでもねえど下ネタだぞお!!
ミチルの♡はすぐさまにご開帳!
「にゃあああっ!」
たっぷり、たーっぷり、お仕置き♡されました。
なお、野の花と、買ってきたお肉は保存状態も良好です。
チルクサンダーの♡♡♡も、大変良好でした。




