(アニー×ミチル)「限界インフェルノ」
夜が来る。怖くはない。
だけど、一人っきりの夜は怖くなった。
小鳩のくるっぽー(仮名)が指令文書を咥えてやって来た。
アニーはもちろん嫌そうな顔をしているが、ミチルはその口端が少し上がっているのを見逃さなかった。
「ちょっとお、ボスぅ! 結局、俺に仕事寄越してくるじゃん」
嫌そうに文書をちゃんと読むアニー。
「もおおー、こんなの、俺じゃないと確かに出来ないけどぉ!」
くるっぽー(仮名)にもおやつ(パンくず)をあげるアニー。
「困るんだよなあ、俺の事は卒業って言ったのにさ。都合のいい時だけ頼られてもねえ」
……そろそろ、つっこんでやるか。
「良かったね、アニー。行ってあげたら?」
「! 何言ってるの、ミチル」
ミチルはアニーの背中を押したつもりだった。行く気は満々なのに、ミチルの手前、困った態度を取っているだけなのだ。
だが、思いの外、アニーは文書を握りしめながら、ぐるんと首をこちらに向けて真顔で否定する。
「行く訳ないでしょ。召集0時だよ、0時ってどんな時間だと思う?」
「うん? 普通に寝るだけでは?」
「そう! 普通にミチルと♡♡♡寝て、0時はまさに頂点に到達してる頃でしょ!?」
「コラァア!!」
そんな行程を妄想しないで欲しい。
ミチルは思いっきり頬を赤らめて声をあげた。
「だから、悪いけどボスの頼みは──」
文書を破こうとしたアニーの手をミチルが止める。
ミチルは知っている。アニーがボスにどれだけの恩義を感じているか。すぐにでも助けに行きたいと思っているくせに。
「アニー。やっぱり行って来なよ」
だから背中を押してあげるんだ。
オレはアニーの帰りを信じて待つ事が出来るから。
「でも……」
一人の夜は寂しくて怖いから。
「早く帰って来て?」
「……ぎゅーん↑」
ミチルに可愛い「お願い♡」をされたアニーは不思議な擬音を口走った!
「……わかったよ、ミチル」
ホスト系アサシンが格好をつけ始めました。
これ、アレです。興奮を抑えようとしている証拠です。
「早く帰れるように、キスしてくれる……?」
「ふやあぁ……!」
顔がいい!
そんなに(下心で)澄んだ瞳は誰も出来ない!
「しょ、しょうがない、なあぁああ!?」
ミチルはアニーの顔には逆らえない!
「ほっぺだから、ねえぇえ……っ」
むっちゅっちゅー♡
「あはぁーん!」
アニーは蕩けるような声を上げる。そして多分、どこかの何かはとろけている!
「オーケー、ミチル! 良い子で待っておいで!」
奮起したアニーは身支度を颯爽と整えて、オンボロ酒屋を後にした。
それ、まさに、獲物を狙う鷹のごとし!
彼が飛び去った後には、ちょっと寂しいミチルが一人。疼くお〇〇。
「……もおお、去り際に触っていくなぁ」
ミチルは今夜、ベッドを温めて彼の帰りを待つ。
深夜2時……
ウトウトしかけたミチルの耳に、アニーのイケてる囁きボイスが炸裂した。
「ただいま……♡」
きゅーん↑
仕事終わりの興奮×一人寝の限界=♡♡インフェルノ!
朝は当然起きられない……




