(ジン×ミチル)「おいなりさんの怪」
これは呪いなのか、それとも祟りか……
もふもふの報いを受けるがいい……
「せんせー! せんせぇええ!」
バタバタと走り回って師範を探すミチル。
ジンはその可愛らしい足音に耳を澄ませて、ミチルが自分を探し出すのを待つ。
「あっ! ここにいたんだね、先生!」
儂を一生懸命探すシウレン、萌え♡
だがそんな心情を出さず、悶える胸を抑え、ジンはクールに返事をした。
「何事だ、シウレン。落ち着きなさい……ぃい!?」
瞬時にクール終了。
ジンは部屋に入ってきたミチルの姿に仰天した。
「せんせえ……なんかね、オレ、耳としっぽが生えちゃってるんだよぉ……」
ココーン!
狐っぽい耳がぴこぴこ生えて、ふさふさのしっぽがぷりぷり揺れる。
さらにサービス(?)のいい事に、ミチルの服装が変わっている。小袖姿のお小姓スタイル。
こ、これが、和風ファンタジーBL!? とさすがの毒舌師範も理性が吹っ飛びそうだった。
「シ、シ、シウレン……? 何が、一体、どうなったのだ?」
「わかんないよぉ……って、先生ぇ!?」
泣きつきそうになったミチルを、儂の胸へカモンと誘いかけて、ミチルが急ブレーキ。
ジンにも同じように狐の耳としっぽがふさふさ生えていた。
「うん? なんだこれは」
「もふもふイケメンせんせーッ!!」
ジンの出立ちはまんま妖狐〇〇の趣き。
クールでビューティーな千年狐が顕現している。
ジンとミチルが二人で並べば、偉大な妖怪狐とお使い狐っ子のようだった。
「どーしよ! どーしよ、なんかの祟りかな!? キツネだしっ」
日本の風習になぞらえて考えたミチル。
しかし、ジンにはあまりピンと来ていない。
「ふうむ……だとすると、何が原因なのだ?」
「そんなのわかんないよぉ……」
首を捻るジン、泣きべそで困るミチル。
二人の脳裏にここ数日の記憶が巡る。
「はっ! まさかアレでは……?」
「何? 先生!」
閃いたジンの推理が流れるように披露される!
「先日、儂がシウレンのおいなりさんを××で××って×××……!」
「ギャァアア! みなまで言うなァアア!!」
ミチルのもふもふ耳が真っ赤に染まった。
しかし、ジンの推理は止まらない。
「あまりにも儂が美味しそうにシウレンのおいなりさんを××るものだから、羨ましくなった何かが……?」
「何かってなんだァアア! そんなどスケベ神様がいるかァアア!!」
真っ赤になって怒るミチルの言葉は、自分の推理に支配された毒舌師範には届かない!
「おのれ、妖怪めえ! シウレンは渡さぬぞぉお!」
「お前もう黙れぇええ!」
「今夜もおいなりさんは儂のものだぁああ!」
「イヤー!!」
その夜、おいなりさんを食べたら治りました♡