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【BL】くしゃみのラブラブSS集め  作者: 城山リツ
03 耳としっぽが生えちゃった!
18/48

(チルクサンダー×ミチル)「シルバーレシオは緑がお好き」

これは着ぐるみではない。断じて。

ましてやオレの願望がバグった末の妄想でも……ないっ!




「ちっ、ちっ、チルくーん♪」


 ここは教会ペルスピコーズ。ミチル達はいまだ居候を続けている。

 法皇のマゴなので、どこに行ってもどエライ扱いをされるミチルは、今日もまんまと僧正からおやつをもらった。


「チルクサンダー? おやつ食べよー、チョコレートまんじゅうだよー」


 教会の各所を回ったが、チルクサンダー(鉄壁カレピ♡)の姿がどこにもない。


「チルクサンダー?」


 知識を蓄えるのが好きなチルクサンダー。歴代法皇の手記やら資料やらを読み漁るのが最近のお気に入り。法皇しか入れない秘密の書庫……と言っても本棚は少なく、居心地のよいリビングのような部屋をミチルは覗く。

 そこにいるかと思ったら、やはりいない。いるのは大きなパンダのみ。


「なあんだ、パンダしかいないや」


 ミチルが踵を返そうとすると、愛しきカレピのボイスが聞こえてくる。


「ミチル、どこに行くのだ」


「あれえ? チルくん、どこにいるの?」


 もう一度部屋を見回しても、いるのは大きなパンダだけ。


「我はここだ」


「うん?」


 窓辺に立って逆光なため、よくわからなかったんですが。

 このパンダ、人の顔があるぞ。しかもかなり美しいぞ?


「チルくんがっ!!」


 まさかまさかの。


「ミチル、我、何かおかしいぞ」


「パンダになってるぅうううー!?」


 その形状を説明します。

 チルクサンダーは人面パンダになった訳ではありません。

 そうですねえ、幼児用の着ぐるみパジャマってあるじゃないですか。動物のフード付き、全身つなぎの。あんな感じです。

 でも、細身のチルクサンダーが着たら細パンダでは? って思うじゃないですか。

 大丈夫です。胴体は何故か膨らんでおり、カワイイと感じる白銀比(1:1.414)を再現しています。

 言葉は悪いかもしれませんが、ずんぐりむっくり的胴体なのです。


「解説はいいっ!」


 ミチルは脳内?に流れる何かを振り払った!


「どおーしちゃったの、チルくん! そんなに可愛くなってえ!」


「いや……我にもさっぱりわからぬ」


「まさか、歴代法皇の……呪い!?」


 ミチルは青ざめていたが、動転した気分を紛らわせたくて半分冗談を言ったつもりだった。


「うむ……とある法皇の手記に白黒熊の記述があってな。それを読んでいたからかもしれぬ」


「どうしよう、えぇじいちゃん、今日は出張で帰らないよ」


 ミチルの頼みの綱はいつだって曽祖父である法皇エーデルワイス。

 だが、チルクサンダーも今は人の身であるが、かつてはカミの子息。今の状態が危険かどうかくらいはわかる。


「なに、焦ることはない。特に邪悪な魔力は感じない。法皇の帰りを待っても遅くはあるまい」


「ほんとにい? じゃあ、とりあえずおやつ食べる?」


 ミチルの切り替えも早い。異世界の不思議に慣れきってしまっている。

 カミの子息であったチルクサンダーの判断なら、誰よりも正しい。

 ……というのは建前で、もふもふパンダになったチルクサンダーをひとときの間でも堪能したいのだ。


「ふむ。今日のおやつは黒くて甘いチョコレートまんじゅうか……」


 チルクパンダーはミチルの手の中を覗いて、少し嘆息した。


「我、なんだか今は、緑を食したい気分だ……」


「緑? あっ、パンダだから笹的な事かな?」


 ミチルの理解が早すぎる。異世界に慣れきってしまっている証拠である。


「わかった。なんか、緑色の食べ物もらってくるね!」


 そうしてミチルは一旦部屋を出ていくのである。




「チルくーん! 緑の食べ物、もらってきたよー!」


 期待にほっぺを膨らませて、ミチルはカゴいっぱいの野菜を手に戻ってきた。

 緑と言えば、ほぼ野菜カラー。甘くないけど大丈夫かな? とか思いつつ、最初の野菜を手渡す。


「はい、笹的に持って食べられそうなセロリはどう?」


「うむ」


 バリバリ、むしゃむしゃ……

 チルクパンダーの顔は曇ってしまった。


「我、緑、おいしくない……」


「だよねー。じゃあ、キューリはどうかな?」

 (※セロリは栄養豊富な美味しい野菜です)


 パキパキ、ボリボリ……

 チルクパンダーの顔はやっぱり曇ったまま。


「我、緑、おいしくない……」


「そっかー、やっぱりねー」

 (※キューリも美味しい野菜です)


 チルクパンダーは悲しそうにしている。おいしくない、と感じるものを食べさせられたのだから当然だ。

 だが、ここまではミチルの想定内。チルくんにはごめんやでだけど、ミチルはちょっと遊んでみたかったのだ。

 おかげでしょんもりしたチルクパンダーの、かわゆい佇まいを心のアルバムに収められた。


「ふっふっふー! 安心おしよ、チルクパンダー♡ 真打は別にアリだよ!」


「おいしい……? 緑、おいしい?」


 首を傾げるしょんもりパンダ。可愛さの極致。

 ミチルは悶える心を抑えて、とっておきのブツを取り出した。


「ジャーン! 緑で甘いメロン♡ 大僧正(※教会のナンバーツー)のデザート、かっぱらってきたあ!」


「緑……良き匂い」


 チルクパンダーは興味津々!


「はい、あーん♡」


 メロンをスプーンで掬って、ミチルはチルクパンダーに食べさせた!

 ──開・眼ッ!


「我、緑、うまい! これはおいしい緑!」


 メロンにメロメロー♡


「良かったねえー♡ チルクパンダー♡」




 美味しいものを一緒に食べて、すっかりご満悦の二人。

 今宵、ミチルは何故か膨らんだチルクパンダーのもふもふお腹♡の上で寝ました。


 そしたら別のところも膨らんだそうです。

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― 新着の感想 ―
パンダになったのに冷静なチルクパンダ―流石ですw しかし先代の法皇はなぜこんな魔法を?(笑) パンダ大好きだったんですかねぇ。謎です。 チルくんが大好きな黒いチョコ饅頭じゃなくて緑色の食べ物を欲してる…
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