(エリオット×ミチル)「ワガママ独占ブローチ」
ワガママで、独占欲も強くって。何よりも大事にしてくれる。
だけど、それって大丈夫なのかな? いつまでソレ、許される?
「へええ、夕食会……」
昼下がり。エリオットに今夜の予定を聞かされたミチルは、その時は何も思わなかった。
「そーなんだよ、嫁に行った姉上がさ、里帰りしててよ。今日はみんなで夕食会だっつって……」
エリオットは不貞腐れた顔でブツブツ言いながら俯いていた。
「いいんじゃない、たまには」
「……チョーめんどくせえ」
ミチルの返答が気に入らなかったのか、エリオットはますます不機嫌になっていた。
それでミチルはコドモをあやすような口調に切り替える。
「まあまあ、確かにイロイロあったから気まずいかもしんないけどさ。一緒に行ってあげたいけど、オレは無理でしょ?」
王族水入らずの会食だ。ミチルはお呼びでない。
エリオットの伴侶♡であっても、身分の差は拭えない。というか、パンピーなミチルはセレブな人達と「おほほほ」とか言い合うのは御免被りたいのである。
「無理じゃねえよ! お前はおれの妃♡だからな! でもダメ、来たらダメエ!」
「そうなの?」
初めて聞いた。何となく身分とかがNGなんだろうなと思っていたから今まで気にしていなかったが、エリオットの口ぶりではそうでもないかもしれない。
おほほ会合は御免なミチルだけれど、エリオットがここまで嫌がっているのに一人で送り出すには忍びない。
恥をかくなら二人の方がいいのではないか。ミチルはエリオットのためなら頑張ろうかな、と思い直した。
だが、エリオットは目を血走らせて首を振る。
「会食には兄上達も来るんだぜ。いいか、おれの兄上だぞ。好みが同じに決まってんだ、お前を見せたらとんでもねえ事が起こる!」
「ええー、まさかあ」
元々は超モブのちっぽけなオレが、とミチルはその論理は信じられなかった。はっきり言ってこんなちんちくりんに、毎晩毎晩♡♡♡できるエリオットの方が特殊である。
「だからミチルは留守番! 一人でも晩飯食べるんだぞ」
「うーん、わかったあ……」
ミチルは少し寂しかった。会食に行けないのが残念なのではない。今日の夕食が一人なのが嫌なのだ。
でも……しょうがないよね。
エリオットは(これでも)王子様。ツキアイってヤツがあるんだもん。
ミチルの今の心境は、夫の帰りを待つ新妻♡だ。
「ミチル、ミチル!」
タイを結びながら、エリオットはミチルを手招いた。
「なあ、このブローチ、つけてくれよ」
エリオットがいつも着けているお気に入りの品。
それを「ミチルが着ける」事に大切な意味がある。
「もー、しょうがないなあー!」
必要とされている事に、ミチルはご満悦でエリオットの首元を飾る。
それから、つま先立ちで夫のほっぺにチュー。
「……ふおっ!」
不意打ちを喰らったエリオットは少し悔しそうに笑った。
「オメー、帰ったら覚悟しろよお……♡」
「むふふふっ!」
待ってる。
エリオットは絶対に帰ってくるから。
今夜はたくさん独占させてあげる。
「行ってらっしゃい!」




