(アニー×ミチル)「ウサギになった?(偽)」
ぴょんぴょんは〜
グータラ店主のために〜
あるんやないんやで〜……
「ミチールくん♡」
ミチルは嫌な予感がした。
アニーがこんな浮かれた甘い声で呼ぶ時には碌なことがない。昼間では。
「なに……?」
警戒しつつ振り返ると、アニーは後ろ手に何かを隠してウキウキした顔を見せている。
頬を紅潮させて、口元がだらしなくにんまりしていても、顔が良い。
「プレゼントぉ♡」
そんな事を言いながら後ろ手に持っていたものを得意げに見せるアニー。
それを見たミチルは絶句した。
「……」
プレゼントと言いながら、品物が剥き出し。いや、もうそれはいい。
そんなのがどうでもよくなるほどの、くだらなさだ。
「ミチルに似合うと思ってえ♡」
黒いウサ耳カチューシャと黒いカボチャパンツをアニーはウッキウキで見せてきた。
「何だコレは! まさかコレ着て接客しろとか言わねえよなあ!?」
ありし日の悪夢が蘇る。透けたシャツを支給されて「おじさん専門ホストだ」と騙されたあの日が。
怒髪天を衝く勢いのミチルに、アニーは意外にもキリッと顔を整えて答えた。悔しいが美形である。
「そんなことする訳ないじゃないか。ミチルがコレを着るのは俺の前だけだよ」
「そんなカッコイイ♡顔で言っても着ないからっ!!」
「えっ……!?」
ミチルの言葉に、アニーはまるでこの世の終わりのように青ざめた。
何故着てもらえると思ったのか、それが永遠の謎。
「頼むよぉ〜、着ておくれよぉ〜、ミチルのカボチャパンツ♡姿がもう一度見たいんだよぉ〜!」
ぶりっ子のような甘えた声で、アニーは無理矢理ミチルに黒いカボチャパンツを押し付けた。
「カボチャパンツが見たいだけなら、そっちのカチューシャはいらんだろうが!」
うっかりカボチャパンツを受け取ってしまったミチルは、せめてもの抵抗でウサ耳だけは回避しようとした。
「いや、よく見て欲しい。そのカボチャパンツには素敵なモノが付いてるんだ」
再びキリッと顔を整えて言うアニー。やはり顔が良い。何度でも有効だ。
「……」
ミチルはカボチャパンツの後ろ部分をひっくり返して、言葉を失った。
ぴこっと可愛いまあるいしっぽが付いている。おそらくふりふりするとぴこぴこ揺れる。どこを、とは言わないが。
「ささ! さあさあ、着替えて着替えて!」
「マージでぇえ……?」
ミチルは嫌々寝室に向かった。一回でも着てやらないと終われないと思ったからだ。
黒いカボチャパンツを穿く。黒くて、もふっとまるいしっぽがぴこぴこ揺れる。
「ミチルー! どお?」
色々な所が爛々と輝いたアニーが寝室に侵入!
ミチルはまだパンツを穿いただけである。上半身はすっぽんぽん!
「うぎゃあー! まだ途中でしょおがああ!」
「……」
それを見たアニーは、秒速でベッドの上に置かれたカチューシャを取ってミチルの頭にはめた。
「だから、まだ……きゃああぁぁあ!」
抱きついてそのままダイブ!
バニーボーイとの夜は終われない……