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【BL】くしゃみのラブラブSS集め  作者: 城山リツ
06 風邪ひいちゃったミチル
34/48

(ルーク×ミチル)「君の胸で終わらせて」

 ミチルが高熱を出した。

 最初はただの風邪かと思っていたが、どうやら少し違うらしい。

 ラーウスの砂漠にごく稀に混ざる魔法ウィルスに罹患してしまったのだ。

 その名も「アウルーミル症候群」! 言葉の意味はよくわからない!


「はうぅ……」


 顔を真っ赤にしたミチルは、力無くベッドに横になっている。


「ミチル……ああ、どうすれば」


 ルークはミチルのベッドの側で、その手を握りながら途方に暮れる。

 ループス家おかかえの医師特製の風邪薬も効かなかった。

 ミチルは熱が下がらないまま、もう三日も寝込んでいる。


「……っ」


 ルークは高熱に苦しむミチルを見つめて、ぐっと意を決したように握る手に力を込める。


「ルー……ク?」


 その手が離れると、ミチルはそっと目を開ける。

 ルークの思いつめたような顔がすぐ側にあった。


「ミチル、必ず、助けます」


 その額にキスを落としてルークは部屋を出ようとした。


「待って……ルーク……ッ」


 だが、ミチルはルークの上着の裾を掴んで離さなかった。

 弱々しい力でルークを引き留める。


「行っちゃヤダ……行かないで……っ!」


「ミチル、ぼく、必ず帰って来ます」


「ダメ……え、危険、だよぉ……」



 

 ミチルが罹患したウィルス性感冒「アウルーミル症候群」には特効薬がある。

 それはとあるアロエ樹液から作られ、「月の涙」と呼ばれていた。


「大丈夫、必ず探してきます、アルジェンタムを……!」


 アルジェンタムと呼ばれる特別なアロエは、どこに生えているのか全くの謎。

 一説には世界の果ての崖の下とも噂されている。


 御伽話の域を出ない話だ。

 ルークはそれを探しに行くと言うのだから、ミチルは懸命に止めた。


「どこにあるか、わからないのに……! ルークが危険なことするなんて、絶対、だめえ……ッ!」


「ああ、ミチル」


 ルークは泣きながら訴えるミチルを宥めようと、ベッドに跪いた。

 その頭を撫でて、子どもに言い聞かせるように語りかける。


「大丈夫、ぼく、ミチルのためならなんでも出来る。絶対に見つけて、帰ってくるから」


 だが、ミチルは泣き止まない。


「やだあ、行っちゃダメえ……!」


「ミチル。ぼくは、ミチルに生きてて欲しいんだ……っ」


 ルークは悲痛な想いを吐露した。

 いつもの君に戻って欲しい。

 太陽みたいにピカピカ笑う、ミチルでいて欲しい。


「オレだって……ルークに生きてて欲しいよ……ッ!」


 ミチルもまた、ルークに胸の内を訴える。

 優しい優しいルーク。

 オレのために、傷ついて欲しくない。


「だから、オレはこのままでいいの……! 最期までルークに側にいて欲しいの……」


「ミチル、そんな事言わないで!」


 全てを覚悟したミチルの、小さな体をルークはかき抱く。

 熱がこもって、その体力はどんどん奪われている。

 なんて、か弱い体。


 ルークはミチルのすっかり細くなった体を抱きしめて懇願した。


 


「お願い、ミチル。ぼくに行かせて……ッ」


 必ず、君を助けてみせるから。


 


「イヤだよ、ルーク。そんな終わりの見えない旅なんかしなくていいよ……」


 せめて、君の胸で終わらせて。




「ああ……っ、ミチル! どうしてこんな事に……!」


 運命はまた二人を引き裂くのか。


「ルークゥ! オレだって、もっとルークと生きたいよぉ……っ」


 どうして……

 こんな愛には二度と会えはしないのに。


 どうして、カミサマはそれを取り上げるの?






「おーい、やってるかぁ?」


 悲恋(メロドラマ)に浸り切っているミチルとルークの後ろ。破天荒兄さんが呑気に登場した。


「ミチルっこ、金風邪にかかったんだって?」


 のんびり話しかけるルードに、ミチルもルークも面食らってしまった。


「き、金風邪……?」


「そうそう。ここじゃあアウルーミルとか言って不治の病なんて言われてるが、なんのなんの。西大陸じゃあ、ただの重めの風邪だぜえ」


「ぷ、ぷえ……?」


 ミチルはルークの腕の中で、ルードがゆっくり差し出す薬瓶を見た。


「ちゅーわけで、土産だ。アルブス産の金風邪薬、パブ〇〇ゴールド!」


「な、な……」


 ルークも目を白黒させて驚いたが、辛うじて〇〇ロンゴールドを受け取った。


「ミチル! 飲んで……!」


 十五歳以上は一回二錠です!


「ごっくーん!」


 するとアラ不思議。あっという間に熱が下がっていったのだ!


「ほぉおー……」


 ミチルは急に楽になった。

 なんて素敵でリラックス気分。

 バイバイ、金風邪ウィルス!



 

「じゃあ、俺様はこれから上映会をぶち上げるから!」


「な、ん、の……?」


 ミチルはベッドの上で嫌な予感に支配されていた。


「そりゃおめえ達の一大メロドラマよ! 俺様感動して泣いちゃった(笑)」


 ルードは二人の一部始終をジーナちゃん(魔法の絨毯)に録画していたのだ。


「ヤメロォオオオ!!」


 ミチルは急に元気に立ち上がった!


「ミチル! まだ寝てないとだめ、です……!」


「放せえ、ルーク! あの破天荒アニキを行かせてはならねえ!」


 行かせたら身の破滅です!




「ひっひっひ。これ見たら親父サマもカカオも号泣もんだろうなー♪」


「イヤアアァアア!!」




 薬がよぉく効いたようで……♡

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― 新着の感想 ―
感動長編ですよねwルークもミチルも浸ってますねぇ。 ルードはすぐ薬を渡さなかったのは、これを待ってたんだな。 「俺様感動して泣いちゃった(笑)」って笑いを堪えてたんですね。ひどいw でも特効薬あってよ…
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