(エリオット×ミチル)「スーパーダダメン」
【注意! 現代地球設定です!】
フーフーフフーンを使うと、手を繋ぎたくなる〜♪
思わずそんな鼻歌が出るほどに、ミチルはご機嫌だった。
エリオットとおてて繋いで、街をお散歩。
道行く人がみんな振り返る。「なんて素敵なイケメンかしら」「隣のオクサマ(?)もとっても素敵」と思われている気がした。
「今日は随分と機嫌がいいな、ミチル」
「ん? うん、えへへ♡」
だって隣には超絶な地球一(?)イケメンがいて、自分の手を握り、愛情溢れる眼差しで見つめてくる。
これが幸せでなくて何だと言うの。
ミチルはエリオットの手をぎゅっと握って、リズム良く振ったりしてみる。
「まあ、このおれ様と連れ立って歩くんだ、機嫌良くねえと困る!」
ミチルが笑えばエリオットも幸せ。
「うふふふ! うんうん♪」
そしてエリオットが幸せならミチルはもっと笑う。
何これ幸せのスパイラルじゃん。究極の循環じゃん?
おーててつーないで、ランララーン♡
街行く人が二人を振り返る。「大丈夫かしら、あの人達」「美形だけど紙一重っぽいわね」──これが街の本音である。
「ミチル、スーパー寄ってくだろ?」
歩みを止めたエリオットが、目の前のいつものスーパーを指差した。
「あ、そうだね。夕飯の買い物して行こう」
おてて繋いで散歩の後は、一緒にらぶらぶスーパーなんて。
「うふふふ!」
──ほんとに大丈夫かしら、あの人達。
二人の世界に雑音は聞こえない。
ウッキウキでショッピングを楽しむ気マンマンのミチルであった。
「ダメったらダメ!」
だが数分後、らぶらぶだった二人は突然の仲違い。
「イヤダ、これ買えよ!」
「先週も買ったでしょ! 月にひとつって約束でしょ!!」
「ヤダアァア! 買えよぉ! モケモンチョコレートぉ!!」
エリオット(見た目が二十五歳)が地団駄踏んでお菓子コーナーから動かない。
「コレ! コレにぜってえキラシールが入ってる気がすんだよぉ!」
「買わないよ! 今月は色違いモケモンが出たって喜んでたでしょ!」
「でーもぉお、コレにおれはすんげえインスピレーションを感じるんだよぉ!」
「ダメ! 戻しなさい!」
そんな押し問答を繰り返す事五分。いいかげんにすれ違う人のヒソヒソ声が冷たくなる。
「ミチルのケチぃい!」
スーパーで。
駄々をこねるイケメン。
つまり、スーパーダダメンが爆誕している。近所ではそう揶揄されてもいる。
「も、ど、す!」
「……」
「も、ど、せ!」
「……チッ」
惚れた弱みで大抵はエリオットが諦めるのだが、毎度の駄々こねが近所ではすっかり笑いもの。
大変なのはこの後だ。ヘソを曲げたエリオットの機嫌を回復させなければならない。
「エリオットぉ」
「……んだよ」
「ボディソープ、切れそうだったよね。泡のやつ買ってこ」
ミチルは身を切って特大のエサを投げた!
「! いつものヤツだな、取ってくる!」
急に目をランランと輝かせて、エリオットは売り場へダッシュする。
「ふっふっふ、こいつはおれが管理するからな」
「はいはい」
エリオットの目がにまあと笑う。ボディソープをしっかりと握って離さない。
「これを使えるのはおれだけなんだ。お前は黙っておれに洗われろよな!」
「はいはい」
「あわあわの、ふわふわで、お前の♡♡♡を丁寧に洗うぞぉ……♡」
いやあん、外でそんな事言わないでえん♡ ……とか思っちゃうミチルである。
「はいはい、エリオットに、お・ま・か・せ♡」
「よぉーし、すぐ帰るぞ!」
──ヒソヒソヒソ!!(by 街の皆さん)
スーパーダダメンは、家に帰ってスーパー♡♡メンに変身するのです……




